延算寺
延算寺
延算寺(えんさんじ)は、岐阜県岐阜市にある高野山真言宗準別格本山の寺院である。山号は岩井山。本坊と東院とは500m程離れている。ここでは本坊と東院の双方について記述する。
本坊の本尊は薬師如来。別名を「たらい薬師」という。東院の本尊は薬師如来。別名を瘡神薬師(かさかみやくし)という。美濃四国札所であり、延算寺東院は八十番札所。延算寺本坊は八十五番札所。皮膚病に利益があるといわれ、東院には皮膚病に効果があるという霊水がある。
伝承によれば、815年(弘仁6年)、空海がこの地で霊水を見つけ、薬師如来を祀ったのが起源であるという。
地元に伝わる昔話によると、805年(延暦24年)、唐から帰国した最澄が因幡国岩井郡岩井に滞在し、クスノキで3体の薬師如来像を彫り上げた。そのうち一体が空を飛び、美濃国岩井で座禅を組んでいた僧侶の前に現れたという。驚いた僧侶は像をお祀ろうとしたが粗末な仏堂しか造れず、地元の農民が用意した新しい盥の上に安置したという。このことから、「たらい薬師」と呼ばれるようになったという。空海がこの地を訪れた際、この薬師如来をお祀りする寺を建立し、薬師如来を盥の上に安置した僧侶は空海の弟子となったという。
864年(貞観6年)、定額寺となる。
昌泰年間頃、天然痘(皮膚病の説あり)を患った小野小町が、お告げにより疱疹、瘡を直すために延算寺に7日間こもる。夢で「東に霊水がある。その水を体にすり込むと良い。」とお告げを聞き、その水をすり込むと完治する。この際、その霊水に延算寺の薬師如来を模した石仏を祀ったという。これが東院の始まりであると伝えられている。
かつては大規模な伽藍であったというが、幾たびかの戦火で焼失する。現在の本堂は1643年(寛永20年)再建である。