城郭-10 五味原城(丹生川町)
城郭-10 五味原城(丹生川町) 折敷地五味原
「八日町の合戦」があった国府町八日町から荒城川を12㎞ほどさかのぼった丹生川町折敷地五味原に、地元では通称「しろやま」と呼ばれる山がある。急な山道を登り詰めると山頂には二重堀切、腰曲輪、主郭などがある。
必要最小限の防備しか持たないことから、短期間でつくられ、その直後に廃絶された可能性が高いと考えられている。荒城川上流部で峠の向こうの高原郷を防御する位置にあることから、江馬氏の築いたものであるとされている。
反江馬勢力が南から高原郷に進入するには、十三墓峠以外にトヤ峠がある。この城の背後にあるトヤ峠を越えると、江馬氏の領地高原郷に至る。八日町の合戦を前に江馬氏はトヤ峠の守りを固めた上で、十三墓峠から軍勢を率いて八日町へ進入したと推定されている。
<江馬輝盛寄進の鰐口>
五味原城と2.1㎞離れた折敷地住吉神社(丹生川町折敷地)に鰐口があり、銘に「江馬常陸介輝盛 寄進 奉掛住吉神社社頭 永禄三庚申」とあり、永禄3年(1560)江馬輝盛の支配がこの地に及んでいたことがわかる。