岐阜和傘の歴史と技術のアーカイブ
〜岐阜市文化資源デジタルアーカイブの構築〜
研究概要
1,はじめに
卒業研究のテーマを決める中で、現在住んでいる岐阜市について関心を持ち、岐阜市を知っていく中で岐阜県の伝統工芸品である岐阜和傘を初めて知り、岐阜市にはまだあまり知られていない伝統工芸品があるかもしれないと考え、そこから若い世代や知らない方に岐阜和傘を知ってもらえる様にデジタルアーカイブを通して伝えたいと考えた。本研究では、岐阜和傘の技術と歴史を中心に、岐阜和傘以外の伝統工芸品と長良川の関係性をアーカイブし、より多くの人に伝える事が本研究の目的である。
2,研究の方法
研究対象である岐阜和傘とその他の伝統工芸品の歴史や技術などの資料を集め、文献調査を行う。次に、文献調査で分かった事をまとめ、分析しまとめていく。文献調査だけでなく岐阜和傘の資料や岐阜和傘に関連する施設などを実際に訪問し、撮影をさせてもらう。文献調査や撮影などを基にデジタルアーカイブを作成し、活用の方法とデジタルアーカイブをする事の意義を考察、提案する。
3,研究の結果(考察等)
本研究では、最初に岐阜和傘の歴史やその他の岐阜市の伝統工芸品の歴史・技術を知る為に文献調査を行った。そこから分かった岐阜市の伝統工芸品の共通点として長良川に沿って伝統工芸品が生まれている事が調査で分かった。
長良川は、岐阜県北部の大日ヶ岳から南へと岐阜県内を横断し、三重県桑名市で揖斐川に合流し、伊勢湾へと流れ込む。全長は166kmで、流域には、86万人が暮らしている。長良川は江戸時代では、物流の手段として使われていた。長良川は、伊勢までたどり着く事から関西から関東まで荷物を運ぶ事ができ、物流の要として使われていた。その為、出来た品物や材料などが手に入れやすい事から長良川の流域で数多くの伝統工芸品が生まれた。
その事から、岐阜和傘・岐阜うちわ・岐阜提灯の関係性が分かった。また、長良川の役割や歴史を知る事で、岐阜和傘の成り立ちと深く関係している事が分かった。
また、文献調査を進めるにあたって岐阜市和傘の現状の課題点が見えてきた。昨今は、和傘よりも洋傘が主流となっており、和傘の需要が減少しており、最近では舞台での小道具や結婚式の前撮りの小道具として使われる事が多くなった。そこで若い世代の方にも和傘をより身近に知ってもらう為にもデジタルアーカイブを通して岐阜和傘の歴史と技術を知ってもらう事が需要だと考える。その為に現在は、岐阜和傘に関連する場所や施設などを撮影し、ネットに上げる事を行っている。また、文献調査も並行して行う。
4.おわりに
岐阜和傘の普及の為に様々な取り組みが行われてきているが、現状はまだ若い世代に「岐阜和傘」の普及がないと考える。若い世代に「岐阜和傘」を知ってもらう為にもインターネットを通して、「岐阜和傘」の普及に努める。Mata,
関連の場所での撮影が出来ていないので、撮影を重点的に行いながら、岐阜和傘の歴史や技術、長良川の伝統工芸品の関連性と歴史の文献調査を行っていく。
参考文献
(1)岐阜傘に関する調査研究
(2)加納町史 下巻
(3)密柑水の文化センター 機関誌『水の文化』50号「江戸時代から続く岐阜・加納の和傘づくり」
https://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no50/05.html
(4)和傘CASA
研究資料
岐阜和傘の歴史
・岐阜和傘の成り立ち
1756年(宝暦6)、加納藩主・永井直陳は下級武士の生計を助けるため和傘づくりを推奨した。岐阜で和傘を製造するにあたって、分業体制の確立に加え、美濃和紙の生産地に近く、周辺の山間地で良質の竹が採取できるなどに加えて、加納は位置的にも原材料に恵まれた事もあり、加納の和傘は栄え、最盛期の昭和20年代半ばには年産100万本を超えている。
・岐阜和傘と長良川
岐阜和傘を搬送するにあたって、長良川は大きな役割を果たした。搬送経路としては、長良川から伊勢湾の桑名に出て、廻船によって江戸・大阪などの大消費地へと搬送する事が可能となったため、広範囲に和傘を販売することができ、岐阜和傘が栄えた一因となった。
岐阜和傘とは?
・岐阜和傘の特徴
岐阜和傘は、畳むと細く収まる傘「細物」を特徴として、傘の製造に優れた技術を有し、豊富な装飾技法を継承している。
・和傘の種類
「蛇の目傘」→細みかつ色柄が豊富で女性が使用する事が多い
「番傘」→太めの骨や白の和紙で作られる男性用で、雨傘としても作られ、
わしには水除けの油が引かれる。
「舞踊傘」→日本舞踊や歌舞伎などで使われる
「野点傘(のだてかさ)」→野外のお茶会などで使われる
など様々な和傘が存在している。
・岐阜和傘が認められて…
2022年3月には、国の伝統的な工芸品に推定されている。
岐阜和傘の現状と課題
・岐阜和傘の今
現在、岐阜和傘を製造販売するのは加納地区に3件のみとなっている。最盛期だった頃と比べ、洋傘の普及に伴い、需要が減り、今の岐阜和傘の主な収入源としては、歌舞伎や日本舞踊などでの貸し出しや結婚式での貸し出しが主となっており、和傘を普段使いの傘として買う人は減少している。岐阜和傘は一つ一つが手作りで分業制で出来ているからこそ一本一本の値段が洋傘に比べると高く、中々手に届かないのも一つの原因となっていると考えられる。
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その現状を打破しようと様々な事が取り組まれてきている。最近だと岐阜市に岐阜県で唯一の和傘専門店である「CASA和傘」というショップが出来た。このショップでは「岐阜和傘」をブランド化し、現代に合わせ、洋服に合うデザインの岐阜和傘を店頭やオンラインショップ等で販売している。また、公式のホームページでは買った方の写真や感想などが掲載されていたり、岐阜和傘の種類等も掲載されており、和傘をより身近に普段使いしやすいサービス等が提供されている。
研究内容(仮)
岐阜和傘の普及の為に様々な取り組みが行われてきているが、現状はまだ若い世代に「岐阜和傘」の普及がないと考える。若い世代に「岐阜和傘」を知ってもらう為にもインターネットを通して、「岐阜和傘」の普及に努める。
◎岐阜和傘の歴史と人をアーカイブする
⇒「岐阜和傘」はどういう物なのかどの様な歴史なのか、今現在どの様に作られているのか作っている人をアーカイブし、公開する事で岐阜和傘について知ってもらう。
(例)職人の方の作業風景やインタビューを行いアーカイブする
岐阜和傘や岐阜の伝統工芸品にまつわる資料などをアーカイブする
◎岐阜和傘を通して長良川周辺にある伝統工芸品についても調べ、マップにする
⇒長良川周辺で生まれた岐阜うちわや岐阜提灯などを調べ、紙のマップにしたり、ウェブでのマップを作成する
(例)そこにある伝統工芸品についての歴史や豆知識などをタップして見れるようにする。
資料
1.岐阜市文化遺産~岐阜和傘について_(PPT)
2.岐阜市文化遺産~岐阜和傘について_(P DF
3.中間発表レジュメ_
4.中間発表プレゼン資料