【授業】図書館情報資源概論
【授業】図書館情報資源概論
Ⅰ はじめに
授業は講義形式で進める。まずは各種資料の類型と特質、さらにはそれらの生産と流通について学ぶ。次に、図書館でのコレクション形成と管理の手法について、実際の図書館の例を交えながら学ぶ。さらに、図書館が情報資源を提供する意義と留意点について学ぶ。
Ⅱ 授業の目的・ねらい
図書館で取り扱いうる各種資料について理解を深め、図書館でのコレクションの形成と管理について学ぶ。図書館が情報資源を提供する意義と留意点について学ぶ。
Ⅲ 授業の教育目標
図書館で取り扱う各種資料について理解を深め、図書館でのコレクションの形成と管理について理解できる。
一般的な図書館で扱われる印刷資料・非印刷資料のほか、ネットワーク情報資源についても重点的に扱い、電子図書館・デジタルアーカイブについて理解できる。
第1講 図書館情報資源とは何か
1.何を学ぶか
(1)図書館情報資源の収集・提供・保存
(2)図書館情報資源としての出版物
2.学習到達目標
・図書館情報資源の定義を説明できる
・図書館情報資源の範囲について説明できる
・図書館情報資源の特徴について説明できる
・メディアの発展の概略について説明できる
3.研究課題
図書館情報資源を収集する時に考慮しなければいけないことについて考察しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第2講 記録メディアの種類
1.何を学ぶか
(1) 印刷資料
(2) マイクロ資料
(3) 視聴覚資料
(4) 視覚障害者用資料
(5) その他非印刷資料
2.学習到達目標
・印刷資料のメリット・デメリットを説明できる
・マイクロ資料のメリット・デメリットを説明できる
・視聴覚資料の種類と特徴を説明できる
・視覚障碍者用資料の種類と特徴を説明できる
3.研究課題
(1)記録メディアの変換の例を挙げ、必要性について説明しなさい。
(2)図書館・博物館・文書館で扱うメディアの違いについてまとめなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第3講 ネットワーク情報資源
1.何を学ぶか
(1) パッケージ系・ネットワーク系
(2) ネットワーク情報資源
(3) 有形出版物と無形出版物
(4) データベース
2.学習到達目標
・電子メディアの種類を説明できる
・図書館での電子メディアの扱いについて説明できる
・ネットワーク情報資源の特徴について説明できる
・図書館情報資源としてのデータベースの概要について説明できる
3.研究課題
(1)図書館で取り扱うパッケージ系電子メディアとネットワーク系電子メディアの違いを説明しなさい
(2)インターネット情報資源の種類と図書館で扱う場合の留意点についてまとめなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第4講 印刷資料
1.何を学ぶか
(1) 図書
(2) 逐次刊行物
(3) ファイル資料
2.学習到達目標
・記録メディアとしての図書の特徴について説明できる
・逐次刊行物とは何か、図書との違いや種類、特色について説明できる
・ファイル資料の種類、図書館での扱い方について説明できる
3.研究課題
伝統的な印刷資料としての図書、パッケージ系の電子図書、ネットワーク系の電子書籍を比較し、メリット、デメリットを考察しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第5講 非印刷資料
1.何を学ぶか
(1) マイクロ資料
(2) 視聴覚資料
(3) パッケージ系電子出版物
(4) 視覚障害者用資料
2.学習到達目標
・マイクロ資料の種類、特色、マイクロ化の意義について説明できる
・視聴覚資料の種類を説明できる
・視覚障害者用資料の種類と特徴を説明できる
3.研究課題
(1)マイクロ資料についてまとめ、デジタル時代にマイクロ資料を取り扱う意義について考察しなさい
(2)身近な図書館の障害者用資料を調べてまとめなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第6講 ネットワーク情報資源
1.何を学ぶか
(1) オンライン出版物
(2) デジタルアーカイブ
(3) 二次情報データベース
(4) ウェブ情報
2.学習到達目標
・電子書籍の発達と図書館での提供について説明できる
・電子ジャーナルの流通と大学図書館での提供について説明できる
・インターネット上で公開されているデジタルコンテンツ、デジタルアーカイブについて例を挙げて説明できる
3.研究課題
(1)パッケージ系とネットワーク系のメディアとしての違い、図書館としての扱い方の違いをまとめ考察しなさい
(2)電子ジャーナルに関する大学図書館の課題について考察しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第7講 政府刊行物
1.何を学ぶか
(1) 政府刊行物とは
(2) 政府刊行物の種類と意義
(3) 政府刊行物の流通と収集
2.学習到達目標
・政府刊行物とは何か、発行機関の範囲、性格、種類と意義について説明できる
・政府刊行物の流通と図書館で収集する際の留意点について説明できる
3.研究課題
(1)白書について調べ、目的や特徴をまとめなさい
(2)身近な図書館での政府刊行物の提供について調べ、考察しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第8講 地域資料
1.何を学ぶか
(1) 地域資料とは
(2) 地域の範囲と地域資料の種類
2.学習到達目標
・図書館で扱う地域資料の変遷について説明できる
・図書館で扱う地域資料の種類について説明できる
3.研究課題
身近な図書館で収集している地域資料について調査し、考察しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第9講 コレクション構築
1.何を学ぶか
(1) コレクション構築とは
(2) コレクション構築のプロセス
(3) コレクション構築に関する研究
2.学習到達目標
・図書館におけるコレクションの考え方を説明できる
・コレクション構築に影響を与える要因について説明できる
・館種別のコレクションの特徴を説明できる
・コレクション構築のプロセスについて説明できる
3.研究課題
図書館の役割とコレクション構築との関係について考察しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第10講 資料選択
1.何を学ぶか
(1) 資料収集方針
(2) 利用者とそのニーズ
(3) 資料自体の特徴や価値
(4) コレクションの特徴
2.学習到達目標
・資料収集方針の必要性と内容について説明できる
・IFLAの「コレクション構築方針のためのガイドライン」の考え方を説明できる
・資料選択における価値論と要求論について説明できる
・予算の制限から起こっている問題について説明できる
3.研究課題
(1)シリアルズ・クライシスと対応策について考察しなさい
(2)公開されている資料収集方針の例を調べ、評価しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第11講 資料収集
1.何を学ぶか
(1) 資料入手の方法
(2) 資料収集の実際
2.学習到達目標
・資料収集の方法について説明できる
・資料収集のプロセスについて説明できる
3.研究課題
図書館で資料を収集する際の留意点についてまとめなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第12講 資料の蓄積
1.何を学ぶか
(1) 装備
(2) 製本
(3) 排架
(4) 保存
(5) 書庫管理
2.学習到達目標
・資料の装備・製本の概要を説明できる
・排架の方法、配架方式について説明できる
・資料の保存において留意すべき点を説明できる
3.研究課題
自分の所有する図書でブックコートかけや図書の補修を行いなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第13講 コレクション評価
1.何を学ぶか
(1) コレクションの評価
(2) コレクション更新
2.学習到達目標
・コレクション評価の観点について説明できる
・図書館統計からコレクションを評価することができる
・雑誌の利用分析法について説明できる
・来館者を対象とした調査により得られるデータの特徴を説明できる
・コレクション更新を行う必要性と方法について説明できる
3.研究課題
(1)複数年の図書館統計参照し、蔵書密度、蔵書新鮮度、蔵書成長率を元にコレクション中心の評価を行いなさい
(2)複数年の図書館統計を参照し、貸出密度、蔵書回転率から利用中心の評価を行いなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第14講 出版流通
1.何を学ぶか
(1) 出版・流通・印刷
(2) 日本における出版・流通の仕組み
2.学習到達目標
・印刷術の発展と印刷の方式を説明できる
・日本の出版流通の仕組みを説明できる
・書店と図書館との関係を説明できる
3.研究課題
(1)オンライン書店の出現によって起きた出版流通の変化について多面的に考察しなさい
(2)図書館と書店とで図書の排列にどのような異同があるか、観察調査を行い、考察しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第15講 日本の商業出版と流通
1.何を学ぶか
(1) 書籍の出版
(2) 雑誌の出版
(3) 出版の多様化とメディアミックス
2.学習到達目標
・ベストセラー、作品賞といった話題の図書について説明できる
・雑誌出版の現状について説明できる
・著作の表現形式、体言形式が多様化していることについて例を挙げて説明することができる
3.研究課題
(1)直近3年のベストセラー、芥川賞、直木賞、本屋大賞について調べ、考察しなさい
(2)任意の文学賞を2つ選んで調べ、選択理由、賞の目的、歴史、受賞作品の紹介をしなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
Ⅳ レポート課題
課題1
図書館が取り扱う「紙媒体の情報資源」について,現状における「図書館情報資源としての特性」(長所・短所等)を踏まえ,ネットワーク情報資源(ウェブ情報等)やデジタル情報資源が普及する今後の社会環境下において図書館が,今まで通り紙媒体の情報資源を取り扱うことの意義について,あなたの考えを述べなさい。
課題2
日本図書館協会図書館調査事業委員会日本の図書館調査委員会編著「日本の図書館:統計と名簿」の複数の年度を参照し、同一の図書館について「貸出密度」「実質貸出密度」「蔵書密度」「蔵書回転率」を算出の上、図書館評価を行いなさい。
Ⅴ アドバイス
課題1解説
可能な限り自身の考えとは異なる意見も参考にし、自身の意見として肯定的、否定的のいずれかを明確にし、論拠を示しながら述べること。
課題2解説
それぞれの指標の意味をよく確認し、実際の数値から計算をすること。分館のある図書館の場合は、その地域のすべての図書館の蔵書冊数、登録者数、貸出数を利用すること。
変化が分かりにくく評価しにくい場合には、同程度の人口規模の地方自治体の図書館を比較対象としてもよい。
Ⅵ 科目修得試験:レポート試験
(1)身近な図書館について調査し、必要事項を記述しなさい。
①調査した図書館名
②図書館の概要
③積極的に収集している図書館資料
④電子書籍の取組
④デジタルアーカイブの取組
(2)公共図書館が地域資料を収集する理由を考え、地域資料の特性と地域資料のアーカイブ化について論じなさい
Ⅶ テキスト
岸田和明著「図書館情報資源概論」改訂 樹村房 2020年
Ⅷ 参考文献
「図書館情報学用語辞典第」5版 丸善出版,2020年