【研究】令和6年度岐阜県私立大学地方創生推進事業
~DXで実現する地域のデジタル人材育成事業~
事業概要
〇地域産業や地域社会を担う人材確保のため,デジタル・グリーン等成長分野に関するリスキリングを推進する,このためにリスキリング教育のための「Multi Campus One Digital University」を新たに構築し,地域人材の育成カリキュラムを開発し実践する。
(注)「Multi Campus One Digital University」とは,DX(Digital Transformation)時代における“新たな学び”の創出により,デジタル技術を活用し,学びのあり方やカリキュラムを革新させると同時に,リスキリング文化を革新し,時代に対応した新たなリスキリング教育システムである。
〇本システムにより,全ての講座をいつでもどこからでも受講できるようなオープンなデジタルユニバーシティの構築することにより,新たな雇用機会を創出し,地域に必要な人材確保の新たな展開を実現する。
事業内容
〇少子高齢化社会において,人手不足が深刻化している地方や中小企業ではデジタル化は急務であるが,それを進める人材は少なく採用に苦慮している。このため,現有人材をデジタル人材化するための教育が各企業で進んでいる。
〇2022年秋の段階で,DXに取り組んでいる企業のうち8割以上が従業員のリスキリングに取り組んでいる。
〇総務省も,人への投資を推進しており,官民連携でリスキリングに取り組む自治体が出てきている。地域に必要な人材の確保のため,地方自治体が企業のデジタル人材育成を支援する動きは,今後も活発化すると予想される。
〇企業内研修とは異なり,民間企業や個人向けに学習の機会を提供するには複雑な仕組みが必要である。本学が計画する,①誰もが学べる環境を整備する,②人々が学びたいテーマの教育を準備する,③誰が何を学んだか知識が身についたか進捗を確認するなど,すべてを企業内で行うことは難しい。
〇それを一気通貫で実現できるのが本学が構想する「Multi Campus One Digital University」である。「Multi Campus One Digital University」では,高度な指導者によるカリキュラムの開発やe-Learning配信システムを用いて学習環境を提供する。
〇本システムにより,全ての講座をいつでもどこからでも受講できるようなオープンなデジタルユニバーシティの構築することにより,新たな雇用機会を創出し,地域に必要な人材確保の新たな展開を実現する。
〇これまでの産業構造が根本的に変化したことにより,かつての主力産業の衰退や業務のロボット化・デジタル化が一気に進んだ。それに伴い,企業は大量の余剰人員を抱えることになった。しかも多くの企業は,斜陽に差し掛かっているこれまでの事業の延長線上ではなく,新たな事業を開拓できるイノベーション人材を求めている。
〇その一方で,急速に進んだDXに対応できるIT人材不足は深刻な状況に陥っている。例えば,これまでテレビを主力商品として開発・製造していたメーカーが,テレビの生産をストップさせ,代わりにロボット技術の開発に事業移管する,といったイメージである。
〇こういった場面で直面するのが,もう必要のなくなったスキルしか持たない従業員の処遇と,新事業で必要とされる新たなスキルを持つ人材の不足である。その時,余剰となった人材を再教育(リスキリング)して再配置し,新たな雇用機会の創出につなげるというのがリスキリングの考え方である。
〇リスキリングが重視されているもうひとつの理由として,DXへの対応がある。DXとは単なるデジタル化・効率化ではなく,企業の製品やサービス,ビジネスモデル,そして組織そのものを変革させることである.事業構造の変化に伴い,これまでと全く違うスキルがすべてのプロセスにおいて求められることになる。
〇DXは一部のIT技術者だけが対応すれば良いというものではない。今いるすべての従業員たちが,会社の変化を理解し,新たな知識やスキルを身に付け,新しい仕組みに順応して業務を行い,利益を上げていく。
〇企業がDXに本気で取り組もうとする時,すべての従業員のリスキリングが求められる。自社の従業員が現在保有しているスキルは何か,これから必要となるスキルは何か。それを可視化させ,ギャップを埋めるリスキリングプログラムを用意する必要がある。
大学等における課題解決に向けたこれまでの取組状況
〇地域における大学の使命は,地域における新たな価値の創造による新たな文化と雇用の創出である。そのためには,地域の大学は知の拠点としての機能を有し地域で活躍できる人材の育成が重要である。
〇また,上記の地域資源デジタルアーカイブをという教育リソースと日本の著名な専門家を招聘した下記のような研修講座を実施してきた。
①デジタルアーカイブin岐阜2022・2023の実施
令和5年2月11日(土) 受講者:72名(県内20名)
令和6年2月11日(土) 受講者:55名
②高校生のためのデジタルアーカイブクリエータ資格取得講座
第1期:令和4年 8月27日(土) 受講者:2名
第2期:令和4年12月17日(土) 受講者:43名
第3期:令和5年 8月19日(土) 受講者:35名
第4期:令和5年12月16日(土) 受講者:27名
③高校生のための準デジタルアーキビスト資格取得講座
令和4年4月~7月 受講者:29名
令和5年4月18日~令和5年2月20日 受講者:24名
④社会人のための準デジタルアーキビスト資格取得講座(e-Learning)
令和5年2月11日~2月26日 受講者:35名
令和6年2月11日~2月25日 受講者:55名
この他にも,本学の教育リソースを活用した教員対象の免許状上進など様々な講座を行い教員のリスキングを行っている。
〇 研 究
また,本事業を実施するために本学として次のような研究を現在進めている。
①個別最適化され,創造性を育む学修への転換
○学習者たち一人一人に個別最適化され,創造性を育む学びの実現のための“新たな学び”をデザインする。また,未来社会を見据えて育成すべき資質・能力を育むための“新たな学び”やそれを実現していくための“新たな学びの空間(学修環境)”を形成するためにICTを効果的に活用する。
②効果的で効率的・魅力的な教育方法への転換
○カリキュラムを効率的に教えるために,学習者の特徴や与えられた環境,教育リソースなどを考慮し,最も効果的で効率的・魅力的な教育方法を選択する.そのことにより,実行と評価を繰り返すことで,授業の成果を高める。
③学習者における自律的なオンライン授業への転換
○教えない授業を実現するためには,自律的な学習者となることが重要であり,その自律的な学習者における自律的なオンライン授業を実現する。
◆計画事業の具体的な実施内容
〇本事業では,岐阜県における地域人材の育成事業として次のような課題を設定している。
〇AIやDXによる業務効率化,脱炭素化が進むこれからの時代,社会で活躍し続けるためには,常に知識・スキルをアップデートして変化に対応することが必要である。
〇そのための学びのあり方として,リカレント,リスキリングといった社会人の学び直しへの関心が高まっている。
〇一方で,学び直しに興味はあっても,学費の負担や時間の確保がネックとなり,二の足を踏んでいる社会人は少なくない。
〇そこで,産業界や社会のニーズを満たすリスキング教育プログラムの開発・提供を行い,社会人のスキルアップやキャリアアップ,キャリアチェンジを後押しする。
〇本リスキング教育プログラムのコンセプトとして,時代の潮流に即した最先端で,各分野において最先端の知見を有する講師により,スキル修得を目指したコンテンツを活用し,いつでもどこでも学習できる環境であるオンデマンドな学習環境を構築する。
〇令和6年度,リスキリング教育プログラムとして開発する内容は以下の通りである。
① AI人材の養成
超スマート社会(Society 5.0)の実現に向け,AIを活用して社会課題を解決し,新たな価値を創造できる人材の活躍が期待されている.世界的にAI人材不足が深刻化するなか,各企業の間で優秀なAI人材の争奪戦が行われており,AI人材育成に対するニーズが高まっている.ここでは,次のような内容でAI人材育成を行う。
講座の内容(予定)
⑴ AIとはなに?
⑵ AIで何ができるか?
⑶ 「人工知能をつくり出そう」
⑷ 人工知能 概論
⑸ 「生成AIの仕組みと社会へのインパクト」
⑹ 「AIと人間の学び」
⑺ 「人とAIの学習研究から考えるこれからの教育」
⑻ 「人工知能(AI)とデジタルアーカイブの現状と未来」
⑼ 進化するAIと変わる著作権・肖像権 他
② デジタルアーキビストの養成
デジタルアーキビストとは,文化・産業資源等の対象を理解し,著作権・肖像権・プライバシー等の権利処理を行い,デジタル化の知識と技能を持ち,収集・管理・保護・活用・創造を担当できる人材のことをいう。
また,ビジネスのボーダーレス化の進行,来たる超スマート社会(Society 5.0)に向けて,知的財産人材の業務は,これまで主流であった知的財産に関する専門知識を活かす業務だけでなく,ルール形成やビジネスモデル構築等の業務にも拡大しており, 「ビジネス・知財総合戦略」を担える知的財産人材の必要性が高まっている.ここでは,デジタルアーキビスト資格と絡め知的財産人材の育成を行う。
講座の内容(予定)
⑴ デジタルアーカイブの基礎
⑵ デジタルアーカイブ開発と活用プロセス
⑶ デジタルアーカイブの評価とメタデータ
⑷ デジタルアーカイブの利活用
⑸ デジタルアーカイブによる地域活性化
⑹ デジタルアーカイブと知的財産権
⑺ ジャパンサーチとデジタルアーカイブ活用基盤
⑻ 世界のデジタルアーカイブの発展とその活用
⑼ デジタルアーカイブと法制度の現在地点 他
③ 学校DX戦略コーディネータの養成
学校DX戦略コーディネータは,学校や教育機関においてデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の計画,実施,および評価をし,効果的に推進する役割を担う専門家であり,次の能力を育成する。
〇 学校DX戦略コーディネータは,教育機関のデジタルトランスフォーメーションの方向性を決定し,具体的な戦略や目標を策定する.これは,教育プロセスの効率化,生徒の学習体験の向上,教育成果の最大化などを含むことがある。
〇DXプロジェクトの計画,予算,スケジュール,リソースの調整,および進行状況のモニタリングを担当します.さまざまな関係者と協力して,プロジェクトの成功を確保する。
〇教育分野における最新のデジタルツールやテクノロジーの選定と導入を調整し,教育プロセスや学習環境の向上を促進する。
〇ステークホルダー連携: 学校DX戦略コーディネータは,教師,学生,保護者,教育委員会,地域社会などのステークホルダーと連携し,DX戦略の成功に向けて協力する。
〇DXイニシアティブの成果を評価し,データに基づいて戦略の調整や改善を行う.教育成果や効率性の向上を追求する。
〇デジタル教育環境においてセキュリティリスクを管理し,生徒のデータやプライバシーを守る役割も担う。
講座の内容(予定)
⑴ 教育DX時代における新たな学び
⑵ 21世紀に求められる学力と学習環境
⑶ 主体的・対話的な深い学びの実現
⑷ 学習目標とその明確化
⑸ 学習目標のデザイン
⑹ 教えて考えさせる授業の展開
⑺ 協働的な学びのデザイン
⑻ 「教えないで学べる」という新たな学び
⑼ 遠隔授業のデザイン手法 他
〇令和7年度には,地域産業や地域社会を担う人材確保のため,特にグリーン等成長分野に関するリスキリングの推進に資する教育リソースを開発し,地域人材の育成カリキュラムの開発・実践する。
【研究】学校DX戦略コーディネータ養成カリキュラムの開発
◆計画事業の実施により見込まれる地域への影響
〇本システムは,全ての講座をいつでもどこからでも受講できるようなオープンなデジタルユニバーシティの構築することにより,新たな雇用機会を創出し,地域に必要な人材確保の新たな展開を実現する。新し,時代に対応した新たなリスキング教育システムである。
〇本システムにより,全ての講座をいつでもどこからでも受講できるようなオープンなデジタルユニバーシティの構築することにより,新たな雇用機会を創出し,地域に必要な人材確保の新たな展開を実現する。
◆計画事業の成果普及に関する取組予定
①社会人のリスキングのための「Multi Campus One Digital University」を構築する。
②「デジタルアーカイブin岐阜」の開催(予定)
従来,県内各地で行ってきた「デジタルアーカイブin岐阜」を本年度も実施する.岐阜県内の企業や地域の人々に対してリスキリングの内容・有用性について周知すると共に,本事業の成果を普及する。
③「リスキリング講習会」の開催
岐阜県内の企業や地域の人々に対してリスキリングの機会を提供すると共に,本事業の成果を普及する。
◆事業スケジュール
上記の計画事業の実施内容に沿って,「Multi Campus One Digital University」を構築し,DX時代における“新たな学び”の創出により,デジタル技術を活用し,学びのあり方やカリキュラムを革新させると同時に,リスキリング文化を革新し,時代に対応したリスキリング教育システムを確立する.
スケジュール(予定)
5- 7月 リスキリング教育カリキュラムの構築
8-10月 Multi Campus One Digital Universityの構築
11-12月 e-Learningコンテンツの作成
1- 3月 「デジタルアーカイブin岐阜」の開催
「リスキリング講習会」の開催
【令和6年度】(予定)
① AI人材の養成
・AI人材の養成に関する講座カリキュラムの開発(15講座)
・e-Learning教材の開発(15講座)
・受講者50名
② デジタルアーキビストの養成
・デジタルアーキビストの養成に関する講座カリキュラムの開発
・e-Learning教材の開発(15講座)
・受講者50名
③ 学校DX戦略コーディネータ養成
・学校DX戦略コーディネータの養成に関する講座カリキュラムの開発
・e-Learning教材の開発(15講座)
・受講者50名
【令和7年度】(予定)
① GX人材養成
GX人材の養成カリキュラムの開発
・e-Learning教材の開発(15講座)
・受講者50名
② 環境学・食品学の人材養成
環境・食品に関する養成カリキュラムの開発
・e-Learning教材の開発(15講座)
・受講者50名
③ ドローン人材の養成
ドローンの活用に関する養成カリキュラムの開発
・e-Learning教材の開発(15講座)
・受講者50名
資料
1.(岐阜女子大学)03応募申請(別紙様式1)
2.(岐阜女子大学)03応募申請(別紙様式2)
3.(岐阜女子大学)03応募申請(別紙様式3)
4.Multi_Campus_One_Digital_University構想__私立大学地域創生推進事業
5.内定通知(岐阜女子大学)
令和6年度岐阜県私立大学地方創生推進事業会議
1.第1回 令和6年度岐阜県私立大学地方創生推進事業会議
資料
1.DXで実現する地域のデジタル人材育成事業