【授業】図書館サービス概論
【授業】図書館サービス概論
Ⅰ はじめに
図書館サービスの考え方と構造の理解を図り、資料提供、情報提供、連携・協力、課題解決支援・障害者・高齢者サービス等の各種サービス、利用者とのコミュニケーション等の基本を解説する。
Ⅱ 授業の目的・ねらい
図書館サービスの意義や種類について理解できるようになる。
Ⅲ 授業の教育目標
図書館サービスの意義や構造を説明できる。
図書館サービスの種類と留意点を説明できる。
図書館サービスの課題を理解し今後の展望を述べることができる。
第1講 図書館サービスの意義と理念
1.何を学ぶか
(1)図書館サービスの意義と目的
(2)図書館サービスの概念
・ユネスコ公共図書館宣言
・図書館の自由に関する宣言
・図書館員の倫理綱領
・図書館学の五法則
2.学習到達目標
・現代社会における図書館の位置付け・社会的意義について説明できる
・近現代日本の図書館の発展について説明できる
・図書館サービスの概念を説明できる
・図書館サービスの基本理念を図書館の自由に関する宣言、図書館員の倫理綱領などを参照し説明することができる
3.研究課題
(1)自身の図書館利用経験から学習前の図書館像を説明しなさい
(2)図書館学の五法則を解釈し、現代的な意義について考察しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第2講 図書館サービスの構成要素、公共図書館の役割、図書館サービスの高度
1.何を学ぶか
(1)図書館資料
(2)利用者
(3)図書館員
(4)施設設備
2.学習到達目標
・図書館サービスの構成要素である(1)図書館資料、(2)図書館サービスの利用者、(3)図書館員、(4)施設設備について代表例と留意点を説明できる
・民主主義体制における図書館の役割を説明できる
・図書館の提供する情報の付加価値を説明できる
3.研究課題
(1)民主主義の砦としての図書館の意味を説明しなさい。
(2)図書館で付加価値高めたサービスの実例を調査し、評価しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第3講 公共図書館サービスの変遷(1)第1期・第2期
1.何を学ぶか
(1)1945年代―1950年代の公共図書館サービス
(2)1960年代―1970年代の公共図書館サービス
2.学習到達目標
・第二次世界大戦後の日本の図書館サービスの特徴を説明できる
・1960〜70年代の日本の図書館サービスの特徴を説明できる
3.研究課題
(1)第1期の先進的な図書館の例を調べ、先進的である理由をまとめなさい
(2)第2期の先進的な図書館の例を調べ、先進的である理由をまとめなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第4講 公共図書館サービスの変遷(2)第3期〜第5期
1.何を学ぶか
(1)1980年代―1990年代前半の公共図書館サービス
(2)1990年代―2000年代の公共図書館サービス
(3)2010年代から現在の公共図書館サービス
2.学習到達目標
・1980〜90年代前半の日本の図書館サービスの特徴を説明できる
・1990〜2000年代の日本の図書館サービスの特徴を説明できる
・2010年代から現在までの日本の図書館サービスの特徴を説明できる
3.研究課題
(1)第3期の先進的な図書館の例を調べ、先進的である理由をまとめなさい
(2)第4期の先進的な図書館の例を調べ、先進的である理由をまとめなさい
(3)第5期の先進的な図書館の例を調べ、先進的である理由をまとめなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第5講 図書館サービスとコンプライアンス
1.何を学ぶか
(1)デジタル化・オープン化
(2)図書館サービスとコンプライアンス
(3)オープン化をめぐる諸動向
2.学習到達目標
・知識のデジタル化の歴史的経緯について説明できる
・初期のデジタルアーカイブ構想について説明できる
・学術情報のオープン化について目的と方法、課題について説明できる
3.研究課題
(1)知識資源のデジタル化のメリットとデメリットを考察しなさい
(2)学術情報のオープン化の是非について、多面的に考察しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第6講 図書館サービスと著作権
1.何を学ぶか
(1)著作権法
(2)パブリック・ライセンス
(3)著作権法の変動
2.学習到達目標
・著作権の基本と著作権法の目的を説明できる
・図書館に関係する著作権を説明できる
3.研究課題
(1)CCライセンスとは何か、歴史的な経緯を含めまとめなさい。
(2)知識資源のオープン化に際して留意しなければならない著作権上の問題と解決策について説明しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第7講 資料提供サービス
1.何を学ぶか
(1)資料提供サービスの意義と概要
(2)資料提供サービスの種類と内容
2.学習到達目標
・資料提供サービスの種類と内容について説明できる
・効果的な閲覧サービスを行うための留意点について説明できる
・貸出サービス、予約サービス、文献送付サービス、複写サービスについて目的と内容、留意点について説明できる
3.研究課題
(1)身近な図書館の資料提供サービスを調査し、評価しなさい
(2)潜在的利用者に向けた資料提供サービスを考案しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第8講 情報提供サービス
1.何を学ぶか
(1)情報提供サービスの意義と概要
(2)情報提供サービスの種類と内容
(3)レファレンスサービス
(4)情報サービス
2.学習到達目標
・情報提供サービスの種類と内容について説明できる
・レファレンスサービスの概要、プロセスについて説明できる
・図書館利用教育、読書案内の目的と内容、留意点について説明できる
・カレントアウェアネスサービス、情報検索サービスの目的と内容について説明できる
3.研究課題
(1)レファレンス質問の4タイプについて任意の質問と回答例を作成しなさい
(2)レファレンス協同データベースとはどのようなデータベースか。登録されている事例を引用しながら説明しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第9講 図書館サービスの協力と連携
1.何を学ぶか
(1)図書館協力の根拠
(2)学校連携
(3)危機管理連携
(4)分担目録・協同目録作業
2.学習到達目標
・図書館協力・連携の対象、種類について説明できる
・災害時など機器管理連携の必要性、内容について説明できる
・分担目録・協同目録作業の目的・内容・具体例について説明できる
3.研究課題
(1)NACSIS-CATとゆにかねっとについて調べ、異同について考察しなさい
(2)大学図書館コンソーシアムの成り立ちと目的、活動内容についてまとめなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第10講 課題解決支援サービス
1.何を学ぶか
(1)意思決定課題解決支援サービス
(2)資料・情報提供課題解決支援サービス
(3)公共図書館における課題解決支援サービスの実践事例
2.学習到達目標
・意思決定課題解決支援サービスと、このサービスにおける図書館員の役割について説明できる
・資料・情報提供課題解決支援サービスの目的と具体例を説明できる
・公共図書館における課題解決支援サービスの種類と、各サービスの目的と方法について説明できる。
3.研究課題
身近な図書館の課題解決支援サービスを調べ、評価しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第11講 障害者サービス,多文化サービス
1.何を学ぶか
(1)障害者とは
(2)障害者サービス
(3)多文化サービス
2.学習到達目標
・図書館を利用する際の障害について説明できる
・障害を取り除くために必要とされる各種サービスについて説明できる
・図書館障害者サービスの具体的な方法について説明できる
・多文化サービスの対象・目的・方法について説明できる
3.研究課題
(1)図書館が障碍者サービスを行う意義と、サービスの種類と方法をまとめなさい
(2)図書館が多文化サービスを行う意義と、サービスの種類と方法をまとめなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第12講 高齢者サービス
1.何を学ぶか
(1)高齢者の現状
(2)高齢者への図書館サービス
2.学習到達目標
・日本における高齢化の状況を説明できる
・図書館での高齢者へのサービスの具体的な方法について説明できる
3.研究課題
高齢者の特徴と図書館での高齢者サービスについてまとめた上で、近隣の図書館での高齢者サービスを調査して評価しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第13講 図書館利用者への接遇とコミュニケーション
1.何を学ぶか
(1)利用者への基本的な対応
(2)図書館における危機管理
2.学習到達目標
・人と接する時の基本的なマナーについて説明できる
・メールを送信する際の留意点について説明できる
・レファレンスサービスにおいて留意する事項を説明できる
・非常時の心構えや対応について説明できる
3.研究課題
「図書館におけるリスクマネージメンントガイドブック-トラブルや災害に備えて-」を読み、考察しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第14講 図書館におけるサイン、広報、集会・行事活動
1.何を学ぶか
(1)図書館におけるサイン
(2)広報
(3)集会・行事活動
2.学習到達目標
・施設案内・利用案内・書架案内の各種サインの目的と留意点を説明できる
・図書館における広報活動の重要性と方法について説明できる
・図書館で行われる集会・行事活動の意義と例について説明できる
3.研究課題
(1)近隣の図書館へ行き、サインの種類、サインの効果について調査しなさい。
(2)ウィキペディアタウンの事例を調べ、図書館で行う意義について考察しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第15講 図書館サービスの課題と展望
1.何を学ぶか
(1)図書館利用に困難を抱える利用者へのサービス
(2)利用者の潜在的ニーズへの対応
(3)情報資源の多様な提供方法
(4)図書館の人的資源、予算の獲得
(5)図書館づくり
2.学習到達目標
・図書館サービスの理念や変遷を踏まえ、今後の図書館の在り方について提案できる
・これからの公共図書館が目指す図書館サービスの方向性を考察できる
3.研究課題
(1)図書館サービスの今後の方向性について一言で表現し、説明しなさい。
(2)現在の図書館サービスの課題をまとめ、解決策を提案しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
Ⅳ レポート課題
課題1
戦後から現在までの公共図書館サービスの変遷についてテキストからまとめ、利用者のニーズと図書館の機能について考察しなさい。
課題2
課題解決型サービスのひとつを取り上げ、そのサービスの必要性と図書館が行う具体的な活動について説明しなさい。
Ⅴ アドバイス
課題1解説
テキスト第2章「公共図書館サービスの変遷」を確認し、それぞれの年代の社会の状況と利用者のニーズ、それに対応する図書館サービスをまとめなさい。
課題2解説
1990年代からみられるようになった公立図書館での課題解決型サービスについて、大阪府立中之島図書館、東京都立中央図書館、鳥取県立図書館などの例を図書館ホームぺージを参照するなどして、具体的な内容と必要性について考察しなさい。近隣図書館での例があれば現地視察を行いまとめなさい。
Ⅵ 科目修得試験:レポート試験
設問1
身近な公共図書館について調査を行い以下についてレポートしなさい。
(1)調査した図書館名・所在地
(2)その図書館の概要
(3)その図書館で実践している特徴的な図書館サービスの概要
(4)その図書館における利用対象者別の図書館サービスの概要
①乳幼児サービス、②児童サービス、③ヤングアダルトサービス、④成人サービス、⑤高齢者サービス、⑥障碍者サービス
設問2
あなたが考えるこれからの図書館が目指す方向性を一言で表現し、その言葉を選んだ理由を論じなさい。
Ⅶ テキスト
高山正也・村上篤太郎編著「図書館サービス概論」改訂 樹村房 2019年
Ⅷ 参考文献
日本図書館情報学会用語辞典編集委員会編「図書館情報学用語辞典」第5版 丸善 2020年