【授業】デジタルアーカイブ入門
【授業】デジタルアーカイブ入門
Ⅰ はじめに
デジタルアーカイブは,博物館や図書館,公文書館の収蔵資料をはじめとし,自治体,企業,教育機関等の情報資源をデジタル化して維持する事によって,情報を共有し活用したり,後世に伝えることを実現させるしくみです.本講座は,デジタルアーカイブを構築する人材であるデジタルアーキビスト養成の入門講座として,デジタルアーカイブについて網羅的に学修します.
Ⅱ 授業の目的・ねらい
初めてデジタルアーカイブを学ぶ学生への入門講座です.今後のデジタルアーカイブの学習に向かって,デジタルアーカイブの概要を理解することを目標とし,デジタルアーカイブについての基礎知識の習得を目指します.
Ⅲ 授業の教育目標
・デジタルアーカイブの社会的意義を理解する.
・デジタルアーキビストの役割を理解する.
・デジタルアーカイブの歴史と最近の展開を理解する.
・デジタルアーカイブ開発に必要な知識の概要を理解する.
テーマ1 デジタルアーカイブとは
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブという単語は,「デジタル」と「アーカイブ」という2つの単語から成り立ちますこの2つの言葉を出発点に,デジタルアーカイブとは何か学修しましょう.
また,デジタルとアナログの違い,デジタル化とどういう事か学修します.
2. 学習到達目標
・ デジタルとアナログの違い,デジタル化の利点について理解する.
・ デジタルとアーカイブの語源から,デジタルアーカイブの定義を考察する.
・ デジタルアーカイブの定義の移り変わりと,制作されたデジタルアーカイブの変容を知る.
3.研究課題
・ デジタルのメリット デメリット,アナログのメリット デメリットについて考察しよう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ2 デジタルアーカイブの歩み
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブは,1994年頃 月尾嘉男氏(東京大学名誉教授)の提案によって,日本で生まれました.インターネットの出現で,国際的な情報発信が盛んになるなか,知的財産への価値が重視されるようになってきました.ここでは,どのような時代背景で,デジタルアーカイブが誕生し,発展を遂げてきたか学修しましょう.
2.学習到達目標
・ いつ,誰がデジタルアーカイブという言葉を考えたか説明できる.
・ デジタルアーカイブが生まれた背景が説明できる.
・ 知的創造サイクルとはどのようなサイクルか説明できる.
・ デジタルアーキビストにはどのような能力が必要か説明できる.
3.研究課題
・ 身の周りの知的創造サイクルをあげてみよう.
・ なぜ,デジタルアーカイブが必要か考察してみよう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ3 デジタルアーカイブの特色
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブには,記録・保管・発信・評価のプロセスがあります.それぞれどのような事を行うのか学修しましょう.また,デジタルアーカイブにおいてのマルチメディアの考え方についても学修しましょう.
2.学習到達目標
・ デジタルアーカイブのプロセスが説明できる.
・ マルチメディアとはどのような状態か説明できる.
・ デジタルアーカイブの対象について説明できる.
3.研究課題
・ ジャパンサーチ(https://jpsearch.go.jp/)を検索し,デジタルアーカイブの対象にはどのようなものがあるか確認してみよう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ4 多様なデジタルアーカイブ
1.何を学ぶか
日本だけではなく海外でも様々なテーマや形式のデジタルアーカイブがインターネット上に公開されています.それらの特徴や意義について学修しましょう.
2.学習到達目標
・ ジャパンサーチ(https://jpsearch.go.jp/)はどのようなサイトか説明できる.
・ 海外ではどのようなデジタルアーカイブが行われているか知る.
・ 災害アーカイブの意義を説明できる.
3.研究課題
・ ジャパンサーチを閲覧し,その機能を考察しよう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ5 多様なデジタルアーカイブ 自治体・企業
1.何を学ぶか
自治体や企業からも様々なテーマや形式のデジタルアーカイブがインターネット上に公開されています.それらの特徴や意義について学修しましょう.
2.学習到達目標
・ 自治体のオープンデータはどのようなデータか理解する.
・ 官⺠データ活⽤にはどのような意義や価値があるか理解する.
・ 企業のアーカイブにはどのような意義や価値があるか説明できる.
3.研究課題
・ 自治体から公開されているオープンデータにはどうのようなデータがあるか,3つ探して紹介しよう.
・ インターネットでおすすめだと思う企業のデジタルアーカイブを3つ探して紹介しよう
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
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テーマ6 デジタルアーカイブの開発プロセス 計画策定
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブを開発の計画段階で考えなくてはならない事項は何かについて,企画書に記載すべき項目から学修しましょう.
2. 学習到達目標
・ デジタルアーカイブの開発プロセスが説明できる.
・ デジタルアーカイブの計画で検討すべき事項があげられる.
3.研究課題
・ 自分が作成してみたいデジタルアーカイブの企画書を作成しよう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ7 デジタルアーカイブの開発プロセス 長期保存
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブにおいて,後世に伝えるためにデータの長期保存を実現することは重要です.その手法や取り組みについて学修しましょう.
3. 学習到達目標
・ デジタルアーカイブにおけるデータの長期保存の重要性や目指す姿について理解する.
・ データの長期保存に向けたさまざまな手法や取り組みについて説明できる.
3.研究課題
・ デジタルアーカイブのデータ保管で留意すべき事項を考察しよう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ8 法と倫理 知的財産権
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブの開発で必要となる知的財産権について学修し,著作権を中心にデジタルアーカイブでの対応を学修しよう.
2. 学習到達目標
・知的財産権の種類と対象,適用期間について説明できる.
・知的財産権が何のために制定されているか説明できる.
・著作権の対象外となるものを理解する.
3.研究課題
・ 著作権法の著作権の対象外となるものを調べよう.
・ なぜ知的財産権が必要か考察しよう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ9 法と倫理 2次利用・個人情報保護とプライバシー
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブの開発で必要となる,個人情報保護とプライバシーへの対応を学修しよう.
2. 学習到達目標
・ 二次利用のための代表的な条件表示である,クリエイティブ・コモンズ・ライセンスについて説明できる.
・ パブリックドメインについて理解する.
・ 肖像権・個人情報保護・プライバシーついて理解する.
・ 個人情報の保護に関する法律等,個人情報保護のための法律について説明できる.
3.研究課題
・ インターネットで公開されているパブリックドメインのデータを3つ探して紹介しよう.
・ 肖像権・個人情報保護・プライバシーに配慮するためには,デジタルアーカイブの制作時にどのような配慮をするとよいか考察しよう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ10 デジタル化の計画
1.何を学ぶか
デジタル化の手法にはどのような方法があるか,記録対象や利用目的に応じた撮影記録の方法の検討が必要です.撮影のための事前調査について理解し,撮影計画・機材の準備で検討すべき事項について学修しましょう.
2. 学習到達目標
・ 撮影のための事前調査について理解する.
・ 撮影計画・機材の準備で検討すべき事項について理解する.
・ デジタル化の手法,撮影記録の方法にはどのような方法があるかを理解する.
3. 研究課題
・ 自分が作成してみたいデジタルアーカイブの撮影計画表を作成しましょう.
・ 自分が作成してみたいデジタルアーカイブではどのような撮影記録が適当か検討しましょう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ11 デジタル化の方法
1.何を学ぶか
デジタル化の手法にはどのような方法があるか,デジタルカメラでの撮影方法や得られるファイルについて学修しましょう.デジタルアーカイブの資料としての撮影は,記念撮影や芸術の撮影とは,目的や撮影環境が違います.どのような事に注意したらよいか学修します.
2. 学習到達目標
・ 撮影記録の基本となるデジタルカメラのしくみや撮影方法を理解する.
・ デジタル化の結果として得られるファイルの形式(フォーマット)について理解する.
4. 研究課題
・ 代表的な静止画のファイル形式,動画のファイル形式を各3種類挙げその特徴をまとめましょう.
・ デジタルアーカイブのための撮影で注意すべき事項について考察してみよう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ12 目録の作成
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブに収集されているデータが何のデータかわからなければ,おそらくそのデータを使うことはできません.使えるデータにするためには目録(メタデータ)が必要です.ここでは目録について学修しましょう.
2. 学習到達目標
・ 目録とメタデータについて理解する.
・ 自然語・統制語・シソーラスについて理解する.
3. 研究課題
・ ColBase 国立博物館所蔵品統合検索システム(https://colbase.nich.go.jp/)を閲覧し,公開されているメタデータ項目を調べてみよう.
・ 国立国会図書館デジタルコレクション(https://colbase.nich.go.jp/)を閲覧し,公開されているメタデータ項目を調べてみよう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ13 公開・利活用のための画像処理
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブで収集したデータを公開・利活用するためには,データを加工したり,提示の方法を工夫する必要があります.そのための画像処理や画像公開のための取り組みについて学修しましょう.
2. 学習到達目標
・ デジタルデータを公開・利活用するための画像に求められることは何か理解する.
・ 画像処理や画像公開の仕組みについて理解する.
3.研究課題
・ インターネット上のIIIFが採用されているWEBサイトを3つ探して紹介しよう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ14 公開・利活用 多様な利用者への対応
1.何を学ぶか
デジタルデータを公開・利活用される中での,多様な利用者への合理的な配慮の必要性や方法について学修しましょう.
2. 学習到達目標
・ウェブアクセシビリティについて理解する.
・デジタルアーカイブの利活用における合理的配慮について理解する.
3.研究課題
・ デジタル庁が取り組んでいる「ウェブアクセシビリティ」への方策について調査し説明しよう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ15 オープンデータ化・デジタルアーカイブの提供
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブの利活用をすすめるため,オープンデータとして公開する事が求められています.データをどのような状態で公開するのが望ましいのかについて学修しましょう.デジタルアーカイブの提供機関についても学修します.
2. 学習到達目標
・オープンデータについて理解する.
・デジタルアーカイブの利活用の発展に向けた方策について理解する.
・デジタルアーカイブの提供がどのような機関を中心に行われているか理解する.
3.研究課題
・ オープンデータとはどのようなデータか説明しよう.
・ デジタルアーカイブの提供機関にはどのような働きが期待されているか考察しよう.
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
Ⅳ 課題
課題
Ⅴ アドバイス
課題解説
Ⅵ 科目修得試験:
これまでの研究課題を中心に,総合的な知識を問う試験を行う
Ⅶ テキスト
デジタルアーカイブの理論と実践ーデジタルアーキビスト入門(樹村房)
Ⅷ 参考文献