【授業】臨床栄養学各論Ⅰ
Ⅰ はじめに
「臨床栄養学各論Ⅰ」は、栄養士・管理栄養士になるための専門科目である。続けて学ぶ「臨床栄養学各論Ⅱ」、「病態栄養管理」の3科目で臨床栄養学分野を完結する。本講座では、3科目の中でもごく身近に接することが多い栄養性疾患、代謝性疾患を中心に、解剖生理学を復習しながら疾患のメカニズムを考え、解剖生理学を復習しながら疾患のメカニズムを考え、必要栄養量と制限の必要性、制限の方法および薬物療法との係わりを学修する。
Ⅱ 授業の目的・ねらい
栄養性疾患,代謝性疾患の必要栄養量、栄養素の制限の必要性を疾患のメカニズムから理解し、食事療法の方法、薬物療法と栄養療法の併用による栄養管理の方法を修得する。そして、傷病者の栄養状態の把握及び病状に応じた栄養ケアプランを立案できる基礎知識を修得することを目的にする。
Ⅲ 授業の教育目標
15回の授業教育目標を示し、各講に学修到達目標を設定し、個々に学修の到達を確認することができる。
第1講 肥満症の定義と分類
1.何を学ぶか
肥満症の定義と分類、肥満と肥満症の違いを学ぶ。
2.学習到達目標
・肥満の分類を説明できる。
・肥満と肥満症の違いを理解できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.肥満症
2.原発性(単純性)肥満
3.二次性(症候性)肥満
4.肥満度分類
4.映像資料
5.プレゼン資料
第1講_肥満症の定義と分類
6.テキスト
第2講 肥満症の病態
1.何を学ぶか
レプチン抵抗性、健康障害、合併症など肥満症の病態について学ぶ。
2.学習到達目標
・肥満に伴う健康障害を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.レプチン抵抗性
2.肥満に伴う健康障害
3.肥満で起こりやすい合併症
4.高度肥満症で注意が必要な疾患
4.映像資料
5.プレゼン資料
第2講_肥満症の病態
6.テキスト
第3講 肥満症の治療
1.何を学ぶか
肥満症の治療目標と減量目的、減量のための運動療法、メタボリックシンドロームについて学ぶ。
2.学習到達目標
・肥満症の治療目標と正しい減量目的を説明できる。
・減量のための運動療法を説明できる。
・メタボリックシンドロームの治療意義とアディポサイトカインを説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.肥満症の診断
2.内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満
3.肥満症の治療目標
4.減量の注意点(LBM)
5.高度肥満症の薬物療法
6.肥満症の運動療法
7.メタボリックシンドロームとアディポサイトカインの種類
4.映像資料
5.プレゼン資料
第3講_肥満症の治療
6.テキスト
第4講 肥満症の食事療法
1.何を学ぶか
減量のためのエネルギー出納、肥満症の食事療法について学ぶ。
2.学習到達目標
・体脂肪1kgを減らすためのエネルギー出納を説明できる。
・肥満症の食事基準及び食事療法の注意点を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.体脂肪を減らすために負にするエネルギー量の算出方法
2.肥満症の食事療法(食事基準含む)、注意点
3.超低エネルギー食療法(VLCD)とその注意点、適応、禁忌
4.映像資料
5.プレゼン資料
第4講_肥満症の食事療法
6.テキスト
第5講 糖尿病の概要
1.何を学ぶか
糖尿病の概要およびインスリンの働きについて学ぶ。
2.学習到達目標
・インスリンの働きから高血糖になるメカニズムを説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.糖尿病とは
2.インスリンの働き(絶対的欠乏、相対的欠乏、インスリン抵抗性)
3.ブドウ糖が細胞に取り込まれる(血糖値が下がる)仕組み
4.GLUT4の働き
5.高血糖の結果起こること
4.映像資料
5.プレゼン資料
第5講_糖尿病の概要
6.テキスト
第6講 糖尿病の分類および合併症
1.何を学ぶか
糖尿病の分類および合併症について学ぶ。
2.学習到達目標
・糖尿病の分類をできる。
・1型糖尿病と2型糖尿病の違いを説明できる。
・糖尿病の合併症を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.糖尿病の分類
2.糖尿病の典型症状
3.糖尿病の急性合併症と慢性合併症
4.映像資料
5.プレゼン資料
第6講_糖尿病の分類および合併症
6.テキスト
第7講 糖尿病の検査
1.何を学ぶか
糖尿病治療でよく用いられる臨床検査所見について学ぶ。
2.学習到達目標
・診断に用いられる以下の検査と評価を説明できる。
・随時血糖値
・HbA1c
・Cペプチド
・ブドウ糖負荷試験
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.随時血糖値
2.HbA1c
3.糖尿病の診断基準
4.赤血球による貧血分類
5.Cペプチド
4.映像資料
5.プレゼン資料
第7講_糖尿病の検査
6.テキスト
第8講 糖尿病治療の目標
1.何を学ぶか
糖尿病の治療とその計画、運動療法について学ぶ。
2.学習到達目標
・糖尿病治療の短期目標、中期目標、長期目標を説明できる。
・糖尿病の運動療法を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.糖尿病の治療目標
2.血糖コントロール指標
3.糖尿病の運動療法の効果
4.推奨される運動
5.運動療法の注意点(禁忌、制限が必要な状態を含む)
4.映像資料
5.プレゼン資料
第8講_糖尿病治療の目標
6.テキスト
第9講 糖尿病の薬物療法①
1.何を学ぶか
糖尿病の経口治療薬について、そのメカニズムから学ぶ。
2.学習到達目標
・主な経口糖尿病薬とその機序を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.インスリン抵抗性改善薬
2.インスリン分泌促進薬
3.糖吸収・排泄調節薬とその注意点
4.映像資料
5.プレゼン資料
第9講_糖尿病の薬物療法①
6.テキスト
第10講 糖尿病の薬物療法②
1.何を学ぶか
糖尿病の注射薬(適応の分類、低血糖発作時など)について学ぶ。
2.学習到達目標
・糖尿病注射薬の適応と分類、低血糖発作発症時の対応を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.インスリン療法の目的と適応
2.インスリン分泌パターンとそれを補うインスリンの種類
3. GLP-1受容体作動薬の特徴と適応
4.映像資料
5.プレゼン資料
第10講_糖尿病の薬物療法②
6.テキスト
第11講 糖尿病の食事療法①
1.何を学ぶか
糖尿病の食事療法の目的、食事基準、制限が必要な栄養素について学ぶ。
2.学習到達目標
・糖尿病食事療法の目的、食事基準を説明できる。
・制限が必要な栄養素とその必要性を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.糖尿病の食事療法の目的
2.糖尿病患者の食事基準
3.三大栄養素摂取の注意点
4.映像資料
5.プレゼン資料
第11講_糖尿病の食事療法①
6.テキスト
第12講 糖尿病の食事療法②
1.何を学ぶか
糖尿病の食事療法におけるビタミンの作用、不足しやすいビタミン、血糖上昇に配慮した食品選択を学び、糖尿病食事療法のための食品交換表を使用する目的を学ぶ
2.学習到達目標
・糖尿病治療とビタミン摂取の関係を説明できる。
・血糖上昇に配慮した食品を選択できる。
・糖尿病食事療法のための食品交換表の目的を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.血糖コントロールに必要なビタミン
2.食物繊維の有用性と多く含む食品
3.血糖値を上げにくい食べ方
4.レジスタントスターチ
5.糖尿病食事療法のための食品交換表
4.映像資料
5.プレゼン資料
第12講_糖尿病の食事療法②
6.テキスト
第13講 糖尿病の食事療法③
1.何を学ぶか
糖尿病の食事療法において用いる糖尿病食事療法のための食品交換表の使い方を学ぶ。
2.学習到達目標
・糖尿病食事療法のための食品交換表の使い方を説明できる。
・必要栄養量から食料構成を作成できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.必要栄養量から食料構成作成のための注意点
4.映像資料
5.プレゼン資料
第13講_糖尿病の食事療法③
6.テキスト
第14講 糖尿病の食事療法④
1.何を学ぶか
常食から糖尿病食への食事展開を学ぶ。
2.学習到達目標
・糖尿病食事療法のための食品交換表を用いて、常食から展開できる。
3.研究課題
以下の課題に取り組みなさい。
1.常食からの展開
作成した食料構成を用いて常食からメニューを展開する
4.映像資料
5.プレゼン資料
第14講_糖尿病の食事療法④
6.テキスト
第15講 糖尿病の食事療法⑤
1.何を学ぶか
症例から問題を抽出し、栄養食事指導のプランを立案する。
人工甘味料の種類と特性を学ぶ。
2.学習到達目標
・症例から課題を抽出し、必要栄養量の提案をし、注意すべき栄養素を説明し、食品を例に挙げて指導計画を立案できる。
・人工甘味料の種類ごとに、特性(用い方の注意点)を説明できる。
3.研究課題
以下について説明しなさい。
1.必要栄養量の求め方
2.糖尿病患者が摂ると良い食品、避けたほうが良い食品
3.人工甘味料の種類と特性
4.映像資料
5.プレゼン資料
第15講_糖尿病の食事療法⑤
6.テキスト
Ⅳ レポート課題
課題1
肥満症の治療ポイントをLBMを考慮して説明しなさい。
課題2
糖尿病の食事療法の目的を長期目標、中期目標、短期目標を考慮して説明し、血糖コントロールに配慮した食事の摂り方を説明しなさい。
Ⅴ アドバイス
課題1解説
LBMは栄養状態に限らず、健康維持、感染症予防のために大変重要です。LBMとは何か、またLBMを減らすことなく減量する重要性を述べ、減量のためにどのようなことに注目して指導する必要があるかを考えてみましょう。
課題2解説
国民病と言われるほど2型糖尿病が増加しています。一旦糖尿病になると完治はしません。そのため、生涯にわたり運動療法と食事療法を継続しなければなりません。さらに、その先の合併症を予防するためにも大変重要な治療法です。そこで、何のために食事療法をしなければならなく、いつ、何を、どのように、どれくらい摂ると良いのかを考えてみましょう。
Ⅵ 科目修得試験:対面による筆記試験
Ⅶ テキスト
ステップアップ 栄養・健康科学シリーズ 臨床栄養学 東山幸恵編(科学同人)
糖尿病食事療法のための食品交換表 日本糖尿病学会編(文光堂)
Ⅷ 参考文献
症例からみた臨床栄養学:加藤昌彦ほか(東京教学社)
NCMシリーズ1代謝・内分泌疾患:幣憲一郎ほか(医歯薬出版)
肥満学会編ガイドライン・指導マニュアル:(医歯薬出版)
わかりやすい疾患別栄養ケア・マネージメント献立から指導まで:江崎すずほか(学建書院)
臨床病態栄耀学 武田英二 文光堂
今日の病態栄養療法 渡辺明治 南江堂
栄養食事療法シリーズ1 エネルギーコントロールの食事療法 渡邉早苗他 建帛社
日本糖尿病学会:糖尿病治療ガイド(文光堂)