【講座】小中連携教育コーディネータ概論

小中連携教育コーディネータ概論

1.はじめに
小中連携教育については,これまで全国的な取組の検証や支援の在り方等に関する検討はなされていない.児童が,小学校から中学校への進学において,新しい環境での学習や生活へ移行する段階で,不登校等が増加したりするいわゆる中1ギャップが指摘されている.各種調査によれば,「授業の理解度」「学校の楽しさ」「教科や活動の時間の好き嫌い」について,中学生になると肯定的回答をする生徒の割合が下がる傾向にあることや,「学習上の悩み」として「上手な勉強の仕方がわからない」と回答する児童生徒数や,暴力行為の加害児童生徒数,いじめの認知件数,不登校児童生徒数が中学校1年生になったときに大幅に増える実態が明らかになっている.
小・中学校が地域において小中連携,一貫教育をどのように展開していくか考えた場合,児童生徒の義務教育9年間におけるよりよい学びの実現や生徒指導上の様々な課題の解決のためには,小中連携,一貫教育と地域連携に併せて取り組むことで大きな効果が期待できる.
また,現行制度上,小学校教員は全教科を指導し,中学校教員は特定の教科を指導しているが,各学校段階の中で職能を高めることに加え,小中一貫教育を契機として,異なる学校段階の教科指導について学ぶことで教員の資質能力の幅を広げるとともに質を更に高め,義務教育段階の児童生徒のための教員となることで,義務教育の目的の実現,目標の達成をよりよく図っていく必要がある.
教員が学校種の枠を越えて義務教育段階の教員となるための工夫の在り方として,他校種における教育の在り方について早い段階から学習し,その良いところを吸収することができるよう,例えば,新規採用された教員を採用から数年以内に他校種で勤務させる等,小・中学校教員間の人事交流を促進していくことが考えられる.具体的には,都道府県の人事異動方針に小・中学校間の教職員の交流の促進を定めることが考えられ,その際市町村,都道府県間の連携を一層深め,対応していくことが必要である.

第1講 小中連携に関する社会的背景

小中連携教育,一貫教育に取り組む学校,市町村においては,小学校から中学校への進学において,新しい環境での学習や生活へ移行する段階で,不登校等の生徒指導上の諸問題につながっていく事態等(いわゆる中1ギャップ)に直面し,小学校から中学校への接続を円滑化する必要性を認識し,小中連携教育,一貫教育に取り組み始めたケースが見られる.特に,学校間の連携・接続に関する現状と課題認識においても述べたとおり,児童生徒の発達が早まっていることを踏まえ,小学校高学年から中学校入学後までの期間に着目し,当該期間に重点的な取組を行う例が見られる.
小中連携,一貫教育に取り組み始めた契機がいわゆる中1ギャップに直面したことであったとしても,学校,市町村においては,それぞれの取組にあたっての目的を明確化するとともに関係者で共有し,学校全体で組織的に取り組むことで,小中一貫教育の成果を上げることが期待される.
【学習到達目標】
・小中連携教育に関する社会的な課題について説明できる.
・小学校教員に求められる専門性について具体例を示して説明できる.
・小学校と中学校の円滑な接続の在り方について説明できる.
【課 題】
1.教員の資質向上についてその方策について説明しなさい.
2.小中連携教育に求められる専門性について,具体例を挙げて説明しなさい.
3.それぞれ地域の教員のキャリアステージにおける資質の向上に関する指標を説明しなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第1講_小中連携に関する社会的背景)
【動画資料】

第2講 小中連携教育コーディネータ

本制度は,教員が新たに他校種の免許を取得する必要もなく,学校にとって活用しやすいものであると思われるが,小学校教諭の免許状を有していない中学校教員は,大学における養成課程において小学校における教科の指導法等について学修していないことから,小学校における指導に困難を伴うことがあるとの指摘もある.そこで,実際の小学校における指導に当たっては,小学校の養成課程の内容を学修するために,小中連携教育コーディネータという新たなキャリアを取得することにより,小中連携教育がスムーズに行うことができる.
【学習到達目標】
・小中連携教育コーディネータついて説明できる.
・小中連携教育コーディネータの活動について具体的に説明できる.
【課題】
1.小中連携教育コーディネータついて説明しなさい.
2.小中連携教育コーディネータの活動について具体的に説明しなさい.
3.ペダゴジー(pedagogy)とアンドラゴジー(andragogy)に違いについて具体例を挙げて説明しなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第2講_小中連携教育コーディネータ)
【動画資料】

第3講 ハイブリッド型授業のデザイン

未来社会を見据えて育成すべき資質・能力を育むためのこれら3つの「新たな学び」やそれを実現していくための「新たな学びの空間」を形成するためにICTを効果的に活用することが重要である.さらに,ICTを活用することで,チームとしての学校の経営力を高め,教育の質の向上と教員が子供と向き合う時間的・精神的余裕を確保することにつながる.そこで,ここでは「新たな学び」の一つである遠隔授業の教育利用・研究での課題について考える.
【学習到達目標】
・ハイブリット型授業について具体的に説明できる.
・ハイブリット型授業について授業設計ができる.
【課題】
1.遠隔教育の変遷について説明しなさい.
2.ハイブリット型授業の3つのパターンについて,具体例を挙げて説明しなさい.
3.ハイブリット型授業を具体的に企画しなさい.
4.ハイブリット型授業の課題について具体例を挙げて説明しなさい.
5.遠隔教育の必要性について具体例を挙げて説明しなさい.
6.遠隔協働学習を企画し,実際に実践してみなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第3講_ハイブリッド型授業のデザイン)
【動画資料】

第4講 「教えないで学べる」という新たな学び

「インストラクショナルデザイン」や「教えないで学べる」学習環境は,キャロルの学校学習の時間モデルの授業の質を高め,授業理解力を助け,学習機会や学習持続力を高めるための手法であり,学習環境でもある.「教えないで学べる」ためには,これらの手法や学習環境を整備することによって実現するものであり,学習者の学ぶ意欲を促し,自律的に継続して学ぶ力をつけていくことが重要である.
【学習到達目標】
・「教えないで学べる」とはどのようなことは具体例を挙げて説明できる.
・「教えないで学べる」という新たな学びの設計ができる.
【課題】
1.J・B・キャロル(Carroll)の学校学習の時間モデルについて説明しなさい.
2.「教えないで学べる」学習環境について具体的に説明しなさい.
3.「教えないで学べる」研修を実現するための手立てを考えなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第4講_「教えないで学べる学習」という新たな学び)
【動画資料】

第5講 キャリアステージに対応した中学校教諭に求められる資質・能力の構造化

中学校教諭として不易とされる資質・能力と新たな課題に対応できる力並びに組織的・協働的に諸問題を解決する力を中心にキャリアステージに対応した中学校教諭の資質・能力を明確化し,講座の学習目標の分析と構造化を図り,資質・能力とのカリキュラムマップを作成するとともに各講座のタキソノミーテーブルについて考える.
【学習到達目標】
・キャリアステージに対応した中学校教諭に求められる資質・能力を説明できる.
【課題】
1.キャリアステージに対応した中学校教諭に求められる資質・能力を説明しなさい.
2.キャリアステージに対応した中学校教諭に求められる資質・能力は,どのような活動によって向上できるかについて具体例を挙げて説明しなさい.
3.キャリアステージに対応した中学校教諭に求められる資質・能力について,自己をメタ認知し,どの部分が不足し,その不足を補う方法を説明しなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第5講_キャリアステージに対応した中学校教諭に求められる)
【動画資料】

6講 小中連携教育コーディネータ養成カリキュラム

小中連携にまつわる社会的な課題である教員の質の向上は,特に資質向上期の教員を対象に教員免許の併有を推進すると共に,国内外における学校教育の重要性についての認識を高め,学校教育の量の拡充だけでなく,質の向上を求める声を高め,新たな学びを創造する資質が教員にも求められていることの再認識をすることが必要である.ここでは,小中連携教育コーディネータ養成カリキュラムについて考える.
【学習到達目標】
・小中連携教育コーディネータに求められる資質・能力を説明できる.
【課題】
1.小中連携教育コーディネータに求められる資質・能力を説明しなさい.
2.インストラクショナルデザイン指導力について具体例を挙げて説明しなさい.
3.インストラクショナルデザインを活用した授業改善について,具体例を挙げて説明しなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第6講_小中連携教育コーディネータ養成カリキュラム)
【動画資料】

第7講 学習目標の分析と学習目標のデザイン

目標の構造は,子どもの実態によって変わる.子どもの実態,先生の指導方法・指導力,そういうことを含めた教材研究がなされて初めて目標分類ができる.ここでは,小中連携教育コーディネータの学習目標の分析を考える.
【学習到達目標】
・BS.ブルームの「教育目標の分類学」を説明できる.
【課題】
1.ブルームの教育目標分類について,行動目標による例を取り上げて説明しなさい.
2.ガニェの学習成果の5分類について,具体例を挙げて説明しなさい.
3.明確な学習目標について,具体的な単元において設定しなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第7講_学習目標の分析と学習目標のデザイン)
【動画資料】

第8講 教育DX時代における新たな学び

子供たち一人一人に個別最適化され,創造性を育む学びとは何か,その実現のための“新たな学び”とはどのような学びで,従来の学びとどのように異なるのかについて考える.
【学習到達目標】
・教育DX時代の社会の変化について説明できる.
・教育DX時代における新たな学びについて具体例を示して説明できる.
・従来の学びと教育DX時代における“新たな学び”との関係について説明できる.
【課題】
1.教育DX(Digital Transformation)についてその効果と可能性について説明しなさい.
2.GIGAスクール構想について,具体例を挙げて説明しなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第8講_教育DX時代における学び)
【動画資料】

第9講 21世紀に求められる学力と学習環境

21世紀に求められる学力を育む新たな授業と評価について,背景や実践事例を紹介しながら考える.
【学習到達目標】
・21世紀に求められる学力について説明できる.
・資質・能力を引き出す授業の条件を説明できる.
【課題】
1.知識基盤社会に求められる学力について説明しなさい.
2.21世紀型スキルについて,具体例を挙げて説明しなさい.
3.評価の方法について具体例を挙げて説明しなさい.
4.変容的評価を行う指導案を作成しなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第9講_21世紀に求められる学力と学習環境)
【動画資料】

第10講 新たな学びと教育リソース

日本では1980年代から「自己教育力」が推奨され,「自ら学び自ら考える力」が重視されている.このことは,他律的でなく自律的な学習態度の教育が重要になっている.ここでは,この実践的資質・能力の向上と,反転授業での活用を想定した教育リソースの開発について考える.
【学習到達目標】
・反転授業について具体例を挙げて説明できる.
・反転授業について具体的に授業設計ができる.
【課題】
1.反転授業とその効果と可能性について説明しなさい.
2.反転授業の学習展開について具体的に説明しなさい.
3.反転授業の学習展開について具体的に指導案を作成しなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第10講_新たな学びと教育リソース)
【動画資料】

第11講 教えて考えさせる授業の展開

小学校理科における児童の多視点映像教材を活用した実験支援方法に関する研究を通じて,教えて考えさせる授業の展開について考える.
【学習到達目標】
・多視点映像教材の処理方法について順を追って説明できる.
・多視点映像教材を使った“教えて考えさせる授業”への展開について説明できる.
【課題】
1.多視点映像教材の処理方法について順を追って説明しなさい.
2.多視点映像教材を使った,教えて考えさせる授業への展開について説明しなさい.
3.マルチアングル映像と多視点映像の違いと特徴を説明しなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第11講_教えて考えさせる授業の展開)
【動画資料】

第12講 研修の目標とその評価方法

研修の設計の考え方において,1960年代に米国の教育工学研究者のロバート・メーガー (Robert F. Mager)は,次の3つの質問をすることで,研修の目標と評価方法を定めることの重要性について考える.
【学習到達目標】
・ロバート・メーガー (Robert F. Mager)の3つの質問について説明できる.
・研修目標の明確化について具体例を挙げて説明できる.
【課題】
1.ロバート・メーガー (Robert F. Mager)の3つの質問について説明しなさい.
2.研修目標の明確化について具体例を挙げて説明しなさい.
3.「知識習得モデル」と「知識創造モデル」の違いと特徴を説明しなさい.
4.変容的評価について説明をしなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第12講_研修の目標とその評価方法)
【動画資料】

第13講 自律的なオンライン研修の分析と設計

教えない研修が実現するためには,自律的な学習者となることが重要であり,自律的な学習者であれば自律的なオンライン研修が実現する.ここでは,自律的なオンライン研修の分析と設計について考える.
【学習到達目標】
・e-Learningという学習について説明できる.
・研修の効果分析について具体例を挙げて説明できる.
【課題】
1.自律的なオンライン研修について,具体的に企画しなさい.
2.研修の効果測定について具体例を挙げて説明しなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第13講_自律的なオンライン研修の分析と設計)
【動画資料】

第14講 協働的な学びのデザイン

人は社会的な関わりの中で学び,柔軟な知識を育てていく.このベースとなる考えを知識の社会的構成主義モデル(三宅,2011)と呼んでいる.これは人がもともと持っている他人との相互作用を通して自分自身の考えを少しずつ向上させる能力を顕在化し,その試みを繰り返すことによって人は社会的に賢くなっていくという考え方 (Palincsar & Brown ,1984; Miyake,N ,1986)について考える.
【学習到達目標】
・協働学習の考え方を理解し実際に授業デザインできる.
・ワークショップの手法を5種類説明できる.
・ジグソー学習について説明できる.
【課題】
1.協働学習の必要性について具体例を挙げて説明しなさい.
2.知識構成型ジグソー法による指導案を作成しなさい.
3.大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)を参考に,知識構成型ジグソー法の教材を作成しなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第14講_協働的な学びのデザイン)
【動画資料】

第15講 「教える」から「学ぶ」への変革

行動主義の代表としてはバラス・スキナー(B.F.Skinner),認知主義の代表としてはピアジェ(J,Piaget)の理論を取り上げ,カリキュラム改革運動期における教授・学習論について考える.さらに,構成主義的学習論から社会的構成主義に至る経緯を考える.
【学習到達目標】
・教授学習に関する基本的な理論を具体的に説明できる.
・行動主義と認知主義の2つの学習論の区別を説明できる.
【課題】
1.行動主義的学習論と認知主義的学習論,構成主義的学習論に対応した課題(問題)を作成しなさい.
2.社会人の学習方法の特徴について具体例を挙げて説明しなさい.
【プレゼン資料】
小中連携教育コーディネータ概論_プレゼン(第15講_「教える」から「学ぶ」への変革)
【動画資料】

 

テキスト

1.小中連携教育コーディネータ概論_テキスト_表紙
2.小中連携教育コーディネータ概論_テキスト

 

 

 

 

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