かんこ踊り
かんこ踊り
芸能がさかんな白山市白峰で、毎年7月18日前後の土曜日の晩に、街の中央で踊られる。7月18日は、越の僧泰澄が白山を開山したとされる日であるが、白峰では泰澄が白山から下山したとされている。「かんこ」とは、「神迎」とか踊り手が脇にかかえる皷(つづみ)を「かっこ」と呼んでいるからという説があるが定かではない。おどりは、男女、3人ずつが交互に円を描くように踊る。男性は、白装束に浅葱袴(あさぎばかま)にたすきをかけ右手に皷を持ち、歌に合わせてバチで皷をたたく。女性は、巫女装束で金色の扇子を開き、頭上に上げたりして舞う。歌詞は、8題ある。白山の「河内」地方と「御前」(白山)のことを記した作品で、3題目には、「河内の奥に煙が見える いねや出て霞か雲か 御前の山が焼けるのか お山の焼けの煙とあらば のうのが手を引け んなんぼをおぶせ そしておんじの裏山へ」「いね」=母親・妻、「おんじ」=山のかげ、「のの」=祖父、「んなんぼ」=幼児・一番末の男児、と白山の噴火活動に伴う避難の事を記しるされている。この踊りは、もともとは、白峰より南東約10㎞に位置する河内(こうち)と呼ばれた地区に伝わった踊りである。装束は本来、男女ともに野良着であったが、大正時代に白峰地区で踊られる頃に、現在のスタイルになった。また、同じ踊りは、白山の尾根を西に跨いだ大野市打波地区にも伝わる。三重県津市白山地区や松坂市にも同様な踊りがある。昭和35年5月27日に石川県指定無形民俗文化財に指定されている。現在は、ほかの民俗芸能も合わせた「白山祭り」の中で踊られる。
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