沖縄の有用植物 沖縄の薬草文化
沖縄の有用植物 沖縄の薬草文化
沖縄は気候による温暖さや降水量の多さから多様な植物が生育しやすい環境であり、独特の生態系を育んでいる。特に、沖縄本島北部のヤンバル(山原)は「生物の宝庫」、八重山(諸島)は「東洋のガラパゴス」といわれている。また、琉球列島は地理的に日本本土と東南アジアの中央に位置している。日本本土、台湾、中国大陸、フィリピン、東南アジア、オーストラリアなど、様々な地域の植物が混ざり合った植物相で、約150種類の薬草が自生していることから「薬草の宝庫」ともいわれている。
日本では薬草は『古事記』や『日本書紀』にも登場し、古くから健康を支える存在として治療や儀式に利用されてきた。沖縄の薬草文化は、干ばつや台風などの自然災害にたびたび見舞われてきた沖縄において、厳しい環境と上手く付き合う知恵のひとつとして、野菜や薬草を巧みに取り入れて薬餌効果を優先する「養生食」のなかで育まれてきたと考えられる。
沖縄には、グァバ(蕃石榴〔ばんじろう〕、沖縄の方言で ばんしるー)、ウコン(鬱金〔うこん〕、沖縄の方言で うっちん)、クミスクチン(別名ねこのひげ)の三大薬草があり、葉や茎などを乾燥させ、煎じて服用する。現在ではグァバはジュースとしても販売されており、南国のフルーツジュースとして馴染みがある。またウコンはウコン茶(ウッチン茶)としてペットボトルや缶での販売がある。