沖縄の生活文化 備瀬のフクギ並木
沖縄では年中海からの風が吹いている。特に、古くからの住まい(古民家)に台風等の強風が直接あたることを防ぐための工夫として、「建物をサンゴ石灰岩の石垣で囲む」と「防風林を植える」が挙げられる。
防風林には沖縄独特のフクギという木がよく使われてきた。フクギは根を深く張り、幹も丈夫で、台風などの大風が吹いても倒れにくい。また、分厚い葉が密に付くことから風害や塩害にも強い。
沖縄県北部地区の国頭郡本部町備瀬には、数百年のフクギの木々が立ち並ぶ「備瀬のフクギ並木」がある。この集落には樹齢300年以上の樹木もあり、家々を囲むように植えられ、入り組んだ白砂の道の左右から高く伸びた枝葉は頭上で合わさり、トンネルになっているところもある。フクギ並木は海に隣接しているこの集落を暴風雨や台風から守り続けてきた。
フクギの鮮やかな緑や、この木がつくる木陰は古き良き沖縄らしい町並みの風景ともいえ、観光スポットしても有名である。並木の間をゆっくり徒歩で散策したり、レンタサイクルでサイクリングしたり、牛車乗りも体験できる。
フクギの並木は、シュノーケリングも楽しめる備瀬崎の海までの約1kmにわたって続いていて、ゆったりとした島時間が流れている。
資料(メタデータ)
沖縄の生活文化_備瀬のフクギ
沖縄の歴史上人物 吉屋チルー③御茶屋御殿
吉屋チルーは17世紀頃に存在したといわれている琉歌人で、幼いときに遊廓へ売られ、ある男性と恋仲になるが裂かれ18歳で自死したと伝えられている。
御茶屋御殿(うちゃやうどぅん)はかつて琉球王府の別邸で、国王が遊覧し冊封使などを歓待した場所であった。御茶屋御殿を主題とした吉屋チルーのものとされる琉歌がある。
(琉歌)拝(う)で拝(うが)んぶしゃ首里天加那志(しゅゆゐてぃんじゃなし)遊(あそん)で浮(う)ちゃがゆる御茶屋御殿(うちゃやうどぅん)
(意味)拝顔すると去り難いのは首里の国王様であり、宴席で去り難いのでは御茶屋御殿である。
「御茶屋御殿」は1677年に作られ、茶道、生花、武芸などの様々な芸能が行われ、敷地内には望仙閣・能仁堂・茶亭が並び、周辺には築山や池、石造物が配されるなど、独特の意匠を凝らした庭園造りがなされていた。敷地の北側(現在は城南小学校が所在する場所)には菜園が広がり、そこでは様々な薬種の栽殖が行われていた。
御茶屋御殿の建造物は第二次世界大戦で全て破壊され、現在はカトリック首里教会および付属幼稚園、一部城南小学校が建ち、当時の面影を感じることはできない。私有地のため、教会入り口には「御茶屋御殿見学の際は教会事務所へ一声かけるように」との注意書きがある。
2000~2005年度に御茶屋御殿周辺の発掘調査を沖縄県立埋蔵文化財センターが実施し、報告書(沖縄県埋蔵文化センター 2003『御茶屋御殿跡遺構確認調査報告書』)を公開している。
第二次世界大戦によって破壊された「御茶屋御殿」の玄関前約40mの岩陰にあった石獅子は、1979年に戦前の写真をもとに修復され、1986年に那覇市指定文化財(有形民俗文化財)「御茶屋御殿石獅子」として登録されている。その後、石獅子のあった岩陰ががけ崩れの恐れが生じたため、現在は、御茶屋御殿より450m先、徒歩6分程度の「雨乞御嶽」付近に移さえている。石獅子と「雨乞御嶽」周辺は首里が一望できる展望台を備えた「首里崎山公園」として整備されている。
資料(メタデータ)
沖縄の歴史上人物_吉屋チルー③御茶屋御殿跡
沖縄の歴史上人物 吉屋チルー②仲島の大石
吉屋チルーは琉球王国の遊女で、琉歌の歌人でもある。「吉屋チル」「よしや」「吉屋」とも表記する。
吉屋チルーは読谷山(ゆんたんざ;今の読谷村)の貧しい農民の娘として生まれ、わずか8歳で那覇の仲島遊郭へ遊女として売られてきた。よしやは遊郭の客だった「仲里の按司」と恋に落ちたが、黒雲殿とよばれる金持ちに身請けされたため、添い遂げられず悲嘆にくれ、食を絶って18歳で亡くなったといわれている。
吉屋チルーの代表作のひとつに以下の歌がある。故郷を後に遊郭へ向かう中、大きく深い川(比謝川)にかかる橋を渡る不安と恨みを込めて詠んだ歌といわれている。
(琉歌)恨む比謝橋や情きねん人ぬ 我ん渡さと思て掛きてうちぇさ
(意味)恨めしい比謝橋は情けのない人が私を渡そうと思って掛けておいたのだろうか。
また、仲島を詠んだ歌もある。
(琉歌)仲島ぬ花と美らさ咲ちなぎな 詠だる琉歌数に心くみて
(意味)仲島の花と美しく咲きながら詠んだ歌の数々に心を込めて
仲島の大石は沖縄県立図書館と那覇バスターミナル、商業施設の複合施設の裏手、朝夕と多くの人が行き交う場所に位置している。
17世紀後半、仲島の大石のあった仲嶋村(仲島村)には首里王府によって遊郭が公的に設置されていたとされている。
沖縄県立図書館、沖縄県立博物館・美術館には1770年頃の古地図が現存しており、デジタルマップ「沖縄・首里那覇港図屏風展」として公開されている。この屏風絵にも仲島の大石は描かれているようである。
資料(メタデータ)
沖縄の歴史上人物_吉屋チルー②仲島の大石
沖縄の歴史上人物 吉屋チルー①比謝橋
吉屋チルー(1650~1668)は琉球王朝時代の琉歌の女流歌人で、遊女(ジュリ)であった。吉屋とは苗字ではなく遊郭の屋号であり、チルーは「鶴」の方言とされ、吉屋チルーは近世の呼称といわれている。
享年18で亡くなっている。死因は諸説あるが、首里の領主階級の士族だった仲里の按司と恋仲になったが、黒雲殿とよばれる金持ちに身請けされたことから悲嘆にくれ、絶食し果てたといわれている。
吉屋チルーの代表作のひとつに以下の歌がある。故郷を後に遊郭へ向かう中、大きく深い比謝川にかかる橋を渡る不安と恨みを込めて詠んだ歌といわれている。
(琉歌)恨む比謝橋や 情け無いぬ人の 我身渡さと思て 掛きてうちぇさ
(読み)うらむふぃじゃばしや なさきねんふぃとぅぬ わみわたさとぅむてぃ かきてぃうちゃら
(意味)恨めしい比謝橋は情けのない人が私を渡そうと思って掛けておいたのだろうか。
この歌碑は比謝橋を挟んで嘉手納町と読谷村の橋の袂の二か所ある。
読谷村側の歌碑は2005年に建立され、嘉手納町の歌碑より新しい。同所には「比謝矼友竹亭顕彰碑」や「比謝橋碑文」、「戦前の比謝橋復元模型」もある。
吉屋チルーの歌碑に向かって右隣りに「比謝矼友竹亭顕彰碑」がある。比謝矼友竹亭とは、廃藩置県後、首里から旧王府所領の牧原・久得・御殿敷あたりに移住してきた旧士族同好者たちの琉歌創作サークルである。(引用:読谷村文化協会 案内石碑より)
資料(メタデータ)
沖縄の歴史上人物_吉屋チルー①比謝橋
沖縄の歴史上人物 恩納ナビー③万座毛
恩納ナビー(生没年不詳)は18世紀に農民として恩納村間切りで生まれ、琉歌の才能に満ち溢れた琉球王国時代の女流歌人である。自由で真っ当な恩納ナビーの琉歌は多くの人々の共感を生み、現在も愛され歌い繋がれている。(恩納ナビーは恩納ナベとも表記される。)
生誕地である恩納村では、恩納ナビーを後世に語り継ぐことを目的に村の象徴とし、村を琉歌の里として観光資源・教育資源として活かしている。恩納ナビーの生誕の地の付近には、恩納番所跡や恩納松下の碑などがあり琉歌にまつわる史跡散策ができる。
恩納ナビーの生誕の地の付近から1キロ圏内に万座毛(まんざもう)がある。万座毛があるのは沖縄海岸国定公園区域内で、琉球石灰岩の断崖から東シナ海が一望できる。波の浸食により自然の力で象の鼻に似た造形の岩が特徴である。1726年に琉球国王である尚敬王が万座毛を訪れ、「万人を座らせたるに足る」と称揚をしたことが命名の由来と伝えられている。
◇恩納ナビーは琉球国王が万座毛を訪れた際に詠んだとされる歌
(琉歌)波ぬ声ん止まり 風ぬ声ん止まり 首里天加那志 美御幾拝ま」
(意味)波の音も止まれ。風の音も止まれ。国王様の芳しいお顔を拝みましょう。
資料(メタデータ)
沖縄の歴史上人物_恩納ナビー③万座毛
沖縄の歴史上人物 恩納ナビー②恩納松下の歌碑
恩納ナビー(生没年不詳)は、18世紀の琉球王国の沖縄本島北部恩納村で農民の娘として生まれた。吉屋チル―と並んで、琉球を代表する二大女流歌人として知られている。景観や熱烈な恋情を歌った作風が特徴的である。
恩納村の恩納番所跡に隣接するように設置された歌碑「恩納松下の碑」には次のような歌が刻まれている。この歌碑も松の下に設置されている。
(琉歌)恩納松下に 禁止の碑たちゅす 恋しのぶまでの 禁止や無いさめ
(意味)恩納藩所前の松の木の下になにやら禁止の立て札が立っているというが、まさか男女の恋を忍ぶことまで禁ずるようなおふれでないでしょう。
この歌については、「若者たちが集い、毛遊びを興じていた大きな松の木で詠まれた」とも、「琉球王朝時代、中国からの冊封福使一行が本島北部の名所巡りをした際、恩納番所で一晩宿をとることになったため、当時盛んであった若い男女の毛遊びを取り締まる立て札を松の下に立てた」ともいわれている。
この歌碑「恩納松下の碑」の後方には恩納岳が見え、恩納岳を詠った琉歌も有名である。
資料(メタデータ)
沖縄の歴史上人物_恩納ナビー②松下の歌碑
沖縄の歴史上人物 恩納ナビー①生誕地跡
恩納ナビーは琉球王朝尚貞王の時代に生まれたとされ、吉屋チルーとならんで18世紀はじめに活躍した琉歌の二大女流歌人の一人である。恩納ナビーの生きた時代は、「琉球文化の黄金時代」とよばれ、文学・音楽・舞踊と一流の文化人が排出されると同時に、庶民の間でも琉歌が流行った。
現在、恩納ナビーの生誕地跡は、見晴らしの良い畑のようになっており、道寄りに「恩納ナビーの生誕地跡マッコウ家」の碑が設置されている。「マッコウ家」は恩納ナビーの家号である。
恩納ナビーの生誕地跡へは、恩納公民館(恩納区体育館)入口を右手にふれあい会館の間の細い路地を進むと小さな十字路に出る。正面角に『恩納ナビー誕生の地』と『ガンジャガー(井泉)』と書かれた案内があり、案内どおり、十字路を左折すると、すぐ右手に来た道を折り返すように下り坂がある。下り坂入口付近には「恩納ナビー誕生の地入口50m」という石製の案内板がある。
坂道を下って行くと前方Y字路の分岐点に『恩納ナビー誕生の地』の碑がある。
Y字路を右手に50m程進むとガンジャガー(井泉)があり、設置された案内板に恩納ナビーに関する地を巡る散策路や説明などが記されている。
資料(メタデータ)
沖縄の歴史上人物_恩納ナビー①生誕地跡
中部国際空港(国際線)にデジタルサイネージを設置
知識基盤社会においては、様々な正確で良質な知識の集合体の整備が重要であるが、知識循環型社会の実現においては、様々な知的資料を集積した知識の集合体をどのように利活用するかが重要になる。また、様々な利用者が活用するためには結果よりも作業のプロセス情報が必要となる。意思決定結果より、意思決定のプロセスのほうが必要となる。即ち、知識循環型社会おいては結果のアーカイブよりプロセスのアーカイブが必要となる。
デジタルアーカイブについても、最終的な作品より作品を作成しているプロセスのデジタルアーカイブが重要となる。今回、飛騨高山匠の技DAについては、一位一刀彫や飛騨春慶塗の製作過程をデジタルアーカイブしている。このように、デジタルアーカイブする対象についても、知識基盤社会と知識循環型社会とは異なり、利活用することにより、新たな知識を創造する社会(知識循環型社会)に対応したデジタルアーカイブをする必要がある。
知識循環型社会においてデジタルアーカイブした飛騨高山の匠の技データベースが、2万件近い情報を非公開長期保存型データベースに保管している。この地域資源デジタルアーカイブを交通・観光に活用するために、デジタルサイネージへの展開を考えた。
デジタルサイネージは、一般に「サイネージ」と呼ばれることもありるが、「電子看板」、「電子広告」などとも呼ばれている。主な用途としては、紙に代わる新しい情報伝達媒体として利用されており、画像や動画などデジタルコンテンツとディスプレイを組み合わせて、紙のポスターやお知らせを置き換えて使われることが多い。
今回、飛騨高山匠の技DAした8万点の情報から知の増殖型サイクルのプロセスを抽出しデジタルコンテンツとして作成し、中部国際空港の国際線のブースに設置した。
地域文化デジタルアーカイブを用いた地方活性化のための交通・観光施設での広報活用
映像コンテンツ
デジタルサイネージでは以下の映像を順次放映しています。
① 飛騨高山匠の技ものがたり
② 飛騨高山匠の技ものがたり(英文)
③ 飛騨高山の匠の技とこころ
④ 飛騨高山の匠の技とこころ(英文)
⑤ 飛騨高山匠の技とまつり
⑥ 飛騨高山匠の技とまつり(英文)
令和4年度 岐阜県私立大学地方創生推進事業
デジタルアーカイブによる新たな価値創造推進事業
1.事業概要
○本学は、地域に貢献する大学として、地方創成イノベーションの実現と県内の地域の伝統・衣食住文化の保存並びに関係産業の振興、観光資源の発掘を目指している。
〇本学が学部並びに大学院に設置するデジタルアーカイブ専攻では、長年に亘り研究・蓄積した「地域資源デジタルアーカイブ」を効果的に活用する。新たな価値を創造するため、本学独自の「知的創造サイクル」を生かして地域課題を探求し、深化させ課題の本質を探り実践的な解決方法を導き出す人材養成を主な目的としている。
〇この専攻では、地域の課題を実践的な課題解決の方法を導き出す人材養成のため、後述する「知識循環型デジタルアーカイブ」の構築と、それを有効的に活用するための教材、教育方法について研究し、教授している。
〇具体的には、飛騨高山匠の技並びに郡上白山文化遺産について各地域と連携をして開発を進め、現在約15万件の地域資源のデジタルアーカイブとしての構築を進めている。
〇また、本研究との関連が強いデジタルアーキビスト能力の養成カリキュラム並びに教材テキストを整備している。さらに、「地域資源デジタルアーカイブ」についても既に全国で約30万件(岐阜県15万件含む)の地域資料を収集して管理し、教育への利活用を進めている。
〇本事業では、この「地域資源デジタルアーカイブ」の「飛騨高山匠の技」と「白山文化遺産」に新たな情報を40,000件以上追加し、「知的創造サイクル」を実現するための「知識循環型デジタルアーカイブ」による新たな価値の創造について調査・研究する。
2.事業内容
①事業分野における地域の現状分析と課題
〇地域における大学の使命は、地域における新たな価値の創造による新たな文化と雇用の創出である。そのためには、地域の大学は知の拠点としての機能を有し地域で活躍できる人材の育成が重要である。
〇しかし、これまで大学の地域との連携は必ずしも十分とは言えず、地域の真のニーズに応えた教育や研究が大学でなされてきたとは言い難い。
〇このために本学は、日本におけるデジタルアーカイブの拠点大学として、2013年より図1に示すデジタルアーカイブの「知的創造サイクル」を開発し、観光,教育、企業の分野での人材育成の試行研究を行ってきた。
〇その研究成果として、地域の観光の振興並びに学校教育では有意な学力の向上が認められ、デジタルアーカイブの利活用が新たな価値を創造し、地域活性化や教育の推進に有効との感触を得た。
〇また、岐阜県の長期構想では、地域資源を活かしたまちづくりが重点課題となっている。岐阜県観光振興プラン(平成25年3月)では、観光資源の発掘とそれを支える人材養成が重要課題と位置づけられている。
〇特に、農山間地が多く自然が豊かな岐阜県では、木工等に関する伝統産業の継承や美しい観光資源の活用と発掘が重点課題となっており、それを担う人材の育成と供給が重要となってきた。
〇このために本学は、「地域資源デジタルアーカイブ」における知の拠点形成ならびに人材養成に不可欠なカリキュラムと教材の開発を行ってきた。
〇これらの地域課題を解決するため、具体的に地域資源デジタルアーカイブにおける「知的創造サイクル」を実践的に研究し、その研究の成果を2017年より随時Webで詳しく公開している。(参考:http://digitalarchiveproject.jp/)
〇本事業では、岐阜県における地域課題として次のような課題を設定している。
(1)飛騨高山匠の技と伝統文化産業の振興
・伝統文化産業(春慶塗・一位一刀彫)における後継者不足と伝統文化産業の技術の伝承
・左甚五郎遺産デジタルアーカイブ構築による左甚五郎のブランディング
(2)郡上白山文化遺産の世界遺産登録への整備と新たな観光資源の発掘
・建造物、建築物群を含めた伝統文化遺産の新たな観光資源の発掘
・衰退する白山文化遺産の記録
・白山文化遺産の県域(岐阜・石川・福井)を越えた白山文化遺産デジタルアーカイブの構築
・白山文化遺産の世界遺産への登録支援
(失われていく地域の祭りや伝統行事の記録)
〇特に、飛騨高山匠の技においては、飛騨高山匠の技という日本遺産のブランドに、左甚五郎というサブカテゴリー創ることにより、ブランド資産として新たな価値を創出する。
〇また、郡上白山文化遺産においては、岐阜県という県域のみならず3県(岐阜県・石川県・福井県)に渡った白山文化遺産を一体的に扱うことにより、新たなシナジー効果が期待できる。
〇さらに、白山文化遺産の失われていく地域文化芸能を記録することにより、世界遺産への登録支援を行う。
〇既に、福井県勝山市では、国史跡平泉寺を含む白山麓の文化遺産の世界遺産登録をめざして、世界遺産推進室が組織されている。
②大学等における課題解決に向けたこれまでの取組状況
〇本学は、建学の精神「人らしく、女らしく、あなたらしく、あなたならでは」の下、広く豊かな教養と高い専門的知識・技術を育み、地域社会で主体的に活動できる人材を育成している。
〇また、豊かな教養と高い専門的知識・技術を育み、地域社会で主体的に活動できる人間力の育成を目指して、多様な授業形態を組合せた教育課程を体系的に編成し、それを実践・評価している。
〇さらに、地域に貢献する大学として、地方創成イノベーションの実現と県内の地域の伝統・衣食住文化の保存並びに関連産業の振興、観光資源の発掘を目指している。
〇本学は、平成29年本学大学院にデジタルアーカイブ専攻を設置し、「地域資源デジタルアーカイブ」を有効的に活用し、新たな価値を創造する本学独自の「知的創造サイクル」を生かして地域課題を探求し、深化させ課題の本質を探り実践的な解決方法を導き出す人材を養成するカリキュラムの開発を専攻の主な研究主題としている。
〇それは、地域の課題を抽出することから始め、大学の知識を集約して既存の「地域資源デジタルアーカイブ」をオープンデータ化し、この「知的創造サイクル」を有効的に活用し、地域の課題を実践的な課題解決の方法を導き出す人材養成のための、図2に示す従来のデジタルアーカイブから図3で示す「知識循環型デジタルアーカイブ」への再構築と、それを有効的に活用するための教材、教育方法を開発することが必要となる。
〇既に、この研究に関連して飛騨高山匠の技並びに白山文化遺産について各地域と連携をして基礎的研究を進め、約15万件の地域資源のデジタルアーカイブの構築を進めていた。
〇また、本学では既にデジタルアーキビスト能力のカリキュラム並びに学生の教材テキストは整備しており、また、「地域資源デジタルアーカイブ」についても既に約30万件の地域資料を収集して管理し、教育への利活用を進めている。
〇さらに、平成29年度より3年間、文部科学省の私立大学研究ブランディング事業「地域資源デジタルアーカイブによる知の拠点形成のための基盤整備事業」において、飛騨高山匠の技と郡上白山文化遺産を対象にして、151,191件(2022.5現在)の静止画・資料・動画を収集整理し、シソーラス、索引語の整理などの「地域資源デジタルアーカイブ」の研究に対する必要な基礎データを準備している。
(参考:http://digitalarchiveproject.jp/)
③計画事業の具体的な実施内容
〇本事業を実施するために必要な調査研究として以下の3つの事業を行う。
1.「地域資源のオープンデータ化」を実現するためのメタ情報の基礎的研究
〇シソーラス、索引語(キーワード)の統一化・共通化が必要である。各デジタルアーカイブにおけるシソーラスを開発する。
〇そのために、既に「地域資源デジタルアーカイブ」として、151,191件(2020.2現在)の静止画・資料・動画を収集整理し、メタデータを付記してデータベース化している。
・上記15万件の地域資源データベースに新たな資料を40,000点加え、それらのオープンデータ化処理と、地域資源の分類を抽出
・また、本学が管理している対象地域における15万件の地域資源デジタルアーカイブのメタデータから、地域資源のシソーラスの作成
・これらの地域資源のメタデータからシソーラス、索引語の整理などのメタ情報の研究に対する必要な基礎データを抽出し、地域資源の「知識循環型デジタルアーカイブ」の新たなメタデータの構成の作成
2.「地域資源デジタルアーカイブ」を活用した地域の課題の実践的な課題解決の方法の導出
〇「地域資源デジタルアーカイブ」は、単なる記録ではなくて、研究成果、「知」を集積することがデジタルアーカイブに問われている。本学独自の「知的創造サイクル」を構成し、「知識循環型データベース」を再構築する。
〇そのために、地域の課題を抽出することから始め、大学の知識を集約して地域資源の「知識循環型デジタルアーカイブ」を再構築し、このデジタルアーカイブを有効的に活用し、地域の課題を実践的な課題解決の方法を導き出す。
3.社会経済的効果と意識的効果の測定手法の併用による項目関連構造分析手法(item relational structure analysis)の実証
4.オープンデータ化された地域資源を有効的に活用し、新たな価値を創造するという「知的創造サイクル」の検証
〇「地域資源デジタルアーカイブ」による知の拠点形成は、学生自らが、その地域資源を有効的に活用し、新たな価値を創造するという「知的創造サイクル」を生かして、地域の様々な解の見えない課題に主体的に向き合い、地域課題を解決すると共に、地域に貢献する研究として、地方創成イノベーションの研究を行う。
・「知的創造サイクル」による地域の課題解決について郡上地域と高山地域で実証
・「知的創造サイクル」による地域資源の「知識循環型デジタルアーカイブ」の効果測定モデルの開発
④計画事業の実施により見込まれる地域への影響
〇「地域資源のオープンデータ化」におけるデータベースの項目・シソーラス、索引語(キーワード)の統一化・共通化は、収集・保管・流通・提供において大きな課題である。そのためには、「地域資源のオープンデータ化」におけるシソーラスの開発が急務であり、各分野の専門家による用語の選定も必要となる。
〇こうしたシソーラスや索引語の整理により、本研究では具体的に地域課題を取り上げ、「地域資源のオープンデータ化」の社会経済的効果及び意識的効果を構造的に且つ定量的に分析することで、地域の伝統文化政策立案、財源確保への有効なモデルとなる。
〇定量的な分析手法として、社会経済的効果と意識的効果の測定手法の併用による項目関連構造分析手法(item relational structure analysis)を活用する。
〇この分析手法により、事業の効果を事前・事後にシミュレーションできるようになるとともに、効果の予測や効果が出なかった場合の検証ができるようになり、デジタルアーカイブ事業を継続させるために必要な財源確保に有効な新たな価値の創造に基づいた論理的根拠の導出が可能になる。
〇具体的には、本研究における対象地域の地域課題を次のように設定する。
・飛騨高山匠の技デジタルアーカイブと伝統文化産業の振興
・郡上白山文化遺産の世界遺産登録への整備と新たな観光資源の発掘
〇これらの課題を解決するため、上記対象地域の「地域資源デジタルアーカイブ」のオープンデータ化による「知識循環型デジタルアーカイブ」のサイクルモデルを構築する。
〇その上で、上記①②の地域課題の解決に対して、「知識循環型デジタルアーカイブ」の有用性を実証することができる。このように地域の知が適切に循環・増殖することで新たな価値の創造と、これらを実践できる高度な専門的な知識を持つ人材の養成による雇用の創出を促進し、その結果として「知識循環型デジタルアーカイブ」としてデジタルアーカイブの費用対効果が認められ、さらにデジタルアーカイブの新たな展開が期待できる。
〇また、本研究における「知的創造サイクル」を生かして地域課題を探求し、深化させ課題の本質を探り実践的な解決方法を導き出す手法についてデジタルアーカイブによる新たな価値の創造に繋がる事業となる。
⑤計画事業の成果普及に関する取組予定
1.「デジタルアーカイブin岐阜」の開催
従来より県内各地で行ってきた「デジタルアーカイブin岐阜」を本年度も実施する。岐阜県内の企業や地域の人々に対してデジタルアーカイブの内容・有用性について周知すると共に、本事業の成果を普及する。
(過去の例)
①平成30年2月4日( 日) デジタルアーカイブin ⾼⼭
②平成31年2月23日(土) デジタルアーカイブinぎふ郡上
③令和2年2月11日(火・祝) デジタルアーカイブin岐阜
2.「デジタルアーカイブ講習会」の開催
従来より行ってきたデジタルアーカイブセミナーを本年度は岐阜県内で実施し、岐阜県内の企業や地域の人々に対してデジタルアーキビスト資格取得の機会を提供すると共に、本事業の成果を普及する。
(過去の例)
①平成30年年2月23 日(金) ~ 25日(日) 沖縄デジタルアーカイブセミナー
⑥ 事業スケジュール
・事業全体の概要
〇知識基盤社会においてデジタルアーカイブを有効的に活用し,新たな知を創造するという本学独自の「知的創造サイクル」の手法により、地域課題に実践的な解決方法を確立するために、地域に開かれた地域資源デジタルアーカイブに新たに4万点の資料を追加し、知の拠点形成のための基盤の調査研究を行う。
このことにより,地域課題に主体的に取り組む人材を養成する大学として、地方創成イノベーションの実現と伝統文化産業の振興並びに新たな観光資源の発掘を行う。
・前年度までの実施状況
①飛騨高山匠の技デジタルアーカイブの構築
・コンテンツ数:79,166点(令和4年2月末現在)
②郡上白山文化遺産デジタルアーカイブの構築
・コンテンツ数:72,025点(令和4年2月末現在)
〇大学デジタルアーカイブの機能として,本学の教育資料等の有機的な総合保管関連システムの開発研究を行い,これらを支える専門職のための人材養成のためのカリキュラム並びにテキストの開発を行っている。
〇また、デジタルアーカイブに関する撮影機器の整備ならびに100年保管可能なデータベース装置は整備済
・計画内容(目標設定)
○飛騨高山匠の技デジタルアーカイブ並びに郡上白山文化遺産のデジタルアーカイブを構築するために、伝統的な生活・文化の資料を広く追加収集し,デジタルアーカイブ化を進め,「知的創造サイクル」を構成し,地域資源デジタルアーカイブに必要な情報の推進を図る。
①飛騨高山匠の技デジタルアーカイブの構築
・伝統文化産業の技術の伝承のための記録
・左甚五郎遺産デジタルアーカイブ構築による左甚五郎のブランド化
・コンテンツ数:新たに20,000点のデジタルアーカイブ構築
②郡上白山文化遺産デジタルアーカイブの構築
・白山文化遺産の県域(岐阜・石川・福井)を越えたデジタルアーカイブ
・白山文化遺産の世界遺産への登録支援
・失われていく地域の祭りや伝統行事の記録
・コンテンツ数:新たに20,000点のデジタルアーカイブ構築
〇上記15万件の地域資源データベースのオープンデータ化処理と、地域資源の分類を抽出
〇また、本学が管理している対象地域における15万件の地域資源デジタルアーカイブのメタデータから、地域資源の簡易なシソーラスの作成
〇これらの地域資源のメタデータからシソーラス、索引語の整理などのメタ情報の研究に対する必要な基礎データを抽出し、地域資源の「知識循環型デジタルアーカイブ」の新たなメタデータの構成の作成
○本事業で収集したデータを含み、各地域での地域資源デジタルアーカイブのデータをオープンデータ化し、データ一覧の資料集とともに各地区に提供する。また、岐阜県内の市町村担当職員などを対象にデジタルアーカイブ講習会を通じて地域におけるデジタルアーキビストを養成する。
○デジタルアーカイブin岐阜やデジタルアーカイブ講習会を通じて、デジタルアーカイブによる新たな価値の創造について具体的事例を挙げて説明することにより、地域の課題解決における地元自治体、地元企業、地域へデジタルアーカイブによる課題解決手法のフィードバックを行う。
3.事業目標
○飛騨高山匠の技デジタルアーカイブ並びに郡上白山文化遺産のデジタルアーカイブを構築するために、伝統的な生活・文化の資料を広く収集し,デジタルアーカイブ化を進め,「知的創造サイクル」を構成し,地域資源デジタルアーカイブに必要な情報の推進を図る。
・令和4年度の計画内容(目標設定)
①飛騨高山匠の技デジタルアーカイブの構築
・コンテンツ数:新たに10,000点のデジタルアーカイブ構築
(内訳)
・飛騨高山匠の技に関する伝統文化産業や伝統的建築物の記録
(飛騨国分寺・吉島家・日下部家・春慶塗・一刀彫等 10箇所)
・左甚五郎遺産の記録
①妻沼聖天山 歓喜院(埼玉県熊谷市)
②稲爪神社(兵庫県明石市)
③祇園祭 (京都府)- 鯉山の鯉
④出雲大社(島根県出雲市)
⑤養源院(京都府京都市東山区)
計 5箇所
②郡上白山文化遺産デジタルアーカイブの構築
・コンテンツ数:新たに10,000点のデジタルアーカイブ構築
(内訳)
・郡上白山文化遺産に関する伝統文化行事や祭り(郡上踊り・白鳥踊り・郡上紬・郡上本染め 4箇所)
・白山文化遺産の県域(岐阜・石川・福井)を越えた白山文化遺産デジタルアーカイブの構築(勝山市並びに白山市の白山文化遺産 8箇所)
③上記2万件の地域資源データベースのオープンデータ化処理と、本学が収集したデータ(各地域約11万件)並びにそれらをまとめた資料集を各地域に配布する。
④デジタルアーカイブ講習会並びにデジタルアーカイブin岐阜により岐阜県内の希望する市町村職員などを対象にデジタルアーキビストを養成し、地域のデジタルアーカイブを推進する。
・令和5年度の計画内容(目標設定)
①飛騨高山匠の技デジタルアーカイブの構築
・コンテンツ数:新たに10,000点のデジタルアーカイブ構築
②郡上白山文化遺産デジタルアーカイブの構築
・コンテンツ数:新たに10,000点のデジタルアーカイブ構築
③上記2万件の地域資源データベースのオープンデータ化処理と、本学が収集したデータ(各地域約11万件)並びにそれらをまとめた資料集を各地域に配布する。
④デジタルアーカイブ講習会並びにデジタルアーカイブin岐阜により岐阜県内の希望する市町村職員などを対象にデジタルアーキビストを養成し、地域のデジタルアーカイブを推進する。
〇また、本学が管理している対象地域における15万件の地域資源デジタルアーカイブのメタデータから、地域資源の簡易なシソーラスの作成
〇これらの地域資源のメタデータからシソーラス、索引語の整理などのメタ情報の研究に対する必要な基礎データを抽出し、地域資源の「知識循環型デジタルアーカイブ」の新たなメタデータの構成の作成
4.資 料
④ 令和4年度岐阜県私立大学地方創生推進事業費補助金の交付の内定
5.企画
6.資料集
① 郡上白山文化遺産デジタルアーカイブ(上)目次
【資料集】郡上白山文化遺産デジタルアーカイブ資料集(上)
② 飛騨高山匠の技デジタルアーカイブ(上)目次
【資料集】飛騨高山匠の技デジタルアーカイブ資料集(上)
③ 飛騨高山匠の技デジタルアーカイブ(中) 目次
【資料集】飛騨高山匠の技デジタルアーカイブ資料集(中)
7.事業経過
8.計画事業の成果普及に関する取組予定
1.女子高校生のためのDAC資格取得講座(第1期・第2期)(高校生対象)
2.女子高校生のためのDAC資格取得講座(第2期・第3期)(高校生対象)
3.デジタルアーカイブin岐阜(社会人対象)(2023.2.11)
4.準デジタルアーカイブ資格取得講座(社会人対象)(2023.2.11-26)
令和5年度 岐阜県私立大学地方創生推進事業
4.私立大学地方創生推進事業費補助金事業計画書についてのコメント回答
7.【資料2】デジタルアーカイブを活用したふるさと教育の実践
9.(R5)(岐阜女子大学)(別紙様式1)(最終_0330)
10.(R5)(岐阜女子大学)(別紙様式2)(最終_0330)
11.(R5)(岐阜女子大学)(別紙様式3)(最終_0330)