【研究】学びの個別最適化をめざす自律活用型デジタルコンテンツデザイン の実践的研究
学びの個別最適化をめざす自律活用型デジタルコンテンツデザインの実践的研究 ~ 中学校音楽科ICT学習のデジタルアーカイブの利活用にむけて ~
1.論文構成
Ⅰ コンピテンシーを育成するデジタルアーカイブの構想/考え方
Ⅱ 学びの個別最適化をめざす中学校音楽科のデジタルアーカイブづくり
Ⅲ JAPAN SEARCHへの連携をめざした情報交換のプラットフォームづくり
2.研究の目的
学びの個別最適化に対応する中学校音楽科学習デジタルアーカイブの在り方を究明する。
3.方法
Ⅰ コンピテンシーを育成するデジタルアーカイブの構想/考え方
感性を育む音楽科の役割を大切にしながら、教科目標と評価のかかわりの視点から、コンピテンシーを育む授業に対応できる授業づくりの工夫・改善策を探る。
Ⅱ 学びの個別最適化をめざす中学校音楽科のデジタルアーカイブづくり
①MEXCBTメクビットで割り振られた学習指導要領番号にあわせた、コンテンツの枠組みフレームワーク・カテゴリーや構成の整理
②生徒がコンテンツを自律的に活用できる授業の流れや学習プリントや手引の作成と工夫
③生徒の学びを可視化するスタディー・ログの残し方の工夫、音源やMIDIデータ、レポート、評価などの整理
④研究(過去の研究主題や指導案等)のデジタルアーカイブ
Ⅲ JAPAN SEARCHへの連携をめざした情報交換のプラットフォームづくり
音楽科学習の意義や価値の発信と、教育データの利活用ができる世界を目指すプラットフォームを立ち上げる。
4.主要参考文献
〇デジタル庁、総務省、文部科学省、経済産業省(2022)「教育データ利活用ロードマップ」
〇白井 俊(2020)「OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来」
資料
初等教科教育法(音楽)(試案)
Ⅰ はじめに
21世紀の知識基盤社会における「学力」は「他者と協働しつつ創造的に生きていく」ための資質・能力の育成である。そのために,学習活動では,他者と共に新たな知識を生み出す活動を引き出しつつ深い知識を創造させていく経験を,数多く積ませることが重要である。また,情報化や国際化が進み,社会が⼤きく変化する中で,学校,そして教師は様々な変化に直面している。児童に求められる学力の変化や授業でのICT活用など,教師はどう対応していけばよいか。
本講座では「インストラクショナルデザイン」を手がかりに,学びの基礎としてのインストラクショナルデザインを取り入れた音楽教育について考える。
Ⅱ 授業の目的・ねらい
知識基盤社会とは,新しい知識やアイデア,技術のイノベーションがほかの何よりも重視される社会である。そのイノベーションのために,他者とのコミュニケーションやコラボレーション(協働,協調)が重視され, それらが効果的・建設的に行えるように,人と人を繋ぐコミュニティやICTの役割に注目が集まっている。つまり,現在決まった答えのないグローバルな課題に対して,大人も子供も含めた重層的なコミュニティの中で,ICT を駆使して一人ひとりが自分の考えや知識を持ち寄り,交換して考えを深め,統合することで解を見出し,その先の課題を見据える社会へと,社会全体が転換しようとしている。ここでは,その高度情報社会とそれに応じて求められる音楽における資質や能力について考える。
Ⅲ 授業の教育目標
(1)「インストラクショナルデザイン」を手がかりに,効果的・効率的・魅力的な授業づくりや学びの方法について考え,自分の考えを具体的に述べることができる。
(2)21世紀に求められる学力を育む新たな授業と評価を,背景や音楽における実践事例を紹介しながら考え,説明できる。
(3)目標を分析して構造がわかると,評価規準ができる。目標の構造がわかるというのは,評価規準のなかで,重要度を決定することを考える。
(4)「教えないで学べる」学びの視点を考え,音楽教育の内容を構造化し整理し提示する。
(5)音楽教育における「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実について考える。
第1講 【21世紀に求められる学力と学習環境】
1.何を学ぶか
(1)知識基盤社会で求められる力
(2)21世紀型学力を育成する授業への変革
(3)授業・教育課程のすがた
(4)評価のすがた
(5)取り組み事例
2.学習到達目標
(1)21世紀に求められる学力について説明できる。
(2)資質・能力を引き出す授業の条件を説明できる。
3.研究課題
(1)知識習得モデルと知識創造モデルの違いを説明しなさい。
(2)知識習得モデルから知識創造モデルへの授業改善について、具体例をあげて説明しなさい。
(3)変容的評価について、具体例をあげて説明しなさい。
。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第2講 【インストラクショナルデザイン】
1.何を学ぶか
(1)インストラクショナルデザインとは
(2)音楽科教材開発とインストラクショナルデザイン
(3)ADDIEモデル(フレームワーク)の活用~授業改善と定着~
2.学習到達目標
(1)インストラクショナルデザインとは何か説明できる。
(2)ADDIEモデルについて事例をあげて説明できる。
3.研究課題
(1)ADDIEのプロセスを検討し,音楽の教材を作成しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第3講 【教育方法の歴史 ~教えと学びのパラダイムの交錯~】
1.何を学ぶか
(1)教育方法の歴史
・行動主義的学習観について
・認知主義的学習理論について
・構成主義的学習理論について
・社会構成主義的学習理論について
(2)これからの学びにおける,学習者の学びに向かう態度とは何か
2.学習到達目標
(1)教育方法の歴史をつかむ。
現行学習指導要領の転換が図られていることを理解し,説明することができる。
(2)現在の学習指導要領において,重要視されている学習者の主体的に学ぶ態度(自律的な学び)について,具体例を示しながら説明できる。
3.研究課題
(1)教育方法の歴史としての,学習観の変遷を,学習者の具体的な姿を示し,述べなさい。
(2)現在の学習観において、重要視されている学習者の主体的に学ぶ態度(自律的な学び)について、具体例を示し、述べなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第4講 【音楽科学習目標のデザイン】
1.何を学ぶか
(1)学習目標の明確化
(2)学習目標の分類
(3)明確な学習目標を設定する
2.学習到達目標
(1)ブルームの教育⽬標分類について、行動目標による例を取り挙げて説明できる。
(2)ガニェの学習成果の5分類について、具体例を挙げて説明できる。
(3)明確な学習目標について、具体的に説明できる。
3.研究課題
(1)ブルームの教育目標分類について、行動目標による例を取り上げて説明しなさい。
(2)ガニェの学習成果の5分類について、音楽教育の具体例を挙げて説明しなさい。
(3)明確な学習目標について、音楽の具体的な題材において設定しなさい。
(4)学年音楽の目標のタキソノミーテーブルを作成しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第5講 【音楽科授業の分析と設計】
1.何を学ぶか
(1)授業の目標分析
(2)教育目標の分類学
(3)題材構成と教材の構造
(4)授業の設計・開発の手順
2.学習到達目標
(1)何を学ぶのか、そのための授業のあり方について説明できる。
(2)システム的な授業設計・開発の手順を5つに分けて説明できる。
3.研究課題
(1)自分が授業を行うとするならば、何を学ぶ授業とするのかを具体的に述べなさい。学ぶことを実現するために、どのような授業とするのか、その方針を述べなさい。
(2)(1)で述べた授業を基に、システム的な授業設計について、①何をしたいのか②何を学びたいか③何を指導したいか④どのような順序で学ぶのか⑤それを指導するために何がいるのか、の5つに分けて、具体例を示しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第6講 【子どもの学習意欲を高める音楽教育】
1.何を学ぶか
(1)動機づけを高める要因
(2)ARCSモデル
(3)アンドラゴジーとペダゴジー
(4)学習意欲を高める音楽科学習指導法
(5)学ぶ意欲を保ち続けるために
2.学習到達目標
(1)学習意欲を高める音楽の指導法について説明できる。
(2)インストラクショナルデザイン(ID)の一環、ジョン・M・ケラーの ARCS(アークス)モデルについて具体的に説明できる。
(3)アンドラゴジーをもとにして学校式教育から大人の学び支援について,その違いを具体的に説明できる。
3.研究課題
(1)アンドラゴジーをもとにして、学校式教育から大人の学び支援について、その違いを具体的に5つあげて、KJ 法を使ってグループごとに分類し、説明しなさい。
(2)各グループで学習の動機づけの具体的な方法をあげて、ジョン・M・ケラーの ARCSモデルのどの分類にあたるか、説明しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第7講 【発達段階を踏まえた指導の充実】
1.何を学ぶか
(1)保幼、中学校の音楽科学習の接続
(2)発達段階を踏まえた音楽の感受を深める・表出する方法とその手だて
2.学習到達目標
(1)保幼小の連携、小中の学習指導要領の構成について、説明できる。
(2)発達段階を踏まえた指導の充実(低・中・高学年)について、具体的な手だてを説明できる。
3.研究課題
(1)音楽科の学習指導において、児童の発達段階を踏まえた指導の具体例を、教材(楽曲)例を用いて説明しなさい。
(2)育みたい資質・能力を焦点化した音楽科学習指導の、小中比較表を作成しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第8講 【「教えないで学べる」という新たな学び】
1.何を学ぶか
(1)J・Bキャロル(Carroll)の学校学習の時間モデル
(2)自分の人生設計ができる子どもを育てる「教えないで学べる」学習環境
(3)学校教育の情報化
2.学習到達目標
(1)「教えないで学べる」とはどのようなことか具体例を挙げて説明できる。
(2)「教えないで学べる」という新たな学びの設計ができる。
3.研究課題
(1)J・B・キャロル(Carroll)の学校学習の時間モデルについて説明しなさい。
(2)「教えないで学べる」学習環境について具体的に説明しなさい。
(3)必要な時間と労力をかけても学んでみたいと思えるキャロルのモデルに基づく個人差への対応例を挙げなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第9講 【新たな学びとしての反転授業】
1.何を学ぶか
(1)協働学習と互恵的教授法の考え方と学習効果
(2)協働学習に影響を与える要因
(3)協働学習のデザインの手法と協働学習を支援する教材開発
2.学習到達目標
(1)反転授業について、具体例な説明ができる。
(2)音楽教育における反転授業の授業設計ができる。
3.研究課題
(1)音楽教育における反転授業の学習展開について具体的に指導案を作成しなさい。
(2)音楽教育における反転授業とその効果と可能性について説明しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第10講 【協働的な学びのICTデザイン】
1.何を学ぶか
(1)協働学習と互恵的教授法の考え方と学習効果
(2)協働学習に影響を与える要因
(3)協働学習のデザインの手法と協働学習を支援する教材開発
2.学習到達目標
(1)協働的な学びにおけるICT活用のメリットを説明できる。
(2)協働学習の考え方を理解し、実際に授業デザインできる。
3.研究課題
(1)協働的な学びにおけるICT活用について、学習活動と方法を、具体例を挙げて説明しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第11講 【学びの個別最適化をめざす音楽教育】
1.何を学ぶか
(1)指導の個別化と学習の個性化
(2)学びの個別最適化
(3)個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実
2.学習到達目標
(1)一人一人の子どもの音楽技能や興味・関心によって、追究方法や内容を選ぶ授業づくりができる。
(2)協働的な学びをいかした学びの個別最適化を授業設計できる。
3.研究課題
(1)学びの個別最適化に対応する音楽科学習の授業設計例を、フローチャートで示しなさい。
(2)協働的な学びをいかした学びの個別最適化に対応する授業設計を、(1)に続けてフローチャートで示しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第12講 【カリキュラム・マネジメントと音楽科学習指導】
1.何を学ぶか
(1)資質・能力を育むカリキュラム・マネジメント
(2)教科目標と21世紀型学力
(3)補充的・発展的な学習への対応
2.学習到達目標
(1)音楽科におけるカリキュラム・マネジメントの充実について、説明できる。
(2)教科目標と評価のかかわりの視点から、コンピテンシーを育む授業づくりの工夫・改善について説明できる。
3.研究課題
(1)教科目標と21世紀型学力を関連して説明しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第13講 【コンピテンシーを育成するデジタルアーカイブの構築】
1.何を学ぶか
(1)コンピテンシーを育む音楽科デジタルアーカイブの構築
(2)学びを可視化するスタディー・ログや学習データ(音源、MIDIデータ、動画、レポートなど)の整理と工夫
(3)補充的・発展的な学習への対応とデジタルアーカイブ
(4)音楽科教育研究とデジタルアーカイブ
2.学習到達目標
(1)音楽科におけるデジタルアーカイブの利点を説明できる。
(2)音楽科デジタルアーカイブを構想できる。
3.研究課題
(1)音楽科デジタルアーカイブのフレームワークを構成しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第14講 【音楽の意味と価値】
1.何を学ぶか
(1)人間を知る、感じる
(2)音楽の世界
(3)音楽の見方・考え方
(4)教材の範囲とマトリックス
・鑑賞 西洋音楽史
・日本と諸外国の音楽
・ポピュラーミュージック
・表現
・歌唱と合唱
・器楽創作
2.学習到達目標
(1)音楽のおこりと発展について、説明できる。
(3)教材のマトリックスとその活用について、説明できる。
3.研究課題
(1)学年の音楽科年間指導計画を作成し、教材選定意図を説明しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
第15講 【音楽はなぜ学校に必要か~未来を生きる世代に必要なこと~】
1.何を学ぶか
(1)音楽の多様性と普遍性
~文化や歴史の理解~
(2)人間の感情と音楽・芸術表現のエネルギー
(3)感性を育む音楽科の役割
(4)想像力とイノベーション(創造性)の発展
2.学習到達目標
(1)音楽の多様性と普遍性について、音楽の例を挙げて説明できる。
(2)子ども一人一人が自分の個性に気付き、創造の担い手となる経験ができる音楽科学習を構想できる。
3.研究課題
(1)創造力を育む音楽科学習指導のために取り組むべきことを説明できる。
4.映像資料
5.プレゼン資料
Ⅳ レポート課題
課題1
課題2
Ⅴ アドバイス
課題1
課題2
Ⅵ 科目修得試験:レポート試験
Ⅶ テキスト
Ⅷ 参考文献
資料
1.学修到達目標