高山の近郊低山と高山の雪 ~ 川上岳 ~
高山の近郊低山と高山の雪 ~ 川上岳 ~
乗鞍岳から西に派生する位山分水嶺にあり、位山、船山とともに「位山三山」とも「飛騨三名山」とも呼ばれている。
川上岳の北側は宮川の源流域となり、支流のツメタ谷が入り込んでいる。このツメタ谷沿いの右岸には、高山市一之宮町の天然記念物に指定されている、推定樹齢2,000年、樹高25m、目通り6.9mの「ツメタのイチイ」がある。一方、南側には山之口川の支流大足谷が、頂上近くまで入り込んでいる。
営林署のゲート前に駐車し、ここから大足谷に沿って道を辿り、登山道に入る。この道は植生が豊かで、ブナ、ダケカンバなど広葉樹の自然林が広がる。途中下呂市馬瀬からの道と合流する。川上岳の頂上は草地となっており、360度の展望が楽しめる。
<飛騨三名山の伝説>
この3つの山には、次のような伝説が残っている。 「神代の昔、位山には男神が、そして船山と川上岳には女神が住んでおられ、2人の女神が同時に男神に求愛された。そこで男神は、満月が位山の頂上へ来るのを合図に、先に着いた方を嫁にすると約束された。
川上岳の女神は、自分の山から月を見ると、まだ船山の上にあるようにも見え、すでに位山の上に来ているようにも見えたので、急いで出発したが、船山の女神は、まだ自分の上に月があるので、念入りに化粧をしてから出発した。このため、川上岳の女神に遅れをとってしまい、嫁になることができなかった。
これを悲しんだ船山の女神は、位山との間に大きな溝を作り、行き来を絶ってしまった。その溝が、今の無数河(むすご)川と言われている。また、川上岳の神が、位山との間に作った道が、現在のナベツル尾根である。」(『宮村史』)
また、位山には、両面宿儺(りょうめんすくな)の伝説もあって、「この山の主である宿儺が、神武天皇を即位させた。その時、アララギの木で作った笏を献上した。天皇は即位後、このアララギの木に一位の位を贈り、この山を位山と命名した。」という伝説である。