飛騨支路・苅安峠
飛騨支路・苅安峠
位山
位山(標高1,529m)は飛騨のほぼ中央に位置する。宮峠から位山を経て川上(かおれ)岳(だけ)へと東西に連なる山系は「位山分水嶺」と呼ばれ、ここに発する川は日本海側と太平洋側へと分かれて海へと流れる。位山を源流とする宮川は飛騨の中央を縦断し、高原川と合流し神通川となって富山湾へと注いでいる。
位山のアララギは古来から笏(しゃく)を作って朝廷に献上していたことが知られ、アララギの和名「イチイ」は、この際に朝廷から「一位」を授けられたことによる。また、「位山」の名前はこの木を産する山であることによるとも言われている。
この付近には、イチイのほか、良材として知られたアカマツや、市指定天然記念物「苅安湿原植物群落自生地」に生える湿地性植物など、貴重な植物も多く自生している。
名所として知られた位山は文学の舞台ともなり、平安時代から多くの歌に詠まれてきた。また、位山の麓を通る位山道は、古代に飛騨と都とを行き来する「東山道飛騨支路」に始まる。飛騨国府から苅安峠、位山峠を通り、下呂へと至るこの道は、人とともに文化の橋渡しをする交流の道であった。
*説明版より
位山舟山県立自然公園(苅安峠)
位山舟山県立自然公園は、位山(1,529m)・舟山(1,480m)・川上岳(1,626m)に囲まれた自然公園で、宮村、久々野町、萩原町にまたがっている。
ここ位山分水嶺公園のある苅安峠は、乗鞍岳から宮峠、位山から川上岳に伸びる日本海側と太平洋側を分ける分水嶺上に位置する。この地は、かつて飛騨の工(たくみ)が都へ通った昔の官道(位山道)が通っていた所でもある。
ここより約300m北に行くと、スキーゲレンデの脇を通り位山山頂へと続く位山登山道の入口がある。登山道沿いの稜線部は、優れた自然植生が残っていることから、自然公園の特別地域として指定されており、「位山」の名の由来とされるイチイ(一位)も目にすることができる。
位山山頂へは、位山登山道を行くほかに、車でダナ平林道を進み、林道終点から巨石群登山道を行くルートがある。位山山頂からの眺めは素晴しく、御岳山、白山などの雄大な風景を望むことができる。
*説明版より
苅安湿原
苅安湿原は面積約0.55ha、位山から北東にのびる分水嶺上に位置している。
湿原全体は約40cmの泥炭層に覆われ、その上にミズゴケ湿原(高層湿原)が広がっている。木道からは四季それぞれに咲く湿性植物の花や、日本最小のトンボ(ハッチョウトンボ)など、貴重な生物が数多く観察できる
*説明版より