授業】情報処理Ⅰ~情報処理応用演習
【岐阜女子大学データサイエンス基礎教育プログラム】
【授業】情報処理Ⅰ~情報処理応用演習
Ⅰ はじめに
世界ではデジタル化とグローバル化が進み,社会・産業の転換が大きく進んでいます。「数理・データサイエンス・AI」は,今後のデジタル社会の基礎知識(いわゆる「読み・書き・そろばん」的な素養)として捉えられ,大学・高専の全ての学生が身に付けておくべき素養になっています。このため,数理・データサイエンス・AIのリテラシーレベルの教育では,
・なぜ、数理・データサイエンス・AIを学ぶのか理解すること
・社会でどのように活用され新たな価値を生んでいるのか理解すること
・AIの得意なところ,苦手なところを理解し,人間中心の適切な判断が出来ること
・社会の実データ,実課題を適切に読み解き,判断できること
など,日常の生活,仕事等の場で,これらを実際に道具として上手に活用することが出来る基礎的素養を修得することが求められています。
情報科学やデータサイエンスの専門分野を志す学生の基礎教育としてではなく,全ての学生が今後の社会で活躍するにあたって学び身に付けるべき,新たな時代の教養教育とも言うべきものになっています。
Ⅱ 授業の目的・ねらい
・データ・AIによって社会や日常生活が大きく変化していること,その利活用により新しい価値が生まれていることを学ぶとともに限界があることも学ぶ。
・データを読み解き,適切に説明・表現するためのデータ処理実習を行う。
・データやAIを利用する際の留意点を学ぶ。
準備学習の具体的内容
データやAIが身の回りや社会で利用されている状況を観察し,どのように利活用していけるかを考えるとともに,注意すべき点を考えておく。
Ⅲ 授業の教育目標
・今後のデジタル社会において,数理・データサイエンス,AIを日常の生活や仕事で使いこなすことができる基礎的素養を主体的に身につける。
・学修した数理・データサイエンス,AIに関する知識・スキルをもとにして,これらを扱う際には,人間中心の適切な判断ができ,不安なく自らからの意思でAI等の恩恵を享受し,これらを説明し,活用できるようになる。
・データサイエンス・AIを学ぶ目的やデータやAIを活用する価値を説明できる。
・社会におけるデータやAIの利活用事例を知り,データ・AIによって社会および日常生活が大きく変化していることを理解する。
・データを適切に読み解く,データを適切に説明する,データを扱うための基礎的なデータ処理のスキルを身につける
・データやAIを利活用する際に求められるモラル・倫理,データ駆動型社会における脅威(リスク),個人の情報を守るための留意事項を説明できる。
★受講上の注意
・この授業は,全学生必修です。
・授業コンテンツ(授業ビデオ,授業資料など)はGoogle Classroomに掲載します。
・各講,毎週着実に取り組むこと (期末近くになって,まとめて取り組むことがないように)
・各回の課題提出をもって,各回の出席とします。
・最終課題の提出をもって,定期試験の代わりとします。
予習事項
☆各講とも予習事項として,教科書各章を精読する。
テーマ1 オリエンテーション,データサイエンスへようこそ,AIにサポートされる社会
1.何を学ぶか
・データサイエンスで学ぶこと
・データサイエンスを学ぶ心構え
・AIによる共助の促進
・AIに代替される経験知
・生成AIと利用
・AIと人間との共同作品
2.学習到達目標
・「数理/データサイエンス/AI」が、今後の社会における「読み/書き/そろばん」であることを理解する。
・データサイエンスを学ぶ意義,目標や心構えを理解する。
・データ・AIによって、社会および日常生活が大きく変化していることを理解する。
・人間の知的活動とAIの関係性を理解する
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ2 情報をめぐる世の中の潮流
1.何を学ぶか
・情報を利活用する技術の変遷
・Society5.0に向けた情報利活用の課題と対策
・情報利用による課題と変革例
2.学習到達目標
・情報技術の変遷を理解する。
・ビックデータにはどのようなデータがあるか知る。
・Society5.0が目指す社会を理解する。
・情報利用の課題を理解する。
3.レポート課題
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テーマ3 広がるデータ活用の幅
1.何を学ぶか
・身近に広がるデータサイエンス
・販売データ
・協調フィルタリング
・データの活用が生み出す新しい価値
2.学習到達目標
・データサイエンスを行う価値を理解する。
・販売データの活用内容を説明できる。
・協調フィルタリングの活用内容が説明できる。
3.レポート課題
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テーマ4 情報倫理とセキュリティ
1.何を学ぶか
・情報セキュリティの3要素
・情報の流出・漏洩,リスクと対策
・データの暗号化,パスワード
・データ・AIを利活用する際に求められるモラルや倫理,個人情報保護
2.学習到達目標
・情報セキュリティの3要素を理解する
・データの暗号化と強固なパスワードについて理解する。
・情報セキュリティにおける脅威(リスク)と対策について理解する。
・データ・AIを利活用する際に求められるモラルや倫理について理解する。
3.レポート課題
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テーマ5 データの種類とその活用
1.何を学ぶか
・データの種類
・データの活用事例
・データの活用方法
2.学習到達目標
・どんなデータが集められ,どう活用されているかを理解する。
・データの種類と性質の違いを理解する。
・オープンデータとその利用方法を知る。
3.レポート課題
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テーマ6 データリテラシー~データを正しく読み取る
1.何を学ぶか
・代表値(平均など)
・正規分布
・表計算ソフトを用いた集計方法
2.学習到達目標
・データを正しく読み取らなければならない理由を理解できる。
・代表値を説明できる。
3.レポート課題
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テーマ7 データの収集と視覚化①
1.何を学ぶか
・グラフの種類と特徴
・誤解されないグラフ
2.学習到達目標
・グラフの種類と特徴を説明できる。
・データにあったグラフを選択できる。
3.レポート課題
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テーマ8 データの収集と視覚化②
1.何を学ぶか
・2つのデータの関係
・標本調査とは
・標本の抽出方法
2.学習到達目標
・相関・回帰を理解できる。
・相関図・回帰直線を作成できる。
・標本調査について説明できる。
3.レポート課題
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テーマ9 データの解析方法①
1.何を学ぶか
・確率と推定統計
・検定と信頼区間
2.学習到達目標
・検定に関する用語を理解できる。
・独立性の検定と平均の差の検定について説明できる。
3.レポート課題
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テーマ10 データの解析方法②
1.何を学ぶか
・対応のあるt検定
・対応のないt検定
2.学習到達目標
・t検定を行うことができる。
3.レポート課題
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テーマ11 AI開発の歴史といま
1.何を学ぶか
・人工知能技術の成長と限界
・生活の中のAI
・生成AIの登場
2.学習到達目標
・AIリテラシーとして,AIの歴史、AIの仕組みや倫理,社会への影響などを理解する。
・AIの活用とその限界を理解する。
3.レポート課題
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テーマ12 情報の利活用と方法
1.何を学ぶか
・情報の可視化
・AIの登場と進化
・対話,コンテンツ作成,翻訳・要約・執筆支援,コーディング支援など生成AIの応用
・3つの機械学習とディープラーニング
・基盤モデル,大規模言語モデルや拡散モデル
・データやAIを扱う時の注意点
2.学習到達目標
・AIと人間が共存するため,データのAI利活用が必要になることを理解する。
・データの可視化等の「知る」技術、機械学習やディープラーニング等の「使う」技術
・ELSI等のAI利活用上の注意点を理解する。
3.レポート課題
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テーマ13 AIによる生活のアップデート
1.何を学ぶか
・AIによる生活のアップデート(スマートスピーカーやAIアシスタント,ロボット掃除機,無人決済店舗など)
・生成AI(チャットボット)の活用
・機械翻訳(自動翻訳)
2.学習到達目標
・身の回りで使われているAI活用事例を理解する。
・AIの自然言語処理技術の発展により生成AIの誕生や機械翻訳の精度が上がったことを理解する
3.レポート課題
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テーマ14 AIによる社会のアップデート
1.何を学ぶか
・移動におけるAIの利活用
・農業におけるAIの利活用
・医療におけるAIの利活用
・生成AIの利活用の今後(ハルシネーションによる誤情報の生成などに留意し,マルチモーダル⦅言語、画像、音声など⦆やプロンプトエンジニアリングなどを活用する)
2.学習到達目標
・社会で活用されているAI活用事例を理解する。
・AIが自動運転、農業や医療などに使われていることを理解する。
・AI利活用における課題を指摘できる。
3.レポート課題
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テーマ15 秩序あるデータの重要性,まとめ
1.何を学ぶか
・AI・データサイエンス時代のプライバシー保護
・データと真摯に向き合う
・信頼できる人工知能を目指して
2.学習到達目標
・個人情報保護,プライバシー保護,知的財産権(著作権他)など,自身や他人のデータや権利を守る仕組みやルールを知る。
・人間中心のAI社会原則を知る
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
Ⅳ レポート最終課題
課題1
データ・AIによって社会および日常生活がどのように大きく変化しておりかを説明するとともに,利活用する際に求められるモラルや倫理について,自分の考えを述べなさい。
課題2
データサイエンスやAIについての学びが,自分のこれからの生活や将来の仕事でどのように活用していけるか,自分の考えを述べなさい。なお,データサイエンスやAIについての知識やスキルをどのようにアップデートしていけばよいかを含めて述べなさい。
Ⅴ アドバイス
課題1解説
教科書や授業ビデオで学んだことをふりかえり,考えをまとめましょう。
課題2解説
教科書や授業ビデオで学んだことをふりかえり,考えをまとめましょう。
Ⅵ 科目修得試験:レポート試験
授業ごとのレポート課題,最終課題,授業参加状況をもとに総合的に評価する。
Ⅶ テキスト (下に示すテキストは必ず入手のうえ受講すること)
・大学基礎データサイエンス 数理・データサイエンス・AI〈リテラシーレベル〉モデルカリキュラム~データ思考の涵養~準拠,伊藤大河/川村和也/内田瑛,実教出版,2023年
Ⅷ 参考文献
1)澤井進,過去から未来へのプロローグ: 「コンピュータ歴史博物館」が語るAI文化 (AI時代の教育 -AIの過去・現在・未来) (AI Book) Kindle版 ,2023
2)澤井進,機械翻訳の新時代: トランスフォーマー革命と生成AIの驚異的進化 AI時代の教育 (AI Book) Kindle版 ,2023
3)澤井進,人間の脳の謎と深層学習の魔法: 目を持ったコンピュータが見せる未知の領域 AⅠ時代の教育 (AⅠブックス) Kindle版 ,2023
4)上藤一郎,絵と図でわかる データサイエンス~難しい数式なしに考え方の基礎が学べる,技術評論社 , 2021
5)江間有沙,絵と図でわかる AIと社会~未来をひらく技術とのかかわり方,技術評論社 ,2021
6)滋賀大学データサイエンス学部, 山梨学院大学ICTリテラシー教育チーム,はじめてのデータサイエンス,学術図書出版社 ,2023
7)吉岡剛志,森倉悠介,小林領,照屋健作,AIデータサイエンスリテラシー入門 (基礎学習) ,技術評論社 ,2022