【授業】病態栄養管理
【授業】病態栄養管理
Ⅰ はじめに
「病態栄養管理」は、管理栄養士になるための専門科目である。先に学んだ「臨床栄養学各論Ⅰ」、「臨床栄養学各論Ⅱ」の3科目で臨床栄養学分野を完結する。本講座では、消化器疾患及び呼吸器疾患について、解剖生理学を復習しながら疾患のメカニズムを考え、必要栄養量と制限の必要性、制限の方法および薬物療法との係わりを学修する。
Ⅱ 授業の目的・ねらい
消化器疾患及び呼吸器疾患の必要栄養量、栄養素の制限の必要性を疾患のメカニズムから理解し、食事療法の方法、薬物療法と栄養療法の併用による栄養管理の方法を修得する。そして、傷病者の栄養状態の把握及び病状に応じた栄養ケアプランを立案できる基礎知識を修得することを目的にする。
Ⅲ 授業の教育目標
15回の授業教育目標を示し、各講に学修到達目標を設定し、個々に学修の到達を確認することができる。
第1講
1.何を学ぶか
消化器疾患の概要、胃炎の病態及び食事療法について学ぶ
2.学習到達目標
・消化器の解剖を説明できる。
・急性胃炎と慢性胃炎を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.口から肛門までの消化器
2.急性単純性胃炎の原因
3.急性胃炎の症状
4.慢性胃炎の食事療法
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第2講
1.何を学ぶか
消化性潰瘍の病態及び食事療法について学ぶ。
2.学習到達目標
・胃・十二指腸潰瘍の原因を説明できる。
・胃・十二指腸潰瘍の食事療法を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.胃・十二指腸潰瘍の原因と症状
2.胃潰瘍の食事療法の目的と原則
3.胃潰瘍の食事療法の注意点
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第3講
1.何を学ぶか
胃がんの病態及び食事療法について学ぶ。
2.学習到達目標
・胃がんの術前の注意点を説明できる。
・胃切除術後の合併症を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.胃がんの症状
2.がんの治療原則
3.胃がんの術前管理
4.胃切除術後の合併症
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第4講
1.何を学ぶか
胃切除術後の栄養管理、大腸がん切除後の栄養管理について学ぶ。
2.学習到達目標
・ダンピング症候群の予防を説明できる。
・胃切除術後の食事療法を説明できる。
・大腸がん切除後の食事の注意点を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.胃切除術後の食事基準
2.ダンピング症候群と貧血の予防
3.大腸がんの特徴
4.人工肛門増設後の食事の注意点
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第5講
1.何を学ぶか
炎症性腸疾患(クローン病)について学ぶ。
2.学習到達目標
・炎症性腸疾患の定義を説明できる。
・クローン病の特徴と症状を踏まえ、その治療及び食事療法を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.炎症性腸疾患とは
2.クローン病の特徴と症状
3.クローン病治療で用いる経腸栄養剤の特徴
4.n-3/n-6及びそれぞれの脂肪酸の特徴とそれらを多く含む食品
5. クローン病の食事基準及び食事療法の注意点
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第6講
1.何を学ぶか
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎)、過敏性腸症候群について学ぶ。
2.学習到達目標
・潰瘍性大腸炎の特徴、薬物療法、食事療法を説明できる。
・過敏性腸症候群の症状とその症状に合わせた食事療法を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.潰瘍性大腸炎の特徴
2.潰瘍性大腸炎の食事基準
3.潰瘍性大腸炎の食事療法の注意点
4.薬剤(サアゾスルファピリジン)により欠乏する栄養素と症状
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第7講
1.何を学ぶか
肝臓の働きと障害について学ぶ。
2.学習到達目標
・肝臓の働きを説明できる。
・肝機能が低下した場合に起こる障害を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.肝臓の働き
2.肝機能が低下した場合に起こる障害
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第8講
1.何を学ぶか
肝炎の病態と食事療法について学ぶ。
2.学習到達目標
・ウィルス性肝炎の種類、感染経路、症状を説明できる。
・慢性肝炎の原因と症状、食事療法を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.ウィルス性肝炎の分類と感染経路及び特徴
2.慢性肝炎の定義及び特徴
3.慢性肝炎の食事療法(食事基準含む)
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第9講
1.何を学ぶか
肝硬変の病態について学ぶ。
2.学習到達目標
・肝硬変になる原因と病態及び合併症が起こるメカニズムを説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.肝硬変の原因
2.肝硬変の病態と合併症及びそのメカニズム
3.間接ビリルビンと直接ビリルビン(黄疸)
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第10講
1.何を学ぶか
肝硬変の病態について学ぶ。
2.学習到達目標
・肝硬変の病期分類を説明できる。
・肝硬変により生じる合併症を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.検査所見に基づいた病期分類
2.アミノ酸インバランス
3.肝硬変の食事基準
4.LES(Late Evening Snack)の有用性
5.食道静脈瘤を合併する場合の食事の注意点
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第11講
1.何を学ぶか
肝硬変患者の症例から問題を抽出し、栄養食事指導のプランを立案する。
2.学習到達目標
・症例の栄養状態を判定できる。
・症例から問題点を抽出できる。
・症例の必要栄養量を算出できる。
・合併症に配慮した食事療法(食事量、食事の摂り方)の立案ができる。
3.研究課題
症例について説明しなさい。
1.問題点
2.必要栄養量
3.食事療法の注意点
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第12講
1.何を学ぶか
胆石症の病態と食事療法、膵炎の病態と食事療法について学ぶ。
2.学習到達目標
・胆石症の原因と症状から食事療法を説明できる。
・膵炎の病態と原因から食事療法を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.胆石の種類と胆石症の原因及び症状
2.胆石症が閉経後の女性に多い理由
3.急性膵炎の原因と症状
4.慢性膵炎の原因及び病期分類
5.慢性膵炎の合併症
6.急性膵炎、慢性膵炎の食事基準と注意点
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第13講
1.何を学ぶか
慢性閉塞性肺疾患の病態について学ぶ。
2.学習到達目標
・慢性閉塞性肺疾患の病態と原因、症状を説明できる。
・慢性閉塞性肺疾患の合併症を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.慢性閉塞性肺疾患のメカニズム、原因、症状
2.1秒率
3.慢性閉塞性肺疾患の合併症
4.慢性閉塞性肺疾患の治療ポイント
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第14講
1.何を学ぶか
慢性閉塞性肺疾患の栄養評価について学ぶ。
2.学習到達目標
・慢性閉塞性肺疾患の栄養評価の方法を説明できる。
・呼吸性アシドーシスのメカニズム及び原因を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.慢性閉塞性肺疾患の栄養評価
(LBM、RTP含む)
2.呼吸性アシドーシスの原因
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第15講
1.何を学ぶか
慢性閉塞性肺疾患の食事療法について学ぶ。
2.学習到達目標
・慢性閉塞性肺疾患の食事療法を説明できる。
・慢性閉塞性肺疾患患者が陥りやすい栄養障害を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.慢性閉塞性肺疾患の食事療法のポイント
2.慢性閉塞性肺疾患で脂質摂取量を多くする理由
3.呼吸商と食事療法の関係
4.慢性閉塞性肺疾患患者がn-3系多価不飽和脂肪酸,CoQ10を摂取するとよい理由
5.慢性閉塞性肺疾患患者が食事をするときに必要な配慮
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
Ⅳ レポート課題
課題1
肝硬変の原因と特有の合併症を説明し、必要な栄養管理について説明しなさい。
課題2
慢性閉塞性肺疾患の食事療法について、その必要性も含めて説明しなさい。
Ⅴ アドバイス
課題1解説
肝硬変は肝炎の末期像として発症します。そして肝臓のさまざまな機能が低下することによって種々の合併症を起こします。それらの合併症も考えながら、どんな栄養管理が、なぜ必要かを考えてみましょう。
課題2解説
慢性閉塞性肺疾患は気管の炎症や狭窄によって起こります。末期には肺でのガス交換が不十分であるがゆえに呼吸苦が見られます。そのために食事療法における特別な配慮が必要です。脂質や食事量、食事の形態などに注目して考えてみましょう。
Ⅵ 科目修得試験:対面による筆記試験
Ⅶ テキスト
ステップアップ 栄養・健康科学シリーズ 臨床栄養学 東山幸恵編(科学同人)
Ⅷ 参考文献
病態栄養ガイドブック:日本病態栄養学会(メディカルレビュー)
臨床病態栄耀学 武田英二(文光堂)
今日の病態栄養療法 渡辺明治(南江堂)
栄養食事療法シリーズ2 たんぱく質コントロールの栄養食事療法 渡辺早苗ほか(建帛社)
栄養食事療法シリーズ3 脂質コントロールの栄養食事療法 渡辺早苗ほか(建帛社)
栄養食事療法シリーズ10 消化器・術前術後・呼吸器・内分泌疾患の栄養食事療法 渡辺早苗ほか(建帛社)