笠ヶ岳
笠ヶ岳
<生い立ちを秘める山体の縞模様>
高山市街地から北アルプス方面を眺めると、乗鞍岳の左側に蓑傘を伏せたような三角形をした山がみえる。これが山頂を他県と共有しない岐阜県の最高峰、笠ヶ岳(標高2,898ⅿ)である。
笠ヶ岳の山頂からの稜線はなだらかな連なりをもつのに対して、東側の山腹は険しく急峻な約1,400ⅿにおよぶ絶壁となり、そこにはほぼ水平に続く明瞭な縞模様がみられる。
笠ヶ岳をつくっている岩石は、笠ヶ岳流紋岩類と呼ばれ、濃飛流紋岩とほぼ同じ自亜紀末期から古第三紀へかけての時期(約7,000万年~約5,500万年前)に起こった激しい火山活動でつくられた。その火山活動は4回にわたって断続的に起こった。それぞれの活動では、大規模な火砕流や溶岩流の噴出と、陥没運動で生じた湖への砕屑岩類の堆積という経過を繰り返した。
山腹にみられる縞模様は、硬い溶結凝灰岩と軟らかい砕屑岩類との侵食の差が急な崖と緩斜面(かんしゃめん)の差となって現れたものである。どっしりと座った笠ヶ岳の山容と山腹の縞模様は、新穂高ロープウェーの終点から北西方の眼前にみることができる。
<引用文献>
岐阜県高等学校地学教育研究会編著『アース ウオッチング イン 岐阜』100頁 岐阜新聞社 出版局発行 平成7年