自然-4 川上岳(かおれだけ・一之宮町)岐阜県私立大学地方創生推進事業, 飛騨高山匠の技デジタルアーカイブ, デジタルアーカイブ自然-4 川上岳(かおれだけ・一之宮町) 川上と書いてカオレと読むのはまず難しい。飛騨では沢上をソウレという読みかたがある。川上岳は位山、船山とともに「位山三山」のひとつに呼ばれる。川上岳は三山の中でアクセスがしにくい点を除けば、飛騨一帯を一望できる素晴らしい眺望が待っている。サラサドウダンの咲く6月や、それらが山頂部で紅葉する秋の登山には多くのハイカーで賑わう。位山との縦走路は、「天空の遊歩道」と呼ばれトレイルラン大会が行われている。 <位山三山の川上岳にまつわる民話> 神代の昔、飛騨の中央の位山と、船山、川上岳にはそれぞれ神様がござった。位山は力強い男神様、その東隣と西隣の船山、川上岳は美しい女神様やった。二人の女神さまは、それぞれ位山の男神様に結婚を申し込んだのやけど、どちらも決めがたく、男神様はこまってまった。 そこで、男神様は二人の女神様に提案したんやと。「満月の晩、月が位山の上にかかったのを合図に、私のところに来てくれた方をお嫁さんにしましょう」二人の女神さまはたいそう張り切った。 満月の晩、東側の船山では早々に月が昇るのが見えた。船山の女神さまはさっそく化粧をはじめたが、なかなか位山に向かっていかん。いらいらいしながら待ってござったと。 一方、西の川上岳からは位山が邪魔してなかなか月が見えなんだ。そわそわしておると、ぽっかり昇ったばかりの月がもう位山の上にかかったように見えたもんで、慌てて男神様の元へ走っていった。 船山の女神様が待ちくたびれておった頃、位山では男神様と川上岳の女神様が手と手を取り合っておったんやさ。悔しがった船山の女神様は、位山との間に無数河川の谷を作って行き来を経ってしまわれた。 位山と川上岳は仲良く肩を並べ、子どもがたくさん生まれた。満月の晩、川上岳を見ると頂上の草原で、神様の子どもが遊ぶ様子が、うさぎが跳ねているように見えたもんで、里では「うさぎのばんばん(馬場)」と呼んだという。 出典:『飛騨の民話-新版日本の民話15-』 江馬三枝子編 未来社 資料 ⑥自然-4 川上岳(かおれだけ・一之宮町) 2023年1月27日 https://digitalarchiveproject.jp/wp-content/uploads/2023/01/DSCN4590_R.jpg 768 1024 dapro https://digitalarchiveproject.jp/wp-content/uploads/2023/02/logo.jpg dapro2023-01-27 14:23:062023-01-27 14:23:06自然-4 川上岳(かおれだけ・一之宮町)