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【授業】メタバース基礎
Ⅰ はじめに
誰でもメタバースのリアルな仮想世界に参加して、ゲームやライブ、イベントを楽しむことができ、研修会や会議などのビジネスシーンでも活用できる。VR技術の進展により、遠くの人と簡単にコミュニケーションができ、観光、医療、研修など幅広い分野での活用が始まっている。メタバースの基礎を学び、活用方法や基礎的な技術について理解することを目指す。
Ⅱ 授業の目的・ねらい
メタバースの活用事例、メタバース制作の基礎的な技術、制作手順、法令などの基礎を理解する。
Ⅲ 授業の教育目標
第1講~第15講の各研修目標に基づいて、テキストと動画教材を利用してメタバースの基礎について理解し、各講の課題に取り組むことで、メタバースの基礎の習得を図る。
第1講 メタバースとは
1.何を学ぶか
メタバースの概要を理解し、メタバース関連の技術の概要について学ぶ。
2.学修到達目標
・メタバースの概要を理解することができる。
・メタバース関連の技術の概要について説明することができる。
3.課題
1.メタバースの概要について整理しなさい。
2.メタバース関連の技術について整理しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第2講 XRとVR
1.何を学ぶか
メタバースを実現する技術XRであるVR,MR,ARの違いについて理解し、メタバース制作の技術VRの基礎について学ぶ。
2.学修到達目標
・メタバースを実現する技術XRについて理解することができる。
・VRについて説明することができる。
3.課題
1.メタバースを実現する技術XRについて説明しなさい。
2.VRについて整理しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第3講 VRの活用(医療、広告)
1.何を学ぶか
ビジネスの分野で広く利用が始まっている医療、および、広告の分野でのVRの活用事例について学ぶ。
2.学修到達目標
・医療でのVR活用について理解することができる。
・広告でのVR活用について理解することができる。
3.研究課題
1.医療でのVR活用について整理しなさい。
2.広告でのVR活用について整理しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第4講 VRの活用(エンターテイメント、スポーツ、不動産)
1.何を学ぶか
ビジネスの分野で広く利用が始まっているエンターテイメントやスポーツ、および、不動産の分野でのVRの活用事例について学ぶ。
2.学修到達目標
・エンターテイメントでのVR活用について理解することができる。
・スポーツでのVR活用について理解することができる。
・不動産でのVR活用について理解することができる。
3.課題
1.エンターテイメントでのVR活用について整理しなさい。
2.スポーツでのVR活用について整理しなさい。
3.不動産でのVR活用について整理しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第5講 VRの活用(建築・土木、自動車)
1.何を学ぶか
ビジネスの分野で広く利用が始まっている建築・土木、および、自動車の分野でのVRの活用事例について学ぶ。
2.学修到達目標
・建築・土木でのVR活用について理解することができる。
・自動車でのVR活用について理解することができる。
3.研究課題
1.建築・土木でのVR活用について整理しなさい。
2.自動車でのVR活用について整理しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第6講 VRの活用(観光・ホテル)
1.何を学ぶか
ビジネスの分野で広く利用が始まっており、岐阜女子大学メタバースプロジェクトで取り組んでいる観光・ホテルの分野でのVRの活用事例について学ぶ。
2.学修到達目標
・観光でのVR活用について理解することができる。
・ホテルでのVR活用について理解することができる。
3.課題
1.観光でのVR活用について整理しなさい。
2.ホテルでのVR活用について整理しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第7講 VRの活用(教育・研修)
1.何を学ぶか
教育DXにともない、授業や家庭学習でのメタバースの活用事例、遠隔協働学習での活用事例、及び、ビジネスシーンでの研修の事例について学ぶ。
2.学修到達目標
・教育でのVR活用について理解することができる。
・遠隔協働学習ついて理解することができる。
・研修でのVR活用について理解することができる。
3.課題
1.教育でのVR活用について整理しなさい。
2.遠隔協働学習ついて整理しなさい。
3.研修でのVR活用について説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第8講 メタバースと経済活動
1.何を学ぶか
仮想通貨、DeFi、NFT、DAOを使ったメタバースでの経済活動、および、トークンの基礎について学ぶ。
2.学修到達目標
・メタバースと経済活動について理解することができる。
・トークンについて理解することができる。
3.課題
1.メタバースと経済活動について整理しなさい。
2.トークンについて説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第9講 メタバースと法律
1.何を学ぶか
発展途上にあるメタバースとメタバースに関連する基礎技術によってもたらされる事態に対処するための法律が未整備であり、今後、新たな法律が適用されることやトラブルへの対処について学ぶ。
2.学修到達目標
・メタバースと法律について理解することができる。
・トラブルへの対処について理解することができる。
3.課題
1.メタバースと法律について整理しなさい。
2.トラブルへの対処について整理しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第10講 3DCG
1.何を学ぶか
メタバースを制作する基礎的な技術の3DCG、および、3DCGの制作工程ついて学ぶ。
2.学修到達目標
・3DCGについて理解することができる。
・3DCGの工程ついて理解することができる。
3.課題
1.3DCGについて説明しなさい。
2.3DCGの工程について整理しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第11講 メタバースプラットフォーム
1.何を学ぶか
メタバースを制作するためのメタバースプラットフォーム制作ソフト、および、メタバース制作工程ついて学ぶ。
2.学修到達目標
・メタバースプラットフォームについて理解することができる。
・メタバース制作の工程ついて理解することができる。
3.課題
1.メタバースプラットフォームについて説明しなさい。
2.メタバース制作の工程について整理しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第12講 3Dモデリング
1.何を学ぶか
3Dモデリングの種類と制作方法、および、3Dモデリングの表現方法について学ぶ。
2.学修到達目標
・3Dモデリングについて理解することができる。
・3Dモデリングの表現方法について理解することができる。
3.課題
1.3Dモデリングについて説明しなさい。
2.3Dモデリングの表現方法について整理しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第13講 ゲームエンジン
1.何を学ぶか
ゲームエンジンの基礎、および、レンダリングソフトについて学ぶ。
2.学修到達目標
・ゲームエンジンについて理解することができる。
・レンダリングソフトについて理解することができる。
3.研究課題
1.ゲームエンジンについて説明しなさい。
2.レンダリングソフトについて説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第14講 モーションキャプチャー
1.何を学ぶか
モーションキャプチャーの基礎、および、モーションキャプチャーの種類について学ぶ。
2.学修到達目標
・モーションキャプチャーについて理解することができる。
・モーションキャプチャーの種類について理解することができる。
3.課題
1.モーションキャプチャーについて説明することができる。
2.モーションキャプチャーの種類について説明することができる。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第15講 メタバース開発
1.何を学ぶか
Web上での3Dコンテンツ作成の基礎、及び、レンダリングソフトについて学ぶ。
2.学修到達目標
・Web上での3Dコンテンツ作成について理解することができる。
・レンダリングソフトについて理解することができる。
3.課題
1.モーションキャプチャーについて説明することができる。
2.モーションキャプチャーの種類について説明することができる。
4.プレゼン資料
5.動画資料
Ⅳ レポート課題
課題 メタバースを活用することで、様々な課題を解決することができる。次の社会やビジネスの課題事例からひとつ取り上げて、メタバースを利用して解決する方法について、1200文字以内で記述しなさい。
・リモートワークの促進
・教育分野への応用
・ビジネスの新しい形の創出
・社会問題の解決
Ⅴ アドバイス
課題解説 メタバースでは、アバターを通じて仮想空間でコミュニケーションを取り、会議やプロジェクトを進めることができる。プライバシーを守りつつ、セキュリティ対策にも配慮して、場所や時間に制約されずに仕事や学習(学修)を進めることができる。これらの利点を生かして、さまざまな社会的な課題を解決するアイデアを考えよう。
Ⅵ 科目修得試験:定期試験
Ⅶ テキスト
Ⅷ 参考文献
①メタバース見るだけノート(岡嶋裕史)
②60分でわかる!メタバース超入門(武井勇樹)
③メタバース未来戦略(久保田瞬・石村尚也)
④メタバースの教科書(雨宮智浩)
⑤ザ・メタバース 世界を創り変えしもの(マシュー・ボール)
資料
【授業】情報処理Ⅱ ~情報と人権~ 【2024年度版】
本講座のポイント
アメリカ国立訓練研究所の研究によると、学習方法と平均学習定着率の関係は「ラーニングピラミッド」という図で表すことができます。大学の授業や会社の新人研修などでは、講義・実技・議論などさまざまな方法で学習を行いますが、学習時間が限られていて状況では、より効率の良い方法での学習がスムーズに学習内容を身につけることにつながります。
つまり、ラーニングピラミッドは受動的な学習から能動的な学習までを段階的に行い、学習の定着率アップを図っていく方法です。
物事を他人に教えるためには、自分でしっかりと内容を理解していなければならないため、ラーニングピラミッド理論では、もっとも知識の定着率が高い段階とされています。
そこで、本講座は、学生と協働して、e-Learningコンテンツを作成します。
学生は、各テーマに基づいて興味がある内容を選択し、最新情報も調査しまとめてプレゼン資料と動画資料を作成し人に教えることによって学ぶ方法を教えます。
第1講 身の回りの情報化
1.学習のポイント
高度情報化社会とかIT革命などというまでもなく,パソコンやインターネットは急速に普及していますし,それにより,生活にも多くの変化が進んでいることは私たちが実感していることです。ここでは,それをデータにより確認することを目的とします。これらの発展は急速ですので,すぐに時代遅れのものになってしまいます。
2.重点事項
(1)家庭での普及率は40%になりワープロ普及率を超え(ワープロ専用機は有力メーカーが2000年に続々と撤退しました)るなど,家庭でのパソコン所有率・利用率は急速に増加しています。
(2)インターネットの利用内容も大きく変化してきました。従来は,職場や学校からの利用が多かったのに,最近では自宅からの利用が増大しています。職場・学校での利用者の大部分は,自宅でも利用しているといえます。それとともに,利用者での女性やパソコン初心者の割合が急速に増えています。このように,インターネットは生活の中に溶け込んできたといえましょう。
3.キーワード
ムーアの法則,パソコンの諸元,パソコン・携帯電話・デジタルカメラ・インターネットの普及率,ブロードバンド
4.課 題
第1問 インターネットなどの普及は急速であり,現在は本文のデータとはかなり異なっていると思われる。参考URLにより現在のパソコンやインターネットの普及状況を調べましょう。また,あなたのグループ(学校のクラスや会社の部課など)での普及状況と比較してみましょう。
第2問 家庭でのインターネット利用の増加により,どのような家庭での生活の変化,情報提供側の変化が起こっている(将来起こる)と考えられますか。
5.プレゼン資料
身の回りの情報化.key
6.動画資料
第2講 ユビキタス・コンピューティング
1.学習のポイント
(1)身の回りに多様な情報機器がありますし,特に情報機器とは認識せずに利用していることもあります。
(2)そのような利用形態をユビキタス・コンピューティングといいます。
(3)ここでは,ユビキタス・コンピューティングについて,その概念と身の回りでの事例,ビジネスの観点,日本での対応などについて考えます。
2.重点事項
(1)1988年に米ゼロックス パロアルト研究所のマーク・ワイザー(Mark Weiser)は,人間とコンピュータの相互作用の発展として,「TSSにより,1台のコンピュータを共同利用できる環境」から「パソコンの普及により,1人が1台のコンピュータを使う環境」へと進んできたが,将来は「ユビキタス・コンピューティングの環境」へと発展するといいました(”The Computer for the 21st Century”,Scientific American,1999)。
(2)総務省は,ユビキタスネット社会の実現に向けて,その具体的な姿や実現のための政策について検討を行うために,2004年3月から「ユビキタスネット社会の実現に向けた政策懇談会」を開催してきましたが,2004年12月に最終報告書として,「u-Japan政策」をとりまとめました。
3.キーワード
ユビキタス・コンピューティング、u-Japan、ユビキタスネット社会憲章
4.課 題
第1問 次の文のうち,正しいものには○印をつけ,誤りのものには×印をつけて誤りの理由を示しなさい。
1.ユビキタス・コンピューティングという概念は,2000年代になってからいわれるようになった。
2.ユビキタス社会とは,高度情報化社会の一局面であるといえる。
3.ウェアラブル・コンピュータは,人間が持ち歩くのだから,モバイル・コンピューティングでありユビキタス・コンピューティングとはいわない。
4.RFIDタグを用いる情報活用は,すべてユビキタス・コンピューティングである。
5.情報家電をネットワークアクセスする観点からも,IPv6の普及が望まれる。
6.日本は,ユビキタス・コンピューティングに関連する技術が進んでいる。
7.ユビキタス・コンピューティングが普及すれば,情報セキュリティ対策での大部分の課題は解決される。
8.ユビキタスネット社会憲章は,インターネットでのウイルスや不正アクセスを防止する情報セキュリティ対策を示したものである。
第2問 次の問に答えなさい。
1.ユビキタス・コンピューティングとして,あなたはどのような情報機器やサービスがあればよいと思いますか。
2.「ユビキタス社会とはいっても,現在の情報活用環境が発展しただけで,本質的な変化はない」という意見に,あなたはどう考えますか。
5.プレゼン資料
6.動画資料
第3講 企業での情報化
1.学習のポイント
(1)情報化を推進してきたのは産業活動であり,産業活動の担い手は企業ですから,企業での情報化は活発です。
(2)ここではオフィス業務だけを対象にしますが,中堅以上の企業ではオフィス業務のほとんどにコンピュータが使われています。
2.重点事項
(1)企業での情報化の状況は,企業の規模や業種・業態により大きな差がありますが,現在急速に進んでいる。
(2)コンピュータの発展の歴史は,コンピュータ利用の大衆化の歴史,すなわちEUCの発展の歴史だといえます。現在ではEUCがコンピュータ利用の大半を占めるようになりました。
3.キーワード
企業での情報機器の普及状況、EUC(エンドユーザ・コンピューティング)、EUCの普及
4.課 題
第1問 企業での情報化では「エンドユーザ・コンピューティング」が重視されています。どうしてそれが重要なのかを考えましょう。
第2問 このような状況において,企業で求められる人材とはどのような知識能力を持つ(あるいは持てる能力のある)人のことでしょうか。いろいろな観点から考えてください。
5.プレゼン資料
企業での情報化
6.動画資料
第4講 情報化社会とIT革命
1.学習のポイント
(1)モノと情報の特質に着目して,工業化社会と情報化社会との違いを理解します。
(2)情報化社会への移行は,産業だけでなく社会一般に大きな影響を与えていますし,その移行への変化が急激なために,IT革命といわれていることを理解します。
2.重点事項
(1)18世紀の蒸気機関の発明を発端とした機械工業技術の進歩は,それまでの農業社会から工業化社会に移行させ,個人の生活から国家や社会の経済活動まで広い分野を大きく 変化させました。それを産業革命といいます☆。モノ(工業製品)の大量生産やエネルギーの大量消費を中心にした工業化社会は現在まで継続して発展してきました。
(2)1990年代後半からは,インターネットに代表される情報技術が急速に発展しています。情報流通の費用と時間を劇的に低下させて,企業活動,個人生活,国家経済など広範囲に大きな影響を与えています。その変化があまりにも急激で広範囲に影響を及ぼすことから,この変化をIT革命(IT=Information Technology:情報技術)と呼ばれています☆。そして,IT革命が産業革命と同等な影響を及ぼすと認識している人も多いのです。なお,IT革命が進んだ社会を高度情報化社会といいます。
3.キーワード
情報化社会、IT革命、工業化社会
4.課 題
第1問 次の文のうち明らかに誤りである文をあげて,誤りの理由を示しなさい。
1.「情報化社会」とは,インターネットが急速に普及してきたことが原因になりいわれるようになった概念である。
2.メットカーフの法則は収益逓減の法則でもある。
3.「情報の価値は端末数(利用者数)の2乗に比例する」現象をジョージ・キルダーの仮説という。
4.情報技術の急速な発展により,広範囲に急激な変化が発生している。これをIT革命という。
5.インターネットに代表される情報技術の発展により,従来の産業構造を支えてきた秩序が大きく崩れてきた。
第2問 次の作業をしなさい
1.本文の記述以外にも工業化社会と情報化社会では多様な違いがあるでしょう。その対比表を作成しましょう。
2.あなたが現実に体験・見聞していることで,ITの発展により急激に大きな変化が進んでいる現象を列挙しましょう。
5.プレゼン資料
6.動画資料
第5講 ITで産業構造が変わる
1.学習のポイント
(1)産業界では,インターネットの活用,経済のグローバル化への対処とそれに伴う規制緩和などにより,すでにIT革命が進んでいます。
2.重点事項
(1)インターネットの普及と規制緩和により,新規業種の創出や異業種からの参入が盛んになってきました。
3.キーワード
グローバル化、メガ・コンペティション、デ・コンストラクション、デジタル・オポチュニティ、eビジネス
4.課 題
第1問 インターネットは,中小企業が大企業と互角に戦えるデジタル・オポチュニティであるといわれていますが,なぜでしょうか。
第2問 このように変化が激しい環境では,企業はどのような人材を必要とするでしょうか。
5.プレゼン資料
ITで産業構造が変わる
6.動画資料
第6講 ITで経済が変わる
1.学習のポイント
(1)1990年代に米国経済は急速に発展しましたが,その原動力になったのがIT(情報技術)の積極的な活用にあるといわれています。
(2)そのように,IT革命は経済に大きな影響を与えると考えられています。
(3)ところが日本では,その肝心な1990年代に不況に見舞われITの活用に乗り遅れてしまい,アジア諸国にも遅れている状態であり,早急に対応することが期待されています。
2.重点事項
(1)ITが経済に与える効果は,次のように考えられます。ITの発展により情報の伝達や加工に要する費用が非常に安価になる(キルダーの仮説)ことにより,ITを利用した分野が急速に発展します。しかも,情報の価値は規模が増大するにつれて急速に高まるのですから,IT環境を整備することは,経済効果を急速に高めることになります。
3.キーワード
経済とIT、ITの効果、米国ITバブルの崩壊
4.課 題
第1問 米国では不況のときにIT投資を行なって経済を復活させたのに,日本では不況が原因で「失われた十年」を続けてきました。その理由は何なのでしょうか。
第2問 早期にIT革命を達成した国とそれに乗り遅れた国とは,将来どのような違いが出てくるでしょうか。
5.プレゼン資料
第6講ITで経済が変わる
6.動画資料
第7講 ITで教育が変わる
1.学習のポイント
(1)健全な高度情報化社会を維持発展させるには,情報技術や情報リテラシーに関する教育が重視されます。
(2)「e-Japan」では,教育及び学習の振興並びに人材の育成の目標として,インターネット個人普及率を向上させることやIT関連の修士,博士号取得者を増加させることもあげていますが,ここでは小中高等学校及び大学等のIT教育体制を強化する分野を重点的に扱います。
2.重点事項
(1)小中高校などの初等教育での情報教育の重要性は,以前からも認識されており,「ミレミアム・プロジェクト」などの国の政策,「こねっとプラン」などの民間の支援などが行なわれてきました。
(2)1999年3月に高等学校学習指導要領が改正になり,2003年からは高校で情報科目が正課になります。普通教育では,「情報及び情報技術を活用するための知識と技能の習得を通して,情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに,社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ,情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる」こと,専門教育では「情報の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,現代社会における情報の意義や役割を理解させるとともに,高度情報通信社会の諸課題を主体的,合理的に解決し,社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる」ことを目標としています。
3.キーワード
初等教育の情報化、大学の情報化、授業以外の情報化
4.課 題
第1問 高校まででかなりの情報教育が行なわれるようになると,大学ではどのような情報教育をする(大学生にはどのような知識能力が求められる)でしょうか。
第2問 大学での授業の方法や大学の情報化について,学生の立場から期待することを列挙しましょう。
5.プレゼン資料
6.動画資料
第8講 デジタル・デバイド
1.学習のポイント
(1)社会が急速な変化をするときには,それに乗れない層が発生しがちですが,そのような弱者を作らないようにすることは社会の責任です。情報弱者を作らないことが健全な情報化社会を構築するために必要です。
(2)情報活用環境の格差をデジタル・デバイド(Digital Divide:情報格差)といいます。
(3)その格差を生む要因には,所得や地域などの社会的な要因があります。なお,視覚障害や老齢などの身体的な要因による格差もデジタル・デバイドということもありますが,ここではバリアフリーとして別章「バリアフリー(it-barrier)」で取扱います。
2.重点事項
(1)情報活用環境の格差をデジタル・デバイド(Digital Divide:情報格差)といいます。
3.キーワード
デジタル・デバイド、デジタル・デバイドの縮小
4.課 題
第1問 「自由競争の世の中なのだから,デジタル・デバイドが発生するのは当然であり,その解消のために税金などの社会資源を使うべきではない」という意見に,人道的な観点ではなく,経済的な観点からどう考えますか。
第2問 デジタル・デバイド解消の政策を期待するまでもなく,私たちは自分が「情報弱者」にならないよう努力することが必要です。それにはどのような知識能力が必要になるでしょうか。
5.プレゼン資料
6.動画資料
第9講 バリアフリー
1.学習のポイント
(1)高年齢者や身体障害者が社会に参加し日常生活をおくるには,それには多くの障壁(バリア)があります。
(2)その障壁を取り除くことをバリアフリー(Barrier Free)といいます。ここでは,パソコンやインターネットの利用におけるバリアフリーを考えます。
2.重点事項
(1)情報化社会はマルチメディアの活用のためにパソコンなどの情報機器の利用が基礎になります。ところが,高齢者や身体障害者にとって,現在の情報機器は使いにくいとか,電子メールやWebページが利用しくいといった障壁があります。
(2)すべての人に平等にアクセシビリティを保障するために,使いやすい製品やサービスを設計することをユニバーサルデザインといいます。
3.キーワード
バリアフリー、ネチケット
4.課 題
第1問 高齢者や障害者に適したパソコンとはどのようなパソコンでしょうか。技術的制約や価格面を無視して「理想的な」パソコンのアイデアを列挙してください。
第2問 現状のパソコンを前提としてあなたがWebページを作成するとき,バリアフリーを少なくするために,どのような工夫をすればよいでしょうか。
5.プレゼン資料
6.動画資料
第10講 Webアクセシビリティ
1.学習のポイント
(1)高齢者・障害者が閲覧しやすいWebページにすることをWebアクセシビリティといいます。ここでは,次の2点について考えます。
・Webアクセシビリティとは何かを類似語との比較で理解します。
・Webアクセシビリティ(もっと広義に情報通信利用でのアクセシビリティ)の確保・向上は社会的義務であることを,海外および日本における施策動向により理解します。これは,次の「ウェブコンテンツJIS」への布石でもあります。
(2)2004年に「ウェブコンテンツJIS」(JIS X8341-3)が制定されました。府庁省や地方公共団体はこれに準拠することが求められていますが,一般のWebページでも準拠することが望まれます。それがどのようなものかを理解します。
2.重点事項
(1)ユーザビリティとは人間工学では古くから用いられてきた用語で,従来は,使いにくさや判りにくさなどのマイナス面がどれだけ小さいかを表す概念でしたが,現在ではむしろ,使いやすさや判りやすさというプラスの面を積極的に求める概念になってきました。
(2)アクセシビリティに考慮することは,障害者や高齢者への「思いやり」ではありません。すべての人が平等に社会生活をするための「権利」であり「義務」なのです。
3.キーワード
Webアクセシビリティ、リハビリテーション法508条、ウェブコンテンツJIS
4.課 題
第1問 総務省「ウェブ・アクセシビリティ実証実験」の結果報告を読み,高齢者や障害者がどのようなことで戸惑うか,それを解決するにはどのようなことに留意する必要があるかを調べなさい。( http://www2.nict.go.jp/ts/barrierfree/accessibility/proof/index.html)
第2問 目隠しをしてWebページを閲覧しなさい。他の人に読み上げてもらったり,ガイドしてもらったりして,「1」を実感して報告しなさい。自分が作成公開しているページ(それがなければ私の任意のページ)を対象にするとよいでしょう。
第3問 インターネットでは,アクセシビリティに考慮したHTMLの書き方などを説明したサイトが多くあります。そのうち,推奨するサイトとその特徴を報告しなさい。
第4問 ユーザビリティやアクセシビリティの観点から,Webページを評価してランキングした結果を掲載しているページを探しなさい。特に,その評価項目として何を用いているかを調べなさい。
5.プレゼン資料
6.動画資料
第11講 IT革命への国の政策
1.学習のポイント
(1)IT革命が社会や国際関係に大きな影響を与えることから,国も多様な取り組みをしています。
(2)ここでは,その概要として,国の基本方針を示すIT基本法,2005年までにIT先進国家を目指して取り組んできたe-Japan,さらに,2010年に向けて日本をフロントランナーにしようとするu-Japanについて学習します。
2.重点事項
(1)2000年11月に「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(IT基本法)が成立,2001年1月から施行されました。
(2)IT基本法により設置されたIT戦略本部は,2001年1月に「e-Japan戦略」を取りまとめました。
3.キーワード
IT基本法、e-Japan戦略、u-Japan
4.課 題
第1問 次の文中に適切な語句を挿入しなさい。
1.1980年代末から1990年代にかけて,汎用コンピュータによる集中処理から多数のパソコンをLANで接続した分散処理へと移行する[ 1 ]の動向が進んだ。経営の面では,1990年代前半には,情報技術をインフラとして業務を抜本的に改革しようとする[ 2 ]の概念が普及した。1990年中頃には,利用しやすいブラウザが出現し,インターネットが爆発的に普及発展した。インターネットに代表される情報技術の発展は,国家経済から企業経営,個人生活にいたるまで広範囲に大きな影響を与えていることから[ 3 ]とまでいわれている。
2.米国は,積極的な情報化投資により,その[ 3 ]に乗ることができ,低迷していた経済を回復しただけでなく,2000年のITバブル崩壊までの長期にわたり,[ 4 ]と呼ばれるインフレなき経済成長を実現した。それに対して,日本は1990年前後のバブル崩壊や平成不況になると,情報化投資を抑制してしまった。そのために[ 3 ]に乗り遅れてしまい,不況脱出ができない状況になった。これは「[ 5 ]」と呼ばれている。その間に米国どころかアジア諸国にまで追い抜かれ,日本の国際競争力は低下してしまった。
3.この状況を打破するべく,国は2001年1月7日に,[ 6 ]を施行した。同法に基づき設置された[ 7 ]は,日本を2005年までに世界で最高の情報化社会にすることを目標とした[ 8 ]を策定した。
第2問
1.米国では不況のときにIT投資を行なって経済を復活させたのに,日本では不況が原因で「失われた十年」を続けてきました。その理由は何なのでしょうか。
2.早期にIT革命を達成した国とそれに乗り遅れた国とは,将来どのような違いが出てくるでしょうか。
5.プレゼン資料
6.動画資料
第12講 情報セキュリティの基礎
1.学習のポイント
(1)情報セキュリティの基礎を理解します。
2.重点事項
(1)不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律,平成11年8月成立,平成12年2月施行)では,ネットワークを通して
・許可されていない者がなりすましをしてアクセスすること
・許可されている者が許可されていないアクセスをすること
・そのようなアクセスができるような状態にすること
を不正アクセスと定義しています。
(2)リスクの大きな分野に,個人情報の漏洩があります。個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律,平成15年5月成立,平成17年4月全面施行)の目的は次の通りです。
「この法律は,高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ,個人情報の適正な取扱いに関し,基本理念及び政府による基本方針の 作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め,国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに,個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより,個人情報の有用性に配慮しつつ,個人の権利利益を保護することを目的とする。」
3.キーワード
情報セキュリティ、パスワード、電子署名法、個人情報保護法
4.課 題
第1問 Webで「コンピュータ不正アクセス対策基準」のシステムユーザ基準の個所を調べ,あなたが「なぜこれが必要なのか」と思う事項があれば,それを列挙して,みんなで考えましょう。
第2問 あなたが不正アクセス対策の提案をしたところ,A氏からは「当社には他人のほしがるような情報はないので,不正アクセスがあってもかまわない」,B氏からは「どんなに対策をしても,優秀なハッカーにはかなわないので,やるだけ無駄だ」といわれました。あなたはこれらの意見にどう反論しますか。
5.プレゼン資料
6.動画資料
第13講 著作権の概要
1.学習のポイント
(1)そもそも著作権とは何かについて,その概要を理解します。
2.重点事項
(1)知的財産権とは,発明や著作など人間による知的成果に対する権利と,商標など営業上の無形の財産を保護する権利などを総称した概念です。
(2)著作権法第1条(目的)では,「この法律は,著作物並びに実演,レコード,放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め,これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ,著作者等の権利の保護を図り,もって文化の発展に寄与することを目的とする。」としています。
3.キーワード
著作権、ライセンス契約、フリーソフト、知的財産権
4.課 題
第1問 もし著作権という概念がなかったら,どのような弊害が起こるでしょうか。
第2問 授業で担当教員が他人の著作をコピーして学生に配布することは著作権法で認められていますが,教員が他人の著作をインターネットのページに登録して学生の自習に供することは認められるでしょうか。いろいろなケースを想定してください。
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.資 料
著作権テキスト(令和3年度版)(文化庁)
著作権契約書作成支援システム(文化庁)
第14講 プライバシー
1.学習のポイント
(1)インターネットで自分に関するデータを入力することがありますが,それらのデータが目的以外に使われないか,第三者に漏れるのではないかという,プライバシーに関する危険が気になります。
(2)ここでは,自分のプライバシーを守ること,他人のプライバシーを尊重することについて考えます。
2.重点事項
(1)プライバシーとは,「自分のこと」を自分の意思に反して他人に知られたくないということです。
3.キーワード
プライバシー、個人情報の漏洩事件、プライバシーポリシー
4.課 題
第1問 個人情報を入力させているサイトを1つ例にとり,入力項目のうち,このサイトを利用するために必要な項目,不必要な項目を分けて列挙し,そう考えて理由を述べましょう。
第2問 個人情報を入力させているいくつかのサイトについて,個人情報保護に関するページがどのように記載されているかを確認しましょう。
5.プレゼン資料
6.動画資料
第15講 個人情報保護法
1.学習のポイント
(1)個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)が2003年に公布され,2005年4月から全面施行されました。ここでは,個人情報保護法の概要と関連法規・基準などについて学習します。
2.重点事項
(1)個人情報保護法は正式には「個人情報の保護に関する法律」(平成十五年法律第五十七号)といいます。また,法律では「政令で定める」との記述がありますが,それは個人情報の保護に関する法律施行令(平成15年政令第507号,以下「政令という」)があります。
(2)「個人情報とは,生存する個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう」とされています。
3.キーワード
個人情報保護法、個人情報保護法ガイドライン、プライバシーマーク
4.課 題
第1問 次の文のうち,正しいものには○印,誤りには×印をつけて誤りの理由を示しなさい。
1.名刺を企業別や氏名順などで整理すると個人情報データベース等に該当するので,名刺を交換するときには,そのように整理すること,その利用目的を伝えることが必要である。現実にはこのようなことをする人は少ないが,法律的にはそれが要求されていると考えるべきである。
2.市の主催で子供向けのパソコン教室を開催した。それを支援したパソコンメーカーがアンケートをしたのだが,そこには保護者の氏名,住所,パソコンの有無などの項目があり,後日保護者あてにメーカーからダイレクトメールが送られた。アンケートにはそれに関する記述があったので,メーカーの行動は個人情報保護法に抵触したとはいえない。
3.個人のインターネット活用に関するアンケートを行った。アンケートの謝礼を送るために回答者の住所氏名も回答させたが,アンケートデータをコンピュータに入力する段階でそれらは入力せず,入力後は回答用紙は適切な処分をした。それでもコンピュータにあるアンケートデータがあるのだから,これは個人情報である。
4.A社(製造業)では,顧客情報を4500,社員情報を300,その他の個人情報を400持っている。このうち社員情報は個人情報とはいえないので,A社は個人情報取扱事業者ではない。
5.個人情報が5000人以下の企業では,個人情報が漏洩しても訴えられることはない。
6.A社では,5000人を超える顧客があるが,コンピュータ処理はすべてアウトソーシングしているので,自社内にある個人情報は非常に少ない。このような場合では,A社は個人情報取扱事業者ではない。
7.大学は学術研究をしているので,在学生や卒業生の個人情報が5000を超えていても,個人情報取扱事業者ではない。
8.A団体は,老人福祉を目的とした非営利団体である。それで5000人を超える老人の情報とボランティアの情報を持っているが,利益を目的としているのではないから,個人情報取扱事業者ではない。
9.A社では,NTTの電話帳をそのまま用いてダイレクトメールを発送している。このたび,発送先から,電話帳の自分が記載している部分を塗りつぶすよう要求された。この要求には従う義務がある。
10.A社では個人情報が漏洩したことが警察の内偵で発覚し,経営者と漏洩に関与した者が検挙された。
第2問 次の問に答えなさい
1.インターネットの検索エンジンなどにより,個人情報漏洩の事例をいくつか探し,それが本文の「個人情報取扱事業者の義務等」でのどれが不十分だったことにより発生したのかを示しなさい。
2.経済産業省「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象としたガイドラインの策定」平成16年6月では,いろいろと事例が掲載されています。2ページ~6ページを読んで,興味を持った事例をいくつかあげて,どうしてそれが個人情報あるいは個人情報データベース等であるのか,そうでないのかの理由を述べなさい。
(http://www.meti.go.jp/feedback/downloadfiles/i40615hj.pdf)
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.資 料
個人情報保護法
テキスト
情報処理Ⅱ~情報と人権~テキスト
情報処理Ⅱ~情報と人権~「問題」
アンケート
アンケート
ドローン基礎
Ⅰ はじめに
ドローンは「空の産業革命」と言われ、空撮、農薬散布、測量、インフラの点検等に広く利用されている。さらに、物流や災害対応など多様な分野での幅広い用途に利用されるなど、その利便性に注目が集まり、様々な社会課題解決に資する、産業、経済、社会に変革をもたらすものとして期待されている。本授業は、ドローン(無人航空機)について理解し、活用できることを目的とし、安全な飛行運用と技能の必要性を鑑み、無人航空機操縦者技能証明(2等基本)の取得を目標として、安全運航に必要な知識を身につけるため、学科試験の合格をめざす。
Ⅱ 授業の目的・ねらい
・本授業は、無人航空機操縦者技能証明(2等基本)の取得を目標として、安全運航に必要な知識を身につけるため、同証明の学科試験の合格ができる学修となるよう構成されている。
・ドローン(無人航空機)について理解し、安全に活用できることを目的とする
・ドローンの機能を生かした具体的な利活用について調査・分析し、新たな活用について構想し、提案できる。
Ⅲ 授業の教育目標
・本授業は3部構成で進める。第1講でドローンの利活用の概要を理解する。
・第2講から第13稿で、ドローンを具体的に活用できるよう、無人航空機操縦者技能証明(2等基本)の取得を目標として、同証明の学科試験の合格できるよう、5つのテーマについて学修し、安全運航に必要な知識を身につける。
・第14・15稿では、現在取り組まれているドローンの利活用を調査・分析し、自らが社会課題解決のためにドローンの具体的な利活用方法の計画・立案・提案できることをめざす。
テーマ1 ドローンの概論
1.何を学ぶか
・ドローンは社会の中でどのように利用されているかについて考える。
・ドローンの安全な利用にあたって、近年整備された制度について考える。
2.学習到達目標
・ドローンは社会の中でどのように利用されているかにについて理解できる。
・ドローンの安全な利用にあたって、整備された制度について理解できる。
3.研究課題
・ドローンは社会の中でどのような分野で利用されているか説明しなさい。
・ドローンの安全な利用にあたって、整備された制度について説明しなさい。
テーマ2 ドローン(無人航空機)の飛行の安全と知識要件
1.何を学ぶか
・ドローンの有効利用のためには、無人航空機操縦者の役割と責任、安全な飛行の確保、事故が起きた時の対応など、飛行の安全を確保するための知識要件が必要であるとこを考える。
2.学習到達目標
・ドローンの有効利用のためには、飛行の安全を確保するための知識要件が必要であるとこが理解できる。
3.研究課題
・無人航空機操縦者の役割と責任について説明しなさい。
・無人航空機の安全な飛行を確保するために、必要な飛行計画・注意事項・事故時の対応について説明しなさい。
テーマ3 ドローン(無人航空機)に関する規則
1.何を学ぶか
・ドローン(無人航空機)の航空法に関して無人航空機の定義、無人航空機の飛行に関する規則、航空機の運航ルール、無人航空機の登録、特定飛行、無人航空機の操縦者等の義務、運航管理体制、無人航空機操縦者技能制度、航空法以外の法令等について考える。
2.学習到達目標
・ドローン(無人航空機)の航空法に関して無人航空機の定義、無人航空機の飛行に関する規則について理解できる。
・航空機の運航ルール、登録制度、特定飛行、無人航空機の操縦者等の義務、運航管理体制について理解できる。
・無人航空機操縦者技能制度、航空法以外の法令等について理解できる。
3.研究課題
・ドローン(無人航空機)の航空法に関して無人航空機の定義、無人航空機の飛行に関する規則について説明しなさい。
・航空機の運航ルール、登録制度、特定飛行、無人航空機の操縦者等の義務、運航管理体制について説明しなさい。
・無人航空機操縦者技能制度、航空法以外の法令等について説明しなさい。
テーマ4 ドローン(無人航空機)のシステム
1.何を学ぶか
・無人航空機(飛行機・ヘリコプター・マルチコプター)の機体の種類と特徴について理解するとともに、夜間飛行・目視外飛行について、昼間飛行及び目視内飛行との違いについて考える。
・無人航空機の飛行原理と飛行性能、機体の構成要素、電波・磁気方位・GNSSについて考え、電動機(エンジン機)における整備・点検・保管・交換・廃棄の方法について考える。
2.学習到達目標
・無人航空機(飛行機・ヘリコプター・マルチコプター)の機体の種類と特徴について理解するとともに、夜間飛行・目視外飛行について、昼間飛行及び目視内飛行との違いについて理解できる。
・無人航空機の飛行原理と飛行性能、機体の構成要素、電波・磁気方位・GNSSについて理解するとともに、電動機(エンジン機)における整備・点検・保管・交換・廃棄について理解できる。
3.研究課題
・無人航空機(飛行機・ヘリコプター・マルチコプター)の機体の種類と特徴について理解するとともに、夜間飛行・目視外飛行について、昼間飛行及び目視内飛行との違いについて説明しなさい。
・無人航空機の飛行原理と飛行性能、機体の構成要素、電波・磁気方位・GNSSについて理解するとともに、電動機(エンジン機)における整備・点検・保管・交換・廃棄について説明しなさい。
テーマ5 ドローン(無人航空機)の操縦者及び運航体制
1.何を学ぶか
・無人航空機の操縦者の行動規範・順守事項、操縦知識、必要なパフォーマンスについて考える。
・安全な運航のために必要な意志決定体制について考える。
2.学習到達目標
・無人航空機の操縦者の行動規範・順守事項、操縦知識、必要なパフォーマンスについて理解できる。
・安全な運航のために必要な意志決定体制について理解できる。
3.研究課題
・無人航空機の操縦者の行動規範・順守事項、操縦知識、必要なパフォーマンスについて説明しなさい。
・全な運航のために必要な意志決定体制について説明しなさい。
テーマ6 運航上のリスク管理・学科試験の受験
1.何を学ぶか
・運航リスクの評価及び最適な運航の計画の立案のため、気象の基礎知識及び気象情報を基にしたリスク評価及び運航の計画について考える。
・機体の種類、飛行の方法に応じた運航リスクの評価及び最適な運航の計画が立案について考える。
・無人航空機操縦者技能証明2等の学科試験の取得方法について準備できる。
2.学習到達目標
・運航リスクの評価及び最適な運航の計画の立案のため、気象の基礎知識及び気象情報を基にしたリスク評価及び運航の計画について理解できる。
・機体の種類、飛行の方法に応じた運航リスクの評価及び最適な運航の計画が立案について理解できる。
・無人航空機操縦者技能証明2等の学科試験の取得方法について理解できる。
3.研究課題
・運航リスクの評価及び最適な運航の計画の立案のため、気象の基礎知識及び気象情報を基にしたリスク評価及び運航の計画について説明しなさい。
・機体の種類、飛行の方法に応じた運航リスクの評価及び最適な運航の計画が立案について説明しなさい。
・無人航空機操縦者技能証明2等の学科試験を受験しなさい。
テーマ7 ドローンの可能性をふまえた利活用の具体と方法
1.何を学ぶか
・ドローンの具体的な活用例を調査し、期待される成果と課題について考える。
・ドローンの機能を生かした具体的な利活用について構想し、提案することを考える。
2.学習到達目標
・ドローンの具体的な活用例を調査し、期待される成果と課題について考察できる。
・ドローンの機能を生かした具体的な利活用について構想し、提案できる。
3.研究課題
・ドローンの具体的な活用例について、調査内容をもとに、期待される成果と課題について説明しなさい。
・ドローンの機能を生かした具体的な利活用について構想し、提案しなさい。
Ⅳ レポート課題
課題1 テーマ1およびテーマ7について、現在取り組まれているドローンの具体的な利活用について調べ、自らが社会課題解決のために考えるドローンの活用方法についてA4用紙1ページにまとめなさい。
課題2 テーマ2からテーマ6について学修した各テーマのポイントをまとめ、A4用紙1ページ以上にまとめなさい。
Ⅴ アドバイス
課題1解説 テキストや現在取り組まれているドローンの具体的な利活用について調べたことを参考に、自ら考えるドローンの活用方法について、事例を挙げながら論述しなさい。
課題2解説 テキスト並びに参考文献から、学科試験対策としてまとめなさい。
Ⅵ 科目修得試験
レポート試験・無人航空機操縦者技能証明学科試験
Ⅶ テキスト
・ドローン基礎
・無人航空機の飛行の安全に関する教則(第3版):国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001602108.pdf
Ⅷ 参考文献
・ドローン基礎テキスト中に提示してある文献が参考になります。
【授業】英語科教育法Ⅰ
Ⅰ はじめに
本科目を学ぶことで、英語教育法に関する基本的・理論的な知識を得て、英語教員として学習者に英語を教えることができるようになる。なお、この科目「英語科教育法Ⅰ」は理論的な側面を重視しており、「英語科教育法Ⅱ」では、実践的な側面を重視している。これら二つの科目を履修することで、英語教育法を理論と実践の両分野から理解することができるようになる。
Ⅱ 授業の目的・ねらい
世界の英語、異文化理解、言語習得論、各種教授法、テストや評価などの基本項目を理解すると同時に、教育基本法や学校教育法の中で英語教育がどのように位置づけられるか考えてゆく。さらに、学習指導要領に示された目標をどのように授業で、どの教科書を用いるかを議論して検証して行く。各テーマの終了後に課題提出を行い、受講者の理解が確実に深まるようにしたい。
Ⅲ 授業の教育目標
英語教育の基軸となる学習指導要領及び教科用図書 (教科書) について理解し、学習到達目標及び年間指導計画、単元計画、各時間の指導計画について理解する。また、5つの領域(「聞くこと」「読むこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」及び「書くこと」)の指導及び各領域を支える音声、文字、語彙・表現、文法の指導について基本的な知識と技能を身に付けるとともに、複数の領域を統合した言語活動の指導方法を身に付ける。
テーマ1 英語教育の目的
1 何を学ぶか
国際化時代の英語教育の在り方は従来と大幅に異なるものであり、その進歩の過程を理解して十分に納得できるようになる必要がある。さらには、英語教育の目的が教養英語から実用英語へと変遷した様子を理解して、実用英語教育の一環としての資格英語の教え方を学ぶ。
2 学習到達目標
英語教育の目的は何であるか説明できる。
初等教育、中等教育のそれぞれにおいて必要な英語教育の内容を説明できる。
日本における英語教育の歴史を説明できる。
3 課題
自分の考える英語教育の目的をレポートにまとめる。
日本における語学教育の歴史をレポートにまとめる。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ2 英語教師論
1 何を学ぶか
教師、教員、教官、教諭などの類似の名称の違いを調べることで、英語を教える人材がどのような社会的な役割や期待を背負っているか理解してゆく。さらには、理想的な英語教師の人物像、英語運用能力、授業を運営する能力について考察する。そして、英語に関する免許状を種類に沿って理解してゆく。
2 学習到達目標
教師という名称について説明できる。
理想的な教師はどのような人か説明できる。
ALT, 教員免許状について説明できる。
3 課題
自分を担当した先生方がどのような素質を持っていたかレポートにまとめる。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ3 英語の学習者
1 何を学ぶか
英語学習に向いている素質とは何であるか考える。学習者の特性(年齢、知能、適性、認知スタイル、動機付け)について、それぞれに対応した教授法はどのようなものか考察する。また、学習者の認知スタイルと教材の理解の仕方の関係も考察する。
2 学習到達目標
学習者の持っている特質を説明できる。
学習者の認知スタイルを説明できる。
学習者の性格や動機付けについて説明できる。
3 課題
英語学習と動機付けの関係についてレポートにまとめる。
場面独立型と場面依存型という二つの認知スタイルの違いをレポートにまとめる。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ4 言語習得論
1 何を学ぶか
言語習得における行動主義理論と生得説理論を比較して、それぞれの教授法がどちらの理論に影響を受けているか考察する。関連して、オーディオリンガルメッソードと行動主義理論の関係を調べる。また、Krashen の言語生得理論を調べる。そして、言語習得の過程における一語文から二語文、複語文への発達を調べ、どちらの理論が妥当であるか考える。
2 学習到達目標
子どもの言語発達の段階について説明できる。
ジャン・ピアジェの考えを説明できる。
行動主義理論と言語生得説理論の特質を説明できる。
3 課題
言語習得の臨界期の説明をレポートにまとめる。
行動主義理論と言語生得説理論の違いを表にまとめる。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ5 英語教授法
1 何を学ぶか
様々な英語教授法の概要を知ることで、自分が想定する学習者(小、中、高レベル)に相応しい教授法を考える。すぐれた指導法の動画を見る。それらを参考にしながら、コミュニケーション主体の模擬授業を行う。さらにディクテーションやシャドーイングの指導法を訓練する。
2 学習到達目標
英語教授における演繹法と帰納法の違いを説明する。
様々な英語教授法を説明できる。
コミュニケーション主体とは何かを説明できる。
3 課題
自分の関心を持った教授法を一つ選び、概要をレポートにまとめる。
ディクテーションを自分に課して、その様子をレポートにまとめる。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ6 学習指導要領
1 何を学ぶか
日本の学習指導要領の歴史について調べる。10年ごとの改訂において、どのような時代背景を反映していたかを考える。また最新の学習指導要領の内容を分析する。諸外国における学習指導要領の特徴を対比して考える。
2 学習到達目標
学習指導要領とは何か説明できる。
学習指導要領の持つ法的拘束力を説明できる。
学習到達目標及び年間指導計画、単元計画、各時間の指導計画について説明できる。
3 課題
各国の学習指導要領の事例を集めて、日本の学習指導要領と比較して報告する。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ7 聴くことの指導
1 何を学ぶか
4技能の指導の中で聴くことの位置づけを考える。関連して、すぐれた指導法の動画を見る。また、ディクテーションとシャドーイングの練習を行うこと、さらに日本人が聞き分けに苦手な音の訓練法を知ることで、初等教育、中等教育レベルでの聴くことの指導法を理解してゆきたい。
2 学習到達目標
4技能の中で「聞くこと」の意味を説明できる。
聞くという「能動的な」行動について説明できる。
音声学の基本的な知識を説明できる。
国際音声記号を説明できる。
3 課題
日本人が聞き分けに苦労する音声をレポートにまとめる。。
能動的に「聞くこと」の意味をレポートにまとめる。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ8 話すことの指導
1 何を学ぶか
Public Speakingでは、自分が興味を持った話題ならば積極的に話すことにつながるので、学習者の関心のある話す話題の見つけ方、その提示の仕方を考える。とりわけ、小学校においてスピーキングの指導法を考える。学習指導要領で示されたコミュニケーション能力の育成の意味を考える。
2 学習到達目標
話すことの2つの領域(Conversation, Public Speaking)の違いを説明できる。
CEFRで示された「話す力」を説明できる。
Classroom English の大切さを説明できる。
3 課題
Classroom Englishを用いた授業案を作成する。
CEFRの概要をレポートにまとめる。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ9 読むことの指導
1 何を学ぶか
読み方の二つの重要な方法である速読と精読を比較する。それぞれの指導の時の留意点を考える。読むことの指導において重要なプレーリーディング活動を調べる。また、読み書きの活動において、文法知識の重要性を考えて、その問題点を考える。加えて、適切な語彙指導法を考える。
2 学習到達目標
歴史的文脈において、文法訳読法が果たした枠割りを説明できる。
ボトムアップとトップダウンの2つの読み方について説明できる。
読むときのスキーマの意味を説明できる。
3 課題
文法の理解とリーディングの関係をレポートにまとめる。
語彙の教え方をレポートにまとめる。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ10 書くことの指導
1 何を学ぶか
伝統的な英作文、課題英作文、自由英作文などの特質とその指導法を考える。結束性と一貫性を意識した英文を書く。さらに、パラグラフリーディングを意識した英文の指導法を考える。機械翻訳の活用法について考えて、書くことを指導する際の問題点と活用法を考える。
2 学習到達目標
ライティングへの関心の高める方法を説明できる。
初等教育において、どの程度まで書き言葉の指導を行うか説明できる。
3 課題
子どもたちの書いた英作文を実際に訂正してみる。
各種の機械翻訳を比較してレポートにまとめる。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ11 評価と言語テスト
1 何を学ぶか
評価が英語教授の上で果たすべき役割を考える。テストの様々な種類、例えば、主観テストと客観テスト、正誤問題と穴埋め問題などの特質を考える。さまざまな評価、例えば、診断的評価、形成的評価、総括的評価を考える。また、絶対的評価と相対的評価を考える。現在、普及しつつあるCEFRの評価の基本概念を調べる。
2 学習到達目標
色々なテストの種類を説明できる。
評価の視点を説明できる。
テストを信頼性、妥当性、実用性の概念で説明できる。
3 課題
自分が過去に於いて受けてきたテストを、様々な視点で解説する。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ12 世界の英語
1 何を学ぶか
英語の歴史から世界への英語の広がりを考える。その歴史的な広がりの中で、地理的な分類、例えば、カチルによる英語の区分け(ENL, ESL, EFL)が生まれてきた経緯を考える。英語教育における英語の規範を考える。
2 学習到達目標
世界の英語の種類を説明できる。
英米英語から国際英語へというパラダイムシフトを説明できる。
アメリカ英語とイギリス英語の違いを説明できる。
3 課題
日本人の英語の特徴をレポートにまとめる。
英語学習における英語の基準は何かレポートにまとめる。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ13 小学校の英語教育
1 何を学ぶか
小学校、中学校、高校のぞれぞれのレベルでの英語教育の実態を知ることで、一貫した英語教育の在り方を構想する。早期英語教育における音声教育の可能性を探る。関連した様々な指導法(ライム、早口言葉、歌、ゲーム)などの実践法を理解する。
2 学習到達目標
日本における小学校での英語教育のおこりを説明できる。
小学校での英語音声の指導法を説明できる。
3 課題
学習指導要領では、小学校での英語教育はどのように記されているかレポートにまとめる。
言語の気づきとは何かレポートにまとめる。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ14 異文化理解に関する指導
1 何を学ぶか
学習指導要領に異文化理解の必要性が記されていることの意味を考える。英語教育の場で提示すべき多文化共生社会とはどのような社会であるか調べる。言語相対説(サピア=ウオーフの仮説)を考察して、その実例をいくつか調べる。高コンテキスト文化と低コンテキスト文化の違いを考える。さらに、日本特有の文化社会と言語の関係を考察する。
2 学習到達目標
伝統的な西洋と東洋との二限対立の分類から、多次元化しつつある現代文化を説明できる。
文化と言語の関係について説明できる。
言語相対論について説明できる。
3 課題
世界に多発する民族問題と言語の事例を収集してレポートにまとめる。
学習指導要領では異文化理解はどのように扱われているかレポートにまとめる。
4 動画資料
5 プレゼン資料
テーマ15 教材及びICTの活用
1 何を学ぶか
英語教育における英語教材の進歩について考察して、英語教師として今後留意すべき点を考える。AIを用いた英会話の練習の可能性について説明する。生徒達の間に利用が広がりつつある機械翻訳の利点と欠点を考察して、英語教育の場での活用を考える。
2 学習到達目標
英語教材を用途によって、分類できる。
デジタル教材の利点を説明できる。
教材としてのICTを活用できる。
3 課題
小学校での英語教育教材として望ましいものを提示する。
Google 翻訳、DeepL翻訳、ChatGPT翻訳を比較して、レポートにまとめる。
4 動画資料
5 プレゼン資料
【研究】学校DX戦略コーディネータ養成カリキュラムの開発
<課 題>
〇大学院専修免許上進のインセンティブがない。
〇専修免許上進のカリキュラムに一貫性(コンセプト)がない。
〇専修免許(16単位8科目)の取得の時間的・経済的負担が大きい。
<解決案>
〇学校DX戦略コーディネータ(仮称)の養成プロクラムを構成し、全体のコンセプトを統一し、いつでも、どこからでも、学修できるプログラムを提案します。
学校DX戦略コーディネータの定義
“学校DX戦略コーディネータ”は、学校や教育機関においてデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の計画、実施、および評価をし、効果的に推進する役割を担う専門家
1.履修証明プログラム
履修証明制度とは、学校教育法第105条及び学校教育法施行規則第164条の規定に基づき、大学が教育や研究に加えてより積極的な社会貢献として、主として社会人向けに体系的な学習プログラムを開設し、その修了者に対して、法に基づく履修証明書を交付するもの。
2.オンラインによるスタートアップ講座(1日)+e-Learning8科目 16単位 )
→オンラインによるスタートアップ講座(1日)により本人確認可能
→オンラインによるスタートアップ講座(地域でのアウトリーチ可能)
3.学校DX戦略コーディネータ概論の作成
4.1期(8か月)で年間2期開設
5.受講費用 (16万円 (1単位1万円)
6.学校DX戦略コーディネータ(仮称)の養成プロクラムの特色
①教員ICT活用指導力の向上(目標)
②生成AIの活用に関する内容(追加)
③教育データの利活用に関する内容(追加)
④著作権や情報セキュリティに関する内容(追加)
7.スケジュール
令和7年度:4月から実施
8.カリキュラム
学校DX戦略コーディネータのカリキュラムを以下のように15講で示します。このカリキュラムは、デジタル技術を活用して学校の教育・運営を改革するための戦略を立案し、実行するためのスキルや知識を提供します。
【講座】学校DX戦略コーディネータ特論(Ⅰ)
【講座】学校DX戦略コーディネータ特論(Ⅱ)(構築中)
令和6年度 第3回 公開講座担当者会議
日時:令和6年6月27日(木) 14:30~15:30
場所:本館中会議室 zoom
内容:
1.学校DX戦略コーディネータ養成講座について
(1)「学校DX戦略コーディネータ養成講座」の趣旨(確認)
(資料)
②【e-Learning】学校DX戦略コーディネータ特論(Ⅰ):学習到達目標
③【e-Learning】学校DX戦略コーディネータ特論(Ⅱ):学習到達目標(内容含)
④ 学校DX戦略コーディネータ養成構想中プレゼン資料20240614
(2)科目と担当者(確認)
(3)各科目担当者の実施内容とスケジュールについて(依頼)
2.その他
【研究論文】学びの個別最適化をめざす自律活用型デジタルコンテンツデザイン
―学びの基礎としてのインストラクショナルデザインを取り入れた初等科教育法(音楽)の構造化とカリキュラム開発―
はじめに
いのち輝く未来社会のデザインをテーマに、EXPO2025が開催された。世界80億人の人類共通の課題解決に向け、先端技術の英知と新たなアイディアを、未来社会に向け共創する。25年後、50年後はどのような未来なのだろうか。
いくら科学技術が進歩しても、人間の本質は変わらない。人は楽しい時、寂しい時、心が動くとき時、思いを音楽で表したり音楽に心をゆだねたりしてきた。日本では、9年間の学校教育で音楽が必修である。その意味は何か。子供たちが多様な音楽と出会い、多様な感じ方や味わい方で表現したり鑑賞したりすることで音楽の感動を共有し、感情や記憶に様々な効果をもつ音楽の魅力を実感することで、柔らかな感性と創造力や豊かな心を育んでいる。
本研究では、時代の要請や学習観の変化に対応した初等科教育法(音楽)のコンテンツを開発した。人がよりよく学ぶには、どうすればよいか、音楽のもつよさを子供が見いだし、音楽で生活を豊かにしていく資質・能力を身につけるため、インストラクショナルデザインの考え方に着目して構想した。学びの基礎としてのインストラクショナルデザインを用いた自律型デジタルコンテンツをつくることで、教師がその学びを通して日頃の小学校音楽科の授業改善を行い、教育パラダイムを学習者中心とした、インストラクション、評価、カリキュラムの設計理論の統合に挑戦した。本コンテンツは、子供の学びの個別最適化をめざすと共に、教師も学ぶことで学びの個別最適化をめざす自律活用型デジタルコンテンツデザインを体験することができるよう設計している。
第1章は序章として、2025年の教育を取り巻く現状と自律活用型デジタルコ
ンテンツデザイン研究の目的を述べた。第2、3章ではその手法として、初等科教育法(音楽)の目標の構造化とカリキュラム開発、e-learningの学習環境についてまとめた。第4章は、初等科教育法(音楽)全15講を掲載した。第5章は結言として、結果及び考察について述べ、まとめでは、今後の展望について記した。本研究が、学習者中心のシステムへの転換となり、効果的なe-learningの在り方を探る実践的研究となるよう寄与したい。
目 次
第1章 2025年の教育を取り巻く現状と自律活用型デジタルコンテンツデザイン研究の目的
第1節 教育における世界の動向と日本の教育
第2節 データ駆動型教育の近未来
第3節 教師の専門職としての自律性に基づく授業改善の手法
第4節 学習観の変化と新しい教育モデルの変革
第5節 小学校音楽科教育の現状と課題
第6節 教員研修のスタイルの変化と研修観の転換
第2章 初等科教育法(音楽)の目標の構造化
第1節 教科内容の構造化
第2節 タキソノミーテーブル
第3章 e-learningの学習環境
第1節 コンテンツの構成
第2節 自律活用に向けた動画の役割と授業改善
第4章 初等科教育法(音楽)テキスト 全15講
第1講 21世紀に求められる学力と学習環境
第2講 インストラクショナルデザイン
第3講 教育デザインの理論的研究
第4講 教育方法の歴史
第5講 子供の学習意欲を高める教育
第6講 教育デザインの実践的研究
第7講 学校段階間の接続
第8講 「教えないで学べる」という新たな学び
第9講 新たな学びとしての反転授業
第10講 協働的な学びのICTデザイン
第11講 主体的・対話的で深い学びの実現
第12講 カリキュラム・マネジメントと学校における音楽科の役割
第13講 カリキュラム・マネジメントと音楽科経営の自己評価
第14講 コンピテンシーを育むデジタルアーカイブの構築と活用
第15講 音楽はなぜ学校に必要か
第5章 結果と考察、今後の課題
第1節 コンテンツの内容更新と維持
第2節 学びの個別最適化をめざす自律活用型デジタルコンテンツのシリーズ化
第3節 成果と課題
第6章 結言
第1章 2025年の教育を取り巻く現状と自律活用型デジタルコンテンツデザイン研究の目的
第1節 教育における世界の動向と日本の教育
「2030年に臨まれる社会のビジョン」ならびに「そのビジョンを実現する主体として求められる生徒像とコンピテンシー(資質・能力)」を追究してきたOECDが、Education 2030プロジェクトとして、第1フェーズとして「ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)2030」を公表して以来、日本の教育もコンピテンシー(基盤教育)重視の考え方に移行した。その結果、現行の学習指導要領から、コンピテンシーの育成を重視するようになり、学習観の変化に対応して授業観が変化してきた。
学校で身に付けさせたい21世紀の知識基盤社会における学力は、他者と協働しつつ創造的に生きていくための資質・能力の育成である。この力を育むのが、学校教育の役目であるといえ、そのために、学習活動では、他者と共に新たな知識を生み出し、深い知識を創造させていく経験を数多く積ませるようになった。また、情報化や国際化が進み、社会が⼤きく変化する中で、ICTを積極的に活用するようになった。
OECDの第2フェーズとしては、教師に向けた「ティーチング・コンパス」の検討を進めており、本研究が目指す教師のための自律活用型コンテンツデザインはその考え方を汲むものである。
第2節 データ駆動型教育の近未来
最近では、生徒や保護者、教師へフォームなどのツールを用いてデータを収集し、それを加工して対話にいかしたり、学習プロセスを可視化して学習状況を分析したりするなど活用している。藤原(2025)によると、今世紀初頭以降、アメリカを中心として諸外国では、データ駆動型学校改善(Data-driven school improvement)、データ駆動型教育(Data-driven school instruction)といったワードが使われ、データ活用は、このような身の回りの課題解決をはじめ、次第にビックデータを活用したアクションや意思決定へと広がりをみせ、デジタルアーカイブがAI生成やデータサイエンスにいかされるようになってきた。
国立教育政策研究所内の教育データサイエンスセンターでは、これまで教育の分野で十分にできていなかったEBPM (客観的な根拠に基づく政策立案)につなげていくため、「公教育データ・プラットフォーム」の構築といった教育データの共有基盤を整備している。データにより教育を見える化し、データ駆動型の教育に転換して教育の質向上を図り、成果を教育政策や学校や子供たちのために活用できるよう取り組まれるようになった。
現場にも、データ駆動型教育への対応と開発が求められており、学びのためのデジタルコンテンツもその一つといえる。
第3節 教師の専門職としての自律性に基づく授業改善の手法
今回開発する自律活用型デジタルコンテンツは、現代的な教育の課題を解決しつつ小学校音楽授業の工夫・改善をめざすものである。
そもそも、音楽の授業づくりには、莫大な時間を要する。授業デザインの後には、1つの題材に複数の教材(楽曲)、楽譜、楽器、書籍、音源、動画(演奏、番組、CM等)などの準備、ICT授業用のプレゼンテーションや課題などが、必要なためである。これらを現在主流の考え方になっている学習者中心の学びにデザインして、音楽の楽しさを子どもたちに、よりよく教えたい。指導者に学習者中心のコンテンツで学んでもらい、授業準備・授業づくりに関わる新しい授業デザインの学びのヒントを得ていくことで、子供たちの学びも学習者中心の自律的な学びのつくり手となり、教師の専門職としての力量をつけていく。
本研究では、インストラクショナルデザイン(設計理論の集合)を手がかりに、学んでいく中で小学校音楽科の授業改善を行っていけるよう設計した。
授業は教師の本分である。練られたよい授業は子供の目が輝き、教師も自信をもって提供でき、子供の反応がよく深い学びにつながる授業ができたとき、教師はますます教材研究や授業づくりが楽しくなり、満足感を得る。
2022年度「教員勤務実態調査」(文部科学省)では、「授業時間」は増えた一方で「授業準備」は減少し、6割以上の教員がさらに「削減すべき」と回答した。授業準備についての回答欄には、「削減すべきで削減可能」か「削減すべきだが削減は難しい」の2つしか用意されておらず、「削減すべきではない」という選択肢がなかったため、小学校67.9%、中学校の62.7%が授業準備を「削減すべきで削減可能」「削減すべきだが削減は難しい」と答えていた。しかし、教職の中核である授業の質の担保と不可分のもので、授業の質を維持、向上させるのに、授業準備は不可欠な時間である。その時間が不足しているとすれば、子どもたちの学びに影響を与えるのは必至である。
音楽の授業づくりに話を戻すと、音楽が得意であればよいが、苦手な教科が音楽となると、後回しにした挙句益々時間がかけられない、その結果、指導書のコピーで、まるで内容教科のように、歌唱法や演奏法、鑑賞曲にまつわる知識のみを教え込むような授業をしてしまう、という場面をみかける。専科を取り入れている学校も音楽専科の数は少なく、専門家への相談も難しい。英語や道徳科、総合的な学習の時間の研修、学校研の教科研究が中心となり、音楽の研修まで手が回らないのが現状といえる。それでも、教師が専門職としての自律性に基づき学んでいくとしたならば、タイムパフォーマンス重視で、短時間で効果的に学べるようなものが提供できるとよいのではないか。
本研究では、授業改善に役立つ指導者のための、自律活用型デジタルコンテンツを開発することにした。各講をたどっていけば、自然のうちに現代的課題の中から授業改善のポイントがみつかっていくように構成している。関心のある内容からピックアップして進めることも可能であり、各課題をこなしていく中で、短時間で新たな視点の授業づくりができることをめざしている。インストラクショナルデザインは、複雑で困難な仕事であるが、教師にとって最も重要な仕事である。
第4節 学習観の変化と新しい教育モデルの変革
学習観の変化(行動主義1960、認知主義1970、構成主義1980、社会構成主義1990)による授業観の転換が見られ、現在では、社会構成主義の考え方が主流である。それにより、社会構成主義の考え方による手だてとして、ジグソー法、ICTの協働学習、などが用いられるようになった。これらは、全ての教科にあてはまる手だてになるかどうかは、教科の特性によるものが大きい。例えば、内容教科ではあてはまったとしても、音楽科の学習にそのまま適合できるかどうか、など、音楽科の立場において、内容や取り入れ方を十分に吟味する、などが求められる。
そこで、本研究では、社会構成主義的なインストラクショナルデザインへのアプローチ(個人に合わせた課題選択や個人に合わせた協働学習が設計できる)を大切にしつつ、学習者中心の教育を実現する音楽科としての教科の特性をいかしたインストラクションデザインを行うことにした。
近年e-learningの普及により、インストラクショナルデザインは、より注目を浴びるようになった。インストラクショナルデザインは、様々な教授設計理論やツールを組み込むことができるアプローチであるため、分析→設計→開発→実施→評価(改善)という基本プロセスで、新しい学習コンテンツや教材などを作成していく際に、有力な方法論であるといえる。誰がやっても一定の授業の質が保証できるよう、教えること(子供の学び)を科学的にデザインした。学習科学の立場にある三宅なほみは、「人は元来、自分で考えて学ぶことが得意である」「人が学ぶ力を発揮できる学習環境はデザインできる」という、2つの命題へのこだわりを貫いている。
このような学習者中心の教授法についての知識が、コンピテンシー(基盤教育)重視の考え方の学習指導において必要とされている。
第5節 小学校音楽科教育の現状と課題
学校には、予測不能な社会への対応、多様な子供(不登校、外国籍、発達支援、障がい)への対応が求められている。どの子も置き去りにしない、という個別最適な教育への要請がある。資質・能力を育む学校教育において、音楽科は何を教えるべき教科なのか、どのような役割があるのか、を考え、様々な問いやニーズに対応していかなければならない。
2024年12月に示された論点・整理では、学習指導要領の今後の改訂の具体的な方向性が示された。
前回のような全体的な方向性の変更ない。これらの方向性は、インストラクショナルデザインの考え方で解決できると考える。
デジタル学習基盤としてのICTを取り入れた音楽科の現状としては、表現・鑑賞の領域ともにweb上の多くの参考資料(音楽動画)が手に入り、歌唱・器楽・創作、鑑賞どの分野においても、他者との考えの協働、共有が容易にできることで学習形態の幅を広げ、授業の質の向上につなげてきた。また、ツールの活用により、音楽技能の差に関わらず、創作・追究活動ができるようになった。特に、知識・技能において、教え込みスタイルからの脱却がなされてきている。
課題としては、エドテック(EdTech)による意見の共有により、人の答えをすぐに参考でき、子供が自分の感受や考えをもつことをしなくなりがちになったり、ICT活用が子供の主体性という名の自由な授業になってしまい、教科本質(音楽的感性の育成)をめざすものとならなかったりする実態もある。ICTの活動だけ行っている授業では、かつての活動あって内容なし、に後退する。子供に委ねる一人一人の学びの時間や自由度が拡大する分、個別の課題設定への取り組み方への支援や共通課題をめぐって考えをつなげ深めるファシリテーションが重要となる。これらデジタル学習基盤の現状を前提として、ねらいを明確にした効果的な学びデザインを考えていくことが大切であり、今後益々ICTの果たす役割は大きい。
第6節 教員研修のスタイルの変化と研修観の転換
新たな教師の学びにおいては、一人一人の教師が、自らの専門職性を高めていく営みであると自覚しながら、変化を前向きに受け止め、探究心をもちつつ自律的に学ぶことが望まれる。教師の学びの内容の多様性は、自らの日々の実践や他者から学ぶといった現場の経験やOJT(Office Job Training)も含み、学びのスタイルが多様であることも重要となる。子供が学習者として学び続けることが求められるように、教職を目指す学生や教員も一学習者として学び続けることが求められている。教員も資質・能力を磨く時代である。
免許制の廃止後、研修観も転換している。全国教員研修プラットフォーム「Plant」が構築され、研修の受講や受講履歴記録の作成がデジタルで一元的に行われるようになった。2年目となる2025年度時点では、所属の教育委員会や教育センタ―主催研修に加え、文部科学省や教職員支援機構、大学などのコンテンツが必要に応じて選択できる。
本研究ではこのような背景を受けて、教師の学びとして、自律的に学ぶ仕組みを備えたコンテンツを構築した。新たな知を求める教師が、自律活用できるコンテンツで、個別最適な学びを実現できる。自律的な学びを目指し、①教材の構造化と明確な出口の設定と、②カリキュラムの構造化を行い、③達成を確認できる課題の提供と、④教育リソースを準備した。インストラクションで個人の進捗と達成基盤に合わせられることは、大人の学びとして有効である。学びの目的は授業改善で、教師の学びを手助けし、マネジメントする。
以上の点から、本研究では教職を目指す学生や現職教員の自主的研修に役立つ、初等科教育法(音楽)の自律型デジタルコンテンツをデザインすることにした。子供の学びの変化に伴い、教師に求められるものも変わってきている。人がよりよく学ぶにはどうしたらよいか、小学校音楽科の授業づくりと工夫・改善を行うことで、インストラクショナルデザインの考え方を学ぶものである。
第2章 初等科教育法(音楽)の目標の構造化
第1節 教科内容の構造化
初等科教育法(音楽)のe-learningのための授業の設計、実践、評価について述べていく。
コンピテンシー(基盤教育)重視となった現行の学習指導要領から、目標構造が変わった。アクティブ・ラーニングや主体的・対話的で深い学びの重視のように、教えることから学びへ(教師主導から学習者主体へ)、授業の改革が繰り返し叫ばれ、さらに個別最適な学びで、子供たち一人一人が自ら自由に学ぶようになる考え方も広がりつつある。
C.M.ライゲルース(2020)は、資質・能力の育成にむけては、学習者中心の教育への転換が重要で、学習者中心の教育のためのガイドラインとして、次の5つを示した。
①学習者の進捗は、時間で測るのではなく学習進度の達成度で測る【達成度基盤型インストラクション】、②課題は実際の社会的な文脈に合わせた真正の課題にする【課題中心型インストラクション】、③進めるときは個人に合わせるべき【個人に合わせたインストラクション】、④教育者、学習者、ICTの役割転換と支援【役割の変化】、⑤学習者は自ら学ぶことが必要で、学ぶだけでなく、時には人と協働したり、人に教えたりする役割の変化が求められる、カリキュラムを再構成【カリキュラムの変化】すべきである。
これら5つのポイントを重視して、初等科教育法(音楽)の内容構成を15講で設計した。インストラクショナルデザイン理論に関わる内容は、8講分にわたる。第1講に、21世紀型学力、第2講に、インストラクショナルデザインとは、第3講に学習目標の明確化の手法について、第4講に、教育方法の歴史をたどり、教えと学びのパラダイムが交錯した経緯を、第5講に、インストラクショナルデザインの視点で学習意欲を⾼めるフレームワーク例の紹介、第6講で、インストラクショナルデザイン理論とモデルを活用した音楽科の授業設計について、第8講で、教えないで学べる学習環境、第9講で、反転授業を紹介した。第10講では協働的な学びとICT活用のデザイン手法、第11講、第12講では、カリキュラム・マネジメントについて、さらに、第14講では、音楽科のデジタルアーカイブの展望を追加した。最終講は、教科としての音楽科の存在意義を確認できるものにした。
理論と実践の往還が学習者の理解を深めることにつながると考え、インストラクショナルデザインに関わる講は、理論部分と小学校音楽科教育実践部分の両方で構成するようにした。理論部分は、岐阜女子大学教授 久世 均先生が、これまでのご研究や学生の授業科目として築き上げてこられた理論を、掲載させていただいた。
学習者の実践にあたっては、理論に続く授業デザインの実践部分として、小学校音楽科の学習ではどのような授業づくりをしていくのか、具体的な学習活動例を示し、実際に応用してデザインしてもらえる課題を準備した。
理論基盤としては、学習者中心のインストラクショナルデザインに、C.M.ライゲルースの学習者中心の教育のためのガイドライン②の、コンピテンシー重視の考え方を反映した。この考え方は、コンピテンシーを育む学習者中心のインストラクショナルデザインが、現在の教育の流れに適している。
ジョーンズJones et al.(2002)は、実用面を強調するコンピテンシー(特定のタスクを実行するために必要なスキルと能力、および知識の組み合わせ)達成の実演として、図1の階層図を提案している。
下段から、これまでの経験や適性、特性の違いにより、なぜ人々が異なった学習経験を追究し、様々なレベルと種類のスキルや能力、あるいは知識を獲得するのか、その理由が説明できる。これらは、教室内での学習だけでなく、仕事やコミュニティ活動への参加を含めた、広義の学習経験を通じて開発される。続いてコンピテンシーは、スキルと能力、及び知識が相互作用し、それらに応じ組み立てられたタスクに密接に関連する学習の組み合わせとしての統合的学習経験の結果となる。最後に、コンピテンシーが達成され実演できる力となる。このコンピテンシー階層図は、B.S.ブルームの分類学(Bloom’s Taxonomy 1973)に類似している。
デューイDewey(1902)、スキナーSkinner(1958)ガニェGagne(1985)が築いたコンピテンシー基盤型アプローチの基礎となるタスクの支持する土台は、さらに、アンダーソン(2001)が、能動的学習の方略を組み込むため、改訂版タキソノミーを提案し進化している。教科内容の構造化については、B.S.ブルームの分類学と完全習得学習を理論的基盤として、教科内容の構造化を行った。
第2節 タキソノミーテーブル
教科内容の構造化にあたっては、B.S.ブルームのタキソノミ―を用いた。具体的には、初等科教育法(音楽)の目標を分析し、基礎から高次の目標へ段階的に並べ、目標の偏りを防ぎバランスをとっている。タキソノミ―は、①の達成度基盤型インストラクションに向けて、目標と評価を明確化する目的がある。
タキソノミーは、B.S.ブルームの目標分類の認知的領域の目標分類を応用した分類を基に、本研究では、岐阜女子大学の科目のタキソノミーテーブルのフレームを使用させていただいた。
タキソノミーテーブルについては、認知領域として、既習事項を必要に応じて知識を利用できる「想起する」、伝えられる情報の意味を捉えて必要に応じて活用する「理解する」、すでに学んだことを新しい課題場面や具体的状況に適応する力としての「応用する」、問題を構成要素に分解・再構成し、問題の全体的な構造を明らかにする力としての「分析する」、価値や意味を判断する力としての「評価する」、新しい全体をつくり出す力としての「創造する」の6段階とした。そして、タテ軸に内容、ヨコ軸に学修後にできるようになってほしい具体的な行動を示し、「内容と目標行動のマトリックス」とした。
表2 初等科教育法(音楽)のタキソノミーテーブル
分類の意義として、様々な種類の目標を考慮することで、深い学びにつながる。15講の各講の目標が、全体の中で担っている役割を果たせるように、長期的目標の分類に照らして、不足している目標を確認したり、その目標をどう評価するか、調整したりした。区分した目標が相互に関連性をもっている場合には、2つの枠組を通した目標も設定した。
このような形での目標分類は、カリキュラムの開発と評価などの枠組みとして重要な意味をもつが、授業設計や形成的評価のために用いることが教育実践的意義である。目標を明確にすることで、学習者に何を学んで欲しいのかを明らかに示すことは、その目標が達成できたかどうかを判断する、評価の材料を提供することになる。
初等科教育法(音楽)の調整後のタキソノミーテーブルは、次の通りである。多くの講で、「理解して応用する」を繰り返す中で、実践力をつけていき、そのデザイン力をいかして、「分析したり創造したり」して、実際の題材構成を行うように調整した。「分析したり創造したり」することが、高次の目標となっている。また、できあがった題材デザインを評価して、よりよいものに練り直す過程も構想している。
目標と評価のための初等科教育法(音楽)は以上の通りだが、授業デザインの過程では、カリキュラムや学習指導要領の目標を、授業の目標として検証可能な形にして明確化を行うこと、目標は、期待する子供の行動や姿で記述し、その妥当性の検討も行うこと、次に、目の前の子供の実態を明らかにすること、さらに、題材レベルで目標分析をして、下位の行動目標の学習順序を決定すること、学習環境と教材、学習形態を決めること、評価の方法を決定すること、また設計の修正をすること、を大切にした。また、子供の授業デザインには、情意領域を表に加えた改訂版タキソノミーを応用して、現行の学習指導要領のコンピテンシーと対応させた、タキソノミ―テーブルを独自で作成した。
第3章 e-learningの学習環境
第1節 コンテンツの構成
e-Learningは、あらかじめ用意されたコンテンツを視聴して学習する研修方法で、学習管理システム(サーバー)に保存された動画教材を視聴する。e-Learningの設計は、「学ぶためのもの」であり、「教えるためのもの」ではない。全体目標をより効果的に達成するような選択肢を組み合わせることが求められる。
本研究のデジタルコンテンツの構成は、デジタルテキストと動画である。原則は、テキストで基本的な考え方を伝え、動画で具体的な音楽科の授業づくりについて例示して課題を出す。動画時間は、最長でも20分とし、できるだけ音楽の楽曲や関連資料を動画の中で演示し、実践に応用したり課題をイメージしたりしやすいようにした。動画作成にあたっては、教えない選択肢を考え、どうしてもそれでは達成できないものだけ、教えるという手段で実現するように心がけた。その結果として、より効果的・効率的・魅力的なe-Learning教材が実現することになる。学習者が各講を学び、個別最適な自分の授業づくりに取り組むことができる。
教育活動の効果を高めるために、より短期間に、そしてより労力をかけずに当初の目標を達成するため、またやってみたいと思う気持ちをもたせるため、インストラクショナルデザインの発想が有用である。
e-Learningについては、岐阜女子大学大学院「遠隔教育特講」第9講 遠隔授業のデザイン手法 2.e-Learningと遠隔授業を組み合わせた授業構成、第10講 自律的なオンライン授業の分析と設計 を参照願いたい。
第2節 自律活用に向けた動画の役割と授業改善
自律型デジタルコンテンツには、動画作成の工夫が欠かせない。動画は、プレゼンテーションを用いて説明し、エドテック(EdTech)の実際や楽曲の提示や紹介など、実際の授業ですぐに使える教材を多く提示していくようにした。
講義ビデオの撮影技法や、印刷教材のレイアウトや構成、あるいは学びやすさについてのデザイン原則がふまえられていなければ、e-Learningの学習効果が向上することは期待できない。e-Learning教材の設計には、e-Learning以前から培われてきたインストラクショナルデザイン技法も参照し、部品の精度を上げていく必要がある。
今回は、魅力的な動画づくりのため、プレゼンテーション作成ソフトとしてオンラインデザインツール、説明にはオンラインアニメーション制作ソフトを用いた。実際に用いたツールは、以下の通りである。
使用できるデザインには制限があるものの、無料で使用できるものを利用した。動画も学習者がクリックしてすすめるよう設計し、プレゼンテーションや説明動画、アニメーションなどを組み合わせて構成した。
最後に、e-Learning開発工程とインストラクショナルデザインプロセスモデルの関係と授業改善について述べていく。
e-Learningのコンテンツ開発には、一般的なインストラクショナルデザインプロセス(ADDIEモデル)の段階にしたがって、分析(Analysis)、設計(Design)、開発(Development)、実施(Implementation)、評価(Evaluation)のフェーズがある。どんなコンテンツが必要かを見極め(分析)、どのように教えるかを考え(設計)、web上などに教材を実現する(開発).研修を行い(実施)、その結果を見ながら必要な修正を行う(評価).この5段階を必要に応じて繰り返すことで、よりよいものができる。
つまり、これまでの教育で蓄えられた様々なノウハウをe-Learningの一要素として組み入れ、トータルに学習環境をデザインすることが求められている。様々な手法の長所を組み合わせて、より効果的な学習環境を整備する統合プラットフォームとして、e-Learningを位置づけているのが、現在の考え方である。
e-Learningが人の学びを根本から変えていく手段として発展するために、e-Learningの実践のみならず、インストラクショナルデザインの知見が生かされ、また、e-Learningの実践から得られた知見が応用されてインストラクショナルデザインが発展していくことが、期待できる。この能動的な学びが、自律的なディープアクティブラーニングの道へと続く。
第4章 初等科教育法(音楽)全15講
【授業】初等教科教育法(音楽)【構築中】
Ⅰ はじめに
21世紀の知識基盤社会における「学力」は「他者と協働しつつ創造的に生きていく」ための資質・能力の育成である。そのために,学習活動では,他者と共に新たな知識を生み出す活動を引き出しつつ深い知識を創造させていく経験を,数多く積ませることが重要である。また,情報化や国際化が進み,社会が⼤きく変化する中で,学校,そして教師は様々な変化に直面している。児童に求められる学力の変化や授業でのICT活用など,教師はどう対応していけばよいか。
本講座では「インストラクショナルデザイン」を手がかりに,学びの基礎としてのインストラクショナルデザインを取り入れた音楽教育について考える。
Ⅱ 授業の目的・ねらい
知識基盤社会とは,新しい知識やアイデア,技術のイノベーションがほかの何よりも重視される社会である。そのイノベーションのために,他者とのコミュニケーションやコラボレーション(協働,協調)が重視され, それらが効果的・建設的に行えるように,人と人を繋ぐコミュニティやICTの役割に注目が集まっている。つまり,現在決まった答えのないグローバルな課題に対して,大人も子供も含めた重層的なコミュニティの中で,ICT を駆使して一人ひとりが自分の考えや知識を持ち寄り,交換して考えを深め,統合することで解を見出し,その先の課題を見据える社会へと,社会全体が転換しようとしている。ここでは,その高度情報社会とそれに応じて求められる音楽における資質や能力について考える。
Ⅲ 授業の教育目標
(1)「インストラクショナルデザイン」を手がかりに,効果的・効率的・魅力的な授業づくりや学びの方法について考え,自分の考えを具体的に述べることができる。
(2)21世紀に求められる学力を育む新たな授業と評価を,背景や音楽における実践事例を紹介しながら考え,説明できる。
(3)目標を分析して構造がわかると,評価規準ができる。目標の構造がわかるというのは,評価規準のなかで,重要度を決定することを考える。
(4)「教えないで学べる」学びの視点を考え,音楽教育の内容を構造化し整理し提示する。
(5)音楽教育における「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実について考える。
動画資料
第1講 21世紀に求められる学力と学習環境
1.何を学ぶか
21世紀にふさわしい主体的・協働的な授業をいかに設計し、評価していくべきだろうか。21世紀の知識基盤社会における「確かな学力」は「他者と協働しつつ創造的に生きていく」資質・能力の育成であるため、授業では、他者と共に新たな知識を生み出す活動を引き出しつつ深い知識を創造させていく経験を、数多く積ませることが重要である。ここでは、21世紀に求められる学力を育む新たな授業と評価について、背景や実践事例を紹介しながら考える。
2.学習到達目標
(1)21世紀に求められる学力について説明できる。
(2)資質・能力を引き出す授業の条件を説明できる。
3.研究課題
(1)知識習得モデルと知識創造モデルの違いを説明しなさい。
(2)知識習得モデルから知識創造モデルへの授業改善について、具体例をあげて説明しなさい。
(3)変容的評価について、具体例をあげて説明しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第2講 インストラクショナルデザイン
1.何を学ぶか
情報化や国際化が進み、社会が大きく変化する中で、学校、そして教師は様々な変化に直面している。子供達に求められる学力の変化や授業でのICT(Information Communication Technology)活用など、教師はどう対応していけばよいのだろうか。本講では「インストラクショナルデザイン」を手がかりに、効果的・効率的・魅力的な授業づくりや教材開発について、考えていく。
インストラクショナルデザイン(ID:Instructional Design)の「インストラクション」は、教授や授業、指示を示す言葉で、授業設計や授業デザインと呼ばれることもあるが、以下の鈴木(2005)の定義に「学習環境」とあるように、今日では広く捉えられている。
IDとは「教育活動の効果的・効率的・魅力的な学習環境をデザインしていくための手法を集大成したモデルや研究分野、またはそれらを応用して学習支援環境を実現するプロセスのこと」(鈴木、2005)
またこの定義の中で「効果的・効率的・魅力的な学習環境をデザイン」とある。これはIDが重要視していることで、学習者が短時間で(効率的)、学習目標に到達し(効果的)、もっと学びたいという気持ちになる(魅力的)、そのようなよい授業やよい教材を目指せるよう、IDではさまざまな手法やモデルが提案されている。教員研修プログラムや映像教材を開発する際に、IDの手法やモデルを応用することで、「効果的・効率的・魅力的」を目指せるようになるのである。
2.学習到達目標
(1)インストラクショナルデザインとは何か説明できる。
(2)インストラクショナルデザイン専用のPDCAサイクル「ADDIE(アディ―)モデル」について事例をあげて説明する。
3.研究課題
(1)ADDIEのプロセスを検討し,音楽の教材を作成しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第3講 教育デザイン研究と授業デザインの実践
1.何を学ぶか
学習者が目標を十分に達成できることが、よい授業の条件である。そのような授業づくりには、インストラクショナルデザイン(第2講)のはじめの段階で、学習目標を明確に設定しておくことが重要となる。学習目標とは、学習者が、わかるようになること、できるようになること、身に付けることなど、教師が授業でねらいとすることを、より具体的な形で表し、わかったか、できるようになったか、身に付いたか、を判断できるように書かれたものである。学習目標を明確にすれば、その目標が適切かどうか、学習者にとって達成可能かどうか、などの検討が可能となり、学習目標と評価を一致させて、授業の展開や評価などの学習をデザインしていくことができる。
IDの「設計」は、学習目標を設定し、すべての学習者が目標を実現できるように、それに向けた計画を立てることである。学習目標が明確になると、授業で何を目指して、どのように授業を進めていくのか、適切な教材は何か、などの授業設計ができる。
2.学習到達目標
(1)ブルームの教育⽬標分類について、⾏動⽬標による具体例を挙げて説明できる。
(2)ガニェの学習成果の5分類について、⾏動⽬標による具体例を挙げて説明できる。
(3)音楽科の題材における学習⽬標について、具体的に説明できる。
3.研究課題
1.ブルームの教育目標分類について、行動目標による例を取り上げて説明しなさい。
2.ガニェの学習成果の5分類について、具体例を挙げて説明しなさい。
3.具体的な題材において、目標分類表を設定しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第4講 教育方法の歴史 ~教えと学びのパラダイムの交錯~
1.何を学ぶか
「教育とは何か」、と問われると、どのような解を思い浮かべるだろうか。「学ぶとは何か」と問われると、どうだろうか。「教える」と「学ぶ」は、同じなのか、異なるのか。解は、簡単なようで簡単ではない気がする。「教育」を「教え」「育む」と分けて考えることもできる。「教える」行為は、その歴史を振り返れば、古代ギリシアまで遡ることができる。
それは、古代ギリシアの哲学者によって探究され、伝聞・口述による行為であった。古代ギリシアの著名な哲学者としては、ソクラテス、プラトン、アリストテレスを挙げることができる。ソクラテスは青年たちに金銭や名声ではなく、自分の「魂の世話」に心がけた市民としての生き方を唱えた。その中で、対話をすることによる「問答法」を生み出している。プラトンはアテナイの民主主義の混乱期に、国家が「正義」を実現するための理想的な国家制度を考えた。子供を素質に応じて庶民、戦士、支配者候補に振り分け、真に「知恵」を有する者を支配者にする教育制度である。アリストテレスは、知性や特性は有徳な人々と交際し、現実生活の中で習慣と反復によって身に付くと考えた。教育には実用目的のものと、人間的な教養のためのものがあるとした。
このように「教える行為」は、古代ギリシアから始まっていると言える。そこから、中世・近世・近代と時代の軸を進めていくこととなる。
2.学習到達目標
(1)教育方法の歴史をつかみ、現行学習指導要領の転換が図られていることを理解し、説明することができる。
(2)現在の学習指導要領において、重要視されている学習者の主体的に学ぶ態度(自律的な学び)について、音楽科の具体例を示しながら説明できる。
3.研究課題
(1)教育方法の歴史としての学習観の変遷を、学習者の具体的な姿を示し、述べなさい。
(2)現在の学習観において重要視されている、学習者中心の主体的に学ぶ態度を育成する音楽科に適する学習の方法を1つ取り上げ、具体的な活動例を示して説明しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第5講 子どもの学習意欲を高める教育
1.何を学ぶか
予測困難な社会の変化に、主体的に関わり感性を豊かに働かせながら、どのような未来をつくっていくのか、どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかという目的を、子供たちが⾃ら考え、⾃らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となる力を、身に付けられるようにすることが必要である。
人間性の涵養を目指し、学習においてもこのような資質や能⼒を育てるために、学びを人生や社会に生かそうとする力を伸ばし、学習の評価として「主体的に学習に取り組む態度」を評価している。しかし、学習到達度調査などによると、⽇本の⼦供の学習意欲は、改善傾向にあるとはいえ、平均を下回っていることが指摘されている。ではどうすれば、学習意欲を⾼めることができるのであろうか。
意欲とは、進んで何かをしようと思うことであり、⼼理学では「動機づけ」と呼ばれる。「動機づけ」については、マズロー(A.H.Maslow)の欲求段階説など、様々な研究が⾏われてきた。ここでは、基本的な分類である「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」について取りあげる。
「外発的動機づけ」は、義務、賞罰、強制などによってもたらされる動機づけで、たとえば、試験に合格したり⾼得点を取ったりするためにする勉強がそれにあたる。活動それ⾃体を楽しむのではなく、何かのために活動するのが、「外発的動機づけ」である。
2.学習到達目標
(1)学習意欲を⾼める指導法について説明できる。
(2)J.M.ケラーの ARCS(アークス)モデルについて、音楽科の学習活動の例を挙げて、具体的に説明できる。
(3)アンドラゴジー(Andragogy)をもとにして、学校式教育から⼤⼈の学び⽀援についてその違いを具体的に説明し、授業設計に生かすことができる。
3.研究課題
(1)音楽科の学習の動機づけの具体的な⽅法をあげて、J.M.ケラーのARCS(アークス)モデルのどの分類にあたるか、説明しなさい。
(2)アンドラゴジーの特徴を、ペタゴジーとの比較をもとにして、学校式教育から大人の学び支援について、その違いを具体的にカードで5つ挙げ、みんなの広場でグループごとに分類し、説明しなさい。【タブレット課題】
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第6講 音楽科授業の分析と授業設計
1.何を学ぶか
「子供がいかに学ぶものか」という理念(理論、学習観)とその不断の検証が、何よりも重要だと考えている。それは、教科の特性と子供の実態に応じて、どのような学習活動を選択し、どのような学習環境をデザインするかは、授業のねらいに応じて、学習理論や教授学(ペダゴジー)に基づいた必要な教授ストラテジーを選択することが、大事だと見なしている。インストラクショナルデザインとして確立された一般的な理論に、組織・個人の価値観を加えて、児童にマッチしたデザインを構築していくことが大切である。
2.学習到達目標
(1)学びの関連性、学びの積み重ね、学びのつながりを高めていく授業設計が構想できる。
(2)「主題による題材構成」「楽曲による題材構成」について説明できる。
3.研究課題
(1) 学びの関連性、学びの積み重ね、学びのつながりを高めていく題材として、第1・2学年の学習で身に付けたことを関連付けて活用する第3・4学年の主題による題材構成を構想し、説明しなさい。その際、「教授フローチャート」を用いて、題材構成(授業デザイン)を示しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第7講 学校段階間の接続
1.何を学ぶか
教育課程は、社会が著しく変化する中で未来を創造する次世代への教育を実現するものであり、各学校段階と各教科等が相互に連携し全体としての学校教育の在り方を示すことを特色としている。
2024年12月論点整理では、学校段階間の連携・接続について、幼児教育から高等学校段階までの発達を連続的に支えるものとして重要であり、義務教育9年間を通した教育課程・指導体制等の在り方や高大接続の観点も含め、引き続きその在り方について検討すべきと示した。特に幼児教育と小学校教育の連携・接続については、「架け橋プログラム」の成果も踏まえつつ、資質・能力の育成に向けて、幼児教育の学びと連続性のある学びを小学校教育でも実現するといった観点のみならず、小学校教育以降の資質・能力の育成に繋がる多様な体験をいずれの幼児教育施設でも経験できるようにするといった観点も含め、幼児教育と小学校教育が相互にその教育のよさを取り入れていくためにはどうすればよいか検討すべき、と指摘した。中学校教育との接続については、小中一貫教育の制度化に関係する動き等も踏まえた検討が必要である。こうした接続を確かなものとするため、接続を担当する教員のみならず、小学校全体の教職員による取組が求められる。
2.学習到達目標
(1)保幼小の連携、小中の学習指導要領の構成について、説明できる。
(2)発達段階を踏まえた指導の充実(低・中・高学年)について、具体的な手だてを説明できる。
3.研究課題
(1)器楽分野における「思考力、判断力、表現力」「知識」「技能」に関する資質・能力を身に付けさせる事項、の各学年の内容を、歌唱分野を参考にして表にしなさい。
(2)①低学年から中学年、②中学年から高学年、③小学校及び中学校で教材の重なり、の中から、いずれかの接続を意識した発展的な学習の関連題材例を提案しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第8講 「教えないで学べる」という新たな学び
1.何を学ぶか
学習者にはそれぞれに個性があり、個人の資質や興味・関心が異なる。このような個人差について、教師はどのように考えたらいいか。
学習者の学習の目標の達成ができないことについて、学習者の能力が原因ではなく、図14-1の式で示すように、キャロル(J.B.Carroll)は、1963年に提唱した学校学習の時間モデルで、学習の目標を達成するための学習者の時間が不足していたと考えた。学校で授業を受ける中で、何故、ある子供は成功し、ある子供は失敗を重ねる現象が起きているのか、を分析し、失敗を防いだり、立ち直らせたりするための手だてをどう考えたらよいか、を模索した結果として、能力から時間への発想の転換を行ったのである。
多くの子供は、その子に必要な時間さえかければ、大抵の学習課題を達成することができる」という視点に立つことで、その子にとって課題達成に必要な時間をどう確保し、どんな援助(環境、問題、助言など)を工夫したら、より短い時間で良い効果(成績)がおさめられるような授業になるのか、を検討できるのではないかと考えた。
2.学習到達目標
(1)「教えないで学べる」とはどのようなことか、具体例を挙げて説明できる。
(2)「教えないで学べる」という新たな学びの環境について、説明できる。
3.研究課題
(1)キャロル(J.B.Carroll)の学校学習の時間モデルについて説明しなさい。
(2)「教えないで学べる」学習環境について具体的に説明しなさい。
(3)「教えないで学べる」研修を実現するための手だてを考えなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第9講 新たな学びとしての反転授業
1.何を学ぶか
近年、「反転授業」とよばれる新たな学びが注目を集めている。タブレット端末やデジタル教材、インターネット環境など情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)を組み合わせて反転授業を取り入れる教育実践が普及し始めている。
日本では1980年代から「自ら学び自ら考える力」が重視されてきた。このことは、他律的でない自律的な学習態度の教育が基盤となっている。ここでは、この実践的資質・能力の向上と、教科における反転授業の効果の向上について検討する。
2.学習到達目標
(1)反転授業について具体例を挙げて説明できる。
(2)反転授業について具体的に音楽科の授業設計ができる。
3.研究課題
(1)反転授業とその効果と可能性について説明しなさい。
(2)反転授業の効果的な学習展開を具体的に構想し、反転授業を取り入れた音楽科の学習指導案を作成しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第10講 協働的な学びのICTデザイン
1.何を学ぶか
チームの中で効果的に働く能力は、様々な職場において極めて重要であると認識されており、21世紀における学習目標の一つとされてきた。(OECD,2013)仕事や地域など、社会では、様々な⼈と協調的に関わり合いながら、複雑な問題を解決し、新しいアイデアを創造している。
⽇本において「協働学習(Collaboration Learning)」という⾔葉や概念は、教育⼯学・認知科学の分野において使⽤され始め、ICT環境の整備とテクノロジによる学習⽀援が実現されていくと共に、広く知られるようになった。「協働」とは、⾃らが属する組織や⽂化の異なる他者と、⼀つの⽬標に向けて、互いにパートナーとして働くことである。
この考え方を学習に取り入れた「協働学習」は、単に「問題を⼀緒に解く」というような活動や形態のことだけではなく、問題を解く場⾯で「どうしても他⼈がいないと解決に結びつかない活動」を通じて相互作用を促し、「他⼈がいることで、⾃分⼀⼈で解くより答えの質が上がる」経験を繰り返すことで、柔軟な解決をめざす、使えるスキルを身につけていくことができる。
2.学習到達目標
(1)協働学習の考え⽅について説明できる。
(2)ジグソー学習について説明できる。
(3)協働学習を取り入れた、音楽科の授業デザインができる。
3.研究課題
(1)ICTを活用した協働学習を含めた題材を構想し、学習者⾃⾝が知識を統合して答えを出す学習活動過程について理解を深め、その効⽤を検討しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第11講 「主体的・対話的な深い学び」の実現
1.何を学ぶか
学校教育でのアクティブ・ラーニングは、「教員による一方的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称(文部科学省)」と定義され、大学教育の質的転換を図るために提唱されたものだった。その後、包括的な教育改革の流れの中で、初等中等教育の授業改善に適用されることになった。
子供たちが成人して社会で活躍する頃には、生産年齢人口の減少、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により、社会や職業の在り方そのものが大きく変化する可能性が指摘されている。そうした厳しい挑戦の時代を乗り越えていくためには、伝統や文化に立脚しながら、他者と協働し価値の創造に挑み、未来をきり拓いていく力が必要とされている。このような時代だからこそ、子供たちには、変化を前向きにとらえて、人間らしい感性を働かせ、社会や生活、人生、未来を豊かに拓いていってほしい。
資質・能力を育成する場としての学校の役割は大きくなっている。学ぶことと社会とのつながりを意識し、「何を教えるか」という知識の質・量の改善に加え、「どのように学ぶか」という、学びの質や深まりを重視することが必要とされる。現行の学習指導要領の特徴は、学習者主体のコンピテンシーベースへの転換である。これを明確化して実現するために、児童が身に付けるべき能力を3つの柱に整理し、これを育むため子供たちが「どのように学ぶか」として、「主体的で・対話的で深い学び」という教育の方法が示された。
2.学習到達目標
(1)「主体的・対話的で深い学び」について、具体例を挙げて説明できる。
(2)ICTを活用した「主体的・対話的で深い学び」を実現する授業をデザインできる。
3.研究課題
(1)「主体的・対話的な深い学び」を実現するための視点を説明しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第12講 カリキュラム・マネジメントと学校における音楽科の役割
1.何を学ぶか
よりよい学校教育が、よりよい社会を創ること、を基本の考え方として、学校では、子供たちに「生きる力」を育んでいる。変化の激しいこれからの時代を見据えて、子供たちに必要な資質・能力をしっかりと身に付けることができるよう、学校の教育目標や目指す子供像などを地域社会と共有しながら、連携・協働を進めることが大切である。そのため学校は、「社会に開かれた教育課程」の実現に向けた取り組みを構想することが大切とされている。
カリキュラム・マネジメントとは、「社会に開かれた教育課程」の理念の実現に向けて、学校教育に関わる様々な取組を、教育課程を中心に据えながら、組織的かつ計画的に実施し、教育活動の質の向上を図っていくことを示している。学校が、社会の中の学校となるために、教育課程もまた、社会や地域とのつながりを意識することが求められている。つまり、教育課程を介して、学校が社会や世界との接点をもつことが、これからの時代において、より一層重要となってくるのである。
2.学習到達目標
(1)音楽科におけるカリキュラム・マネジメントの充実について、説明できる。
(2)「社会に開かれた教育課程」の実現のために、カリキュラム・マネジメントの充実を目指して、学校教育目標をふまえた音楽科における地域社会とのかかわりを構築することができる。
3.研究課題
(1)(あなたの所属校、もしくは出身校の)子供や地域の実態を生かした「カリキュラム・マネジメント」実現のための特色ある音楽の指導計画を立てなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第12講_テキスト「カリキュラム・マネジメントと学校における音楽科の役割」
第13講 カリキュラム・マネジメントと音楽科経営の自己評価
1.何を学ぶか
カリキュラム・マネジメントについては、マネジメントの技法としての3つの側面が示されている。この3つの側面を手がかりとしながら、学校の教育目標を達成するうえで、音楽科がどのように貢献できるのか、具体的な音楽科経営のカリキュラム・マネジメントについて検討したい。
2.学習到達目標
(1)カリキュラム・マネジメントの3つの側面から、音楽科経営の重点を説明できる。
(2)音楽科経営の自己評価の観点と振り返りについての考え方を説明できる。
3.研究課題
(1)PDCAサイクルにおける音楽科教育経営の自己評価を行いなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第13講_テキスト「カリキュラム・マネジメントと音楽科経営の自己評価」
第14講 コンピテンシーを育むデジタルアーカイブの構築と活用
1.何を学ぶか
音楽科の授業をデザインしていくうえで、目の前の子供に必要な力をつけるための教材(楽曲)は何が適していて、子供がその力をつけるために、どのような曲と出会い、どんなコンセプトで何を大事にしていきたいか、コンピテンシーベースの改革をきっかけに、音楽では子供が何を学ぶのか、という視点が重要とされている。
かなり早い段階からコンピテンシー主義を重視する傾向が強まってきた英国では、専門家による報告書(Department for Education,U.K.,2011)において、コンピテンシーとコンテンツは二項対立的でない、と指摘し、何かを学習することなしに、独自に「学び方」を概念化することは不可能である、と述べている。白井(2025)はこの分析として、いくらコンピテンシーの育成が大事だとしても、教師が、「批判的に考える力をつけましょう」「創造性を発揮しましょう」と呼びかけたところで、子供たちは何をすればよいか分からず、自分でコンテンツを探すだけで、授業時間が終わってしまうかもしれない、やはり学習のコンテンツは必要だ、と結論づけている。
これまで音楽科教師は、題材授業のための楽譜、参考書籍、音源、演奏映像などを、指導者個人で収集することが多かった。同じものを異動先の学校が備えていなかったり、独自で開発した題材に適した教材が見当たらなかったりして、教材開発には事前の労力と費用・時間を要するためである。
デジタルアーカイブは、そうした授業者が集めた資料を、デジタル技術を駆使した記録でコンテンツとして保管しておくことを指す。コンピテンシーを育む授業のために必要な、学習効果の高い資料を厳選したデジタルアーカイブを構築しておくことで、授業の度に一から準備せず、また、共有すれば誰でもどこからでも使えるデータとして、加工や編集が自由に行うことができるようになる。資料に加えて、実際の授業を動画で保存することで、組織固有のノウハウ、達人の技法のような、これまで「経験や勘」などと言われて記録が残らず、その先生だけができた技術・ノウハウなどの暗黙知までも、動画などのデータで記録・整理することにより、検証し形式知化して、次世代に継承していく可能性も高まる。
2.学習到達目標
(1)音楽科におけるデジタルアーカイブの利点を説明できる。
(2)音楽科デジタルアーカイブを構想できる。
3.研究課題
(1)1 適切な楽曲を挙げなさい。採択している教科書をはじめ、それ以外の教科書の掲載楽曲、子供の身の周りにある音や音楽も参考にして教材選択をすすめ、必要とされる音楽科のデジタルアーカイブのフレームワークを構成しなさい
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
第14講_テキスト「コンピテンシーを育むデジタルアーカイブの構築と活用」
第15講 音楽はなぜ学校に必要か~未来を生きる世代に必要なこと~
1.何を学ぶか
音楽「ミュージック(Music)」の語源は古代ギリシャの「ムーシケー(mousike)」
とされ、詩・音楽・舞踊を指し、音楽の起源とされている。アリストテレス(Aristoteles)は、音楽は、遊戯や休養、徳の涵養、高尚な楽しみにおいて有用であると論じ、徳の涵養が教育の目的として最も重要であるとした。
紀元前のローマ帝国では、算術・幾何学・天文学・音楽の4つの科学的学問(数学)に文法学・論理学(弁証法)・修辞学の3つの人文学分野が取り入れられ、科学的学問(数学)に統合した「自由七科」となり、ギリシャで発展した学問が引き継がれ、リベラルアーツ(artes liberales)が形づくられていった。
古代中国の孔子は、教育は、詩(詩経)に始まり、礼(典礼)を学び、最後に音楽を学ぶことによって完成すると述べた。これら、古代社会における哲学は、その後の歴史に大きな影響を与えた。音楽の学びの意義に関わる原点である。
2.学習到達目標
(1)学校における音楽科教育の意味と役割を説明できる。
(2)未来を生きる世代に必要な音楽の意義と価値について、自分の考え方を反映させて授業デザインできる。
3.研究課題
(1)音楽を学校教育で学ぶ意味を、子供にわかる言葉で説明しなさい。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
Ⅳ レポート課題
課題1
課題2
Ⅴ アドバイス
課題1
課題2
Ⅵ 科目修得試験:レポート試験
Ⅶ テキスト
Ⅷ 参考文献
資料
1.学修到達目標
2.【e-Learning】初等科教育法(音楽):学習到達目標(Word版)
3.学修到達目標7.17(Word版)
4.【e-Learning】初等科教育法(音楽):学習到達目標10.14(Word版)
5.【e-Learning】修正 初等科教育法(音楽):学習到達目標2.11
6.【e-Learning】 初等科教育法(音楽)学習到達目標
7.【e-learning】 _初等科教育法(音楽)タキソノミ—テーブル
8.【e-Learning】 初等科教育法(音楽)学習到達目標
9.【e-learning】 _初等科教育法(音楽)タキソノミ—テーブル
第5章 結果と考察、今後の課題
第1節 コンテンツの内容更新と維持
日本の教育は、時代の変化に対応するため、学習指導要領はおおよそ10年スパンで改訂されている。本コンテンツは、現行学習指導要領のキーワードで構成している。テキストや動画は今後の改訂にあわせて、変更・再構成して差し替えていくことが容易である。
2024年12月に学習指導要領の改訂に向けた検討が、中央教育審議会に諮問され、生成AIの発展などを踏まえ、知識の集積だけでなく、深い意味の理解を促す学びのあり方などが、検討課題として挙げられた。
今回の諮問で強調されたのが、画一的な教育から脱した柔軟な教育課程のあり方である。生成AIなどのデジタル技術が急速に発達する一方で、不登校の子どもたちが増え続ける中で、未来を担う子どもたちの教育をどのように行っていくのか、この課題を解決し、多様な子どもたちが、主体的に深く学べることを目指している。具体的に想定されているのが、授業時間の短縮などの工夫や子どもたちの理解度に応じた授業の実現である。この実現には、教員のサポートが不可欠である。特に授業づくりにおいて深い学びを考えるうえで、先生の負担が大きくならないよう、現場の取り組みを後押ししたい。コンパクトに現代的研修課題をまとめた学びの個別最適化をめざす自律活用型デジタルコンテンツは更新していくことで、これに対応できると考えている。個人の進捗と達成基盤に合わせられるインストラクショナルデザインは、有効である。
また、動画コンテンツのアニメーション進化はめざましく、プレゼンテーションや動画編集が、簡単にわかりやすく、思い通りにできるようになっている。今後も、新しくわかりやすく、AI操作や互換性など、便利な動画作成ができるよう、動向をつかんでいきたい。
第2節 学びの個別最適化をめざす自律活用型デジタルコンテンツのシリーズ化
今回、学びの個別最適化をめざす自律活用型デジタルコンテンツデザインは、第1段として、教職を目指す学生や現職教員の大学での学修、研修にいかすものとして構築した。今後は、実践部分を入れ替えた中等教育(音楽)への応用、教職を目指す学生のための教職実践演習、を続けて展開したいと考えている。また、子供たちが多様な能力や個性に応じ、それぞれのペースで学習を進められる教材や方法として、生徒用の学びの個別最適化をめざす自律活用型デジタルコンテンツ(中学校音楽)で、新しい学習指導要領改訂の趣旨に対応できるものを開発したいと考えている。
第3節 成果と課題
2022年7月1日から教員免許更新制は発展的に解消された。現在は文部科学省や各教育委員会、大学が、より成果につながる研修を設計し、その研修履歴を活用するなど、新しい研修制度の整備が進められている。
最後に、本論文で提案したコンテンツの有用性、新規性、信頼性、についてあらためて指摘したい。
本コンテンツは、岐阜女子大学及び岐阜女子大学デジタルアーカイブ研究所が、本学独自で育んできた実践的な解決や新しい文化を創造できる人材育成のために開発した、学習システムの一環である。本研究は、この枠組をお借りして、スタートした。テキスト、動画・プレゼンテーション、資料リソースをまとめたコンテンツは、現代の学修スタイルにマッチしており、通信教育課程学生として、自身も実際にそのコンテンツで学修し、その有用性を実感している。そもそも実技を伴う音楽科においては、音楽の研修そのものを受けることが難しい現状がある。かつての教員免許更新でも、音楽に関する単位取得が困難(芸術・音楽大学の設置がない県がある)で、東京をはじめとする各地の芸術・音楽大学等の講座を受けに行ったり、教科単位がそろわないため代わりに他教科や分野の単位を受講したりしていた経験がある。現職で働きながら、芸術・音楽の大学院や通信制課程に進む選択肢はなかった。
音楽科の教職を目指す学生や現職教員の大学での学修、研修にいかすものとして構案した学びの個別最適化をめざす自律活用型デジタルコンテンツデザインは、指定された期間であれば、いつでもどこからでも自分のペースで学修・研修できる。音楽科としては画期的な本コンテンツは、時代のニーズによって、変更・再構成して差し替えできるようにしている。したがって、本コンテンツには、汎用性と利便性からなる有用性がある、と考えることができる。
初等科教育法(音楽)のツコンテンツは、前半部がインストラクショナルデザインによる構成、後半部は現学習指導要領のキーワードをもとにした現代的課題解決に向けた内容構成としている。受講者の興味・関心のある講から選んで学修・研修でき、また、参照すべき資料はQRコードですぐに確認できる。テキストはコンパクトでありながらも、動画の中では具体例を紹介し、自分の展開例を実際に試してみることができるダイナミックな学びを準備した点、動画コンテンツをアニメーション動画にしたり、プレゼンテーションに入れ込むスタイルに工夫したりした点に、本コンテンツの新規性がある。
また、本コンテンツは、各講とも理論部分と小学校音楽科における具体的実践部分で構成している。インストラクショナルデザインの考え方については大学教員が、実践部分を現職教員が担当しており、その信頼性についてはいうまでもない。小学校音楽科での実践例をきっかけに、自身の実践を考えやすいコンテンツとなっており、学ぶうちにカリキュラム・マネジメントを推進していることにもつながる構成となっている。
研究と修養は、教員の務めである。時代に沿った研修の在り方で、現代的教育の課題解決に対応できる研修内容で、教員の学びの個別最適化を描く一助としてのティーチング・コンパスになることと期待したい。
第6章 結言
インストラクショナルデザインは、さらなる授業改善の手だてとして実施していくところからはじまる。本コンテンツを使ってみたことが日々の授業改善を図るきっかけになったり、新たな改善策を生み出していくことにつながったりして、子供たちの資質・能力を育む新たな方法や手だてを発見し、カリキュラム・マネジメントが活性化されていく。
各講における受講者の音楽の事例は、受講者相互の双方向の交流で練り上げたり、参考にして自身のプランを充実させていったりすると、成果をデジタルアーカイブして自身が担当していない学年の教材開発も利活用できるようにすると、いつか自分も利活用できるタイミングがやってくる。目の前の子供たちの実態に合わせて、修正し実践していった別の実践が、新たなストラテジー(ICTを活用した反転学習のようなもの)を生み出す可能性につながるかもしれない。今後も、学びの支援技術の確立に向けた音楽科教育・学習の研究活動の推進に尽力していきたいと考えている。
なお、2024年11月時点で、JMOOC認定講座数は765講座、登録者数約163万人、延べ学習者数は185万人を超えた。学習者は大学卒業生を中心とした継続学習意欲の高い方々が集まっており、近年は10代の若い学習者も増えている。講座認定による質の保証やアジア諸国との連携などが推進されており、ニーズの高さがうかがえる。
e-learningの学習環境は整った。今後は、学習行動データを蓄積且つ分析することで、新たに得た知見を、学習支援技術にフィードバックしていく方法や継続的学習を目指す取り組みについて、学修・研修のサブスクのようなシステムで、知や価値を守りつつ発展させていく方法についても、あわせて検討していきたい。
音楽科における学び続ける教師とは、主体的かつ自律的に、子供たちに音楽の何を伝えるのか、何のための音楽教育なのかを問い続ける教師である。教師は授業を通して成長する。今後も学校教育は、社会の変化によって見直され、教師に求められる資質・能力は変わっていく。既存の理論を実践化し、行った実践の蓄積から新たな理論を導き、導いた理論は固定化せず仮説的にとらえ、再び新たな実践を積んで検証し、さらに新たな理論として描き、その過程を省察して論理的に説明できる力が求められる。
実践経験やその省察を通して暗黙的な実践知を学び豊かにしていく一方で、理論知(教科内容、子供の学習、教育方法)を学ぶことも重要である。理論を学びだ明けで実践はできないが、だからと言って理論を学ばないというのは誤りである。教師は自分の実践を支えている理論を自覚化し、より広い視野から実践の意味を理解し、それをかたる言葉をもつ。それは、教師の感覚的な判断を、根拠や革新を伴ったものとし、実践の変革可能性や柔軟性も準備するだろう。失敗や天気となる経験の先に、その経験や出来事の本質に気付き、そうかつし、知識化する際に、理論を学び枠組みや言葉をもっておくことは、自らの実践家哲学を豊かなものにする。教師の学びは、模倣と省察の過程で理論値と実践知を統一する研究的な学びとして遂行されねばならない。(2024 石井)
創造的な一斉授業はフレキシブルな形態を含むものだった。(齋藤2006)
時代や社会が求める力を育むインストラクショナルデザインの音楽の授業づくりができるようになり、教育で未来の社会を創造しつづけていくことができることは、真の喜びである。
Acknowledgment謝辞
Reference引用
はじめに
高橋暁子 ほか(2019) 日本におけるインストラクショナルデザイン研究の動向(2003-2018)(日本教育工学会論文誌) 43(3)、253-265
第1章
全米科学・工学・医学アカデミー(2024)「How people learn Ⅱ」人はいかに学ぶのか授業を変える学習科学の新たな挑戦(北大路書房)
ライゲルースet al.(編)(2020)「学習者中心の教育を実現する インストラクショナルデザイン理論とモデル」(北大路書房)
石井英真(2015):「今求められる学力と学びとは―コンピテンシー・ベースのカリキュラ
ムの光と影―」(日本標準)
秋田喜代美(2020)「見通し・行動・振り返り」の繰り返しが生徒自身の幸せな未来創造へとつながる」Career Guidance 2020 DEC. Vol.435 リクルート進学総研
藤原文雄(2025)「データ駆動型教育の近未来」Educasphere 全国公立学校教頭会
白水始「認知科学 三宅なほみ研究史 すぐ、そこにある夢」
文部科学省(2020)「小学校音楽科の指導におけるICTの活用」
https://www.mext.go.jp/content/20200911-mxt_jogai01-000009772_05.pdf
文部科学省(2024) 教員勤務実態調査(令和4年度)【速報値】について(R6.4)
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01232.html
第2章
沼野一男、鈴木克明、生田孝至 他(1989)「教育方法・技術」(学文社)
梶田叡一(1999)「教育評価」(有斐閣双書)
B.S.ブルーム(1973)「学習評価法ガイドブック上・下」(第一法規)
第3章
鈴木克明(2005)e-Learning 実践のためのインストラクショナル・デザイン(日本教育
工 学会論文誌 29(3>,197205)
日本能率協会マネジメントセンター(2024)eラーニングとは?メリット・デメリットを
徹底解説!https://www.jmam.co.jp/hrm/column/0143-eleaning.html
岐阜女子大学大学院(2022)「遠隔教育特講」第9講 遠隔授業のデザイン手法
第4章
第1講
1)P・グリフィン編、三宅なほみ監訳、益川弘如編訳(2014)「21世紀型スキル 学びと
評価の新たなかたち」(北大路書房)
2)勝野頼彦(2013)「社会の変化に対応する資質や能力を育成する教育課程編成の基本原理」(国立教育政策研究所)
3)岐阜女子大学編:教材開発の基礎としてのインストラクショナルデザイン
4)白井俊(2020)「OECDEducation2030プロジェクトが描く教育の未来」(ミネルヴァ書房)
5)白水始(2017)評価の刷新―「前向き授業」の実現に向けて―(国立教育政策研究所
紀要第146集)
第2講
1)C.M.ライゲルース編、鈴木克明監訳(2020)「学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル」(北大路書房)
2)スーザン・マッケニー著、鈴木克明訳(2021)「教育デザイン研究の理論と実践」(北
大路書房)
3)鈴木克明(2019)「インストラクショナルデザイン-学びの「効果・効率・魅力」の
向上を目指した技法-」(電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン13巻 2
号 p. 110-116)
4)赤堀侃司(2004)「授業の基礎としてのインストラクショナルデザイン」(財団法人
日本視聴覚教育協会)
5)島宗理(2004)「インストラクショナルデザイン」(米田出版)
6)鈴木克明(2015)「授業設計マニュアルVer.2」(北大路書房)
7)鄭仁星、久保田賢一、鈴木克明(2008)「最適モデルによるインストラクショナルデ
ザイン ブレンド型eラーニングの効果的な手法」(東京電機大学)
第3講
1)岐阜女子大学編(2015)「教材開発の基礎としてのインストラクショナルデザイン」
2)スーザン・マッケニー編、鈴木克明訳(2021)「教育デザイン研究の理論と実践」(北
大路書房)
3)鈴木克明(1995)「放送利用からの授業デザイナー入門~若い先生へのメッセージ
~」(日本放送教育協会)
4)梶田叡一(2001)「教育評価」(有斐閣双書)
5)教育課程企画特別部会資料(2015)「教育目標・内容と学習・指導方法、学習評価の在
り方に関する補足資料ver.5」
第4講
1)岐阜女子大学編(2015)「教材開発の基礎としてのインストラクショナルデザイン」
2)森本康彦(2008)「e ポートフォリオの理論と実際」(教育システム情報学会誌 Vol.25 No.2、pp245-263)
第5講
1)J. M. Keller、鈴木克明(監訳)(2010)「学習意欲をデザインする―ARCS モデルに
よるインストラクショナルデザイン」(北大路書房)
2)鈴木克明(2010)「授業設計マニュアル」(北大路書房)
3)島 美佐子(2019)「M. ノールズの成人教育理論に関する考察」(早稲田大学大学院教
育学研究科紀要 別冊26号)
4)アチーブメントHRソリューションズ(2024)「アンドラゴジーとは?成人学習におけ
る5つの観点とペタゴジーとの違い」https://achievement-
hrs.co.jp/ritori/andoragogy/
第6講
1)久世 均、生田孝至 他(「教材開発の基礎としてのインストラクショナルデザイン」
「第4講 教材の分析と設計」(岐阜女子大学)
2)スーザン・マッケニー、鈴木克明訳(2021)「教育デザイン研究の理論と実践」
3)全米科学・工学・医学アカデミー、秋田喜代美 編(2024)「人はいかに学ぶのかー授
業を変える学習科学の新たな挑戦」(北大路書房)
4)髙口 努「資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究報告書 1~ 使って育
てて 21 世紀を生き抜くための資質・能力」(2015、(国立教育政策研究所 教育
課程研究センター
5)沼野一男、鈴木克明、生田孝至(1989)「教育の方法・技術」(学文社)
6)B.S.ブルーム(1973)「学習評価法ガイドブック上・下」(第一法規)
7)梶田叡一(1999)「教育評価(第2版)(有斐閣)
8)加藤真由美、櫟 彩見 他(2021)「e-learningとデジタルアーカイブを結ぶ学習フロー
チャートの紹介」(アーカイブData Report No.81、NPO日本アーカイブ協会・岐
阜女子大学・沖縄女子短期大学・学習システム研究会)
9)初等科音楽教育研究会(2020)「初等科音楽教育法」(音楽之友社)
第7講
1)文部科学省(2024)「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有
識者検討会(論点整理)」
2)宮下俊也(2018)「平成29年改訂 小学校教育課程実践講座」(ぎょうせい)
第8講
1)久世 均(2022)「教育のDX時代における “新たな学び”の在り方-教育リソースと
連携したe-Learningシステムの構築-」
2)久世 均(2022)「遠隔教育特講」(岐阜女子大学)
3)多鹿秀継(1999)「認知心理学からみた授業課程の理解」(北大路書房)
第9講
1)久世 均(2022)「遠隔教育特講」(岐阜女子大学)
第10講
1)全米科学・工学・医学アカデミー編(2024)「How people learn ; Brain, mind, experience, and school」人はいかに学ぶのか」(北大路書房)
2)田村学(2021)「個別学習と協働学習を往還する授業デザインで、知識を構造化・概
念化する「深い学び」に導く」(VIEWnextベネッセコーポレーション)
3)熊谷圭二郎(2017)「児童生徒同士の互恵的な相互作用を活用した教授・学習法に関
する研究の動向について」(学級経営心理学研究)
第11講
1)岐阜女子大学編「教材開発の基礎としてのインストラクショナルデザイン」
2)石井英真(2024)「教育変革の時代の羅針盤 教育DX個別最適な学びの光と影」
3)中央教育審議会(2024)「論点整理」
4)宮下俊也(2018)「平成29年改訂小学校教育課程実践講座音楽」(ぎょうせい)
5)津田正之 他(2017)「特集Ⅱ学習が深まった子供の姿を大切にした音楽の授業づく
り」(初等教育資料)
第12講
1)文部科学省(2020)スライド「カリキュラム・マネジメント」
2)宮下 俊也(2018)「平成29年改訂 小学校教育課程実践講座 音楽」(ぎょうせい)
3)初等科音楽教育研究会 編(2020)「初等科教育法」(音楽之友社)
第13講
1)文部科学省(2020)スライド「カリキュラム・マネジメント」
2)天笠 茂(2024)「カリキュラム・マネジメント」(独立行政法人教職員支援機構)
3)宮下俊也(2018)「平成29年改訂 小学校教育課程実践講座 音楽」
4)初等科音楽教育研究会 編(2020)「初等科音楽教育法」(音楽之友社)
5)藤田文子(2019)「音楽科におけるカリキュラム・マネジメントに関する研究 –幼稚
園、小・中学校、高等学校における理論と実践を中心に-」(茨城大学教育実践研
究 38、p25-34)
6)高階玲治、岩木美詠子 他(2003)「学校の自己評価・外部評価」(教育開発研究所)
第14講
1)白井 俊(2025)「世界の教育はどこへ向かうか」(中公新書、p166,167)
2)石井英真(2024)教育「変革」の時代の羅針盤「教育DX×個別最適な学び」の光と影(教育出版、p211、212)
3)文部科学省(2020)「教育データの利活用について」
4)後藤忠彦 他(2020)「デジタルアーカイブの利活用基礎」(岐阜女子大学)
5)中教審教育課程部会(2019)「これからの社会を生きるすべての子供たちに求められる資質・能力の育成における芸術教育の意義とICTの活用」
6)文部科学省(2021)「学習指導要領コード」
7)文部科学省(2021)「GIGAスクール構想のもとでの小学校音楽科の指導について」
第15講
1)マーセルJ.L.Mursell(1967)「音楽教育と人間形成」(音楽之友社)
2)日本音楽教育学会(2019)「音楽教育研究ハンドブック」(音楽之友社)
3)菅野恵理子(2020)「MITマサチューセッツ工科大学 音楽の授業~世界最高峰の「創
造する力」の伸ばし方」(あさ出版)
4)今川恭子(2020)「わたしたちに音楽がある理由【音楽性の学際的探究】」(音楽之友社)
5)小路明善(2024)「全世代型教育システムの構築」週刊 経団連タイムス No.3622 https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2024/0125_05.html(日本経済団体連合会)
第5章
おわりに
1)日本音楽教育学会(2019)「音楽教育研究ハンドブック」宮下俊也「教職大学院の動
向と課題」(音楽之友社)
2)石井英真(2024)「教育変革の時代の羅針盤 教育DX個別最適な学びの光と影」
p189
岐阜別院
本願寺岐阜別院(ほんがんじぎふべついん)は、岐阜県岐阜市にある浄土真宗本願寺派(西本願寺)の寺院(別院)である。開基は准如上人。
岐阜市には、東西両別院がある。真宗大谷派(東本願寺)の別院は、真宗大谷派岐阜別院。
沿革
1570年~1590年頃、本願寺11世顕如上人が美濃国に巡教の折に、美濃国厚見郡西野(現岐阜市西野町)の土豪、一柳直高(一柳直末、一柳直盛の父)が信徒となって帰依する。一柳直高の没後、その墳墓のそばに一寺が建立されたことが始まりと伝えられている。
1603年(慶長8年)、准如上人が当地を巡教した際に、一柳直盛が父の一柳直高の遺命により申し出、この寺は本願寺の坊舎とされ、岐阜御坊もしくは西野御坊と呼ばれる。
1876年(明治9年)に名称を岐阜別院と改められる。
本堂は、1645年(正保2年)には再建されるが、1713年(正徳3年)全焼、1720年(享保5年)に再建されるが、1945年(昭和20年)7月9日、岐阜大空襲により山門、鐘楼、経蔵等を除く本堂などが焼失する。現在の本堂は1951年(昭和26年)の再建である。
1975年(昭和50年)、岐阜市芥見南山3丁目に「岐阜別院芥見分院」が建立される。
(引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%AC%E9%A1%98%E5%AF%BA%E5%B2%90%E9%98%9C%E5%88%A5%E9%99%A2)
資料
三輪神社
美濃国神名帳に正二位美和大明神とある創立不詳の古社。社殿は、永禄年間に建立されたが、その後破損し、現在の本殿は元禄年間に再建されたものである。本殿は、昭和43年に岐阜市の重要文化財に指定されているほか、参道の石鳥居は昭和51年に市重要文化財、参道のスギの木は昭和51年に市の天然記念物にそれぞれ指定されている。
拝殿
本殿
資料
田谷神明神社
創立年代は不詳である。古老の口伝によると、椋椅(くらはし)某が此の地にきて田畑を開墾し、谷水を使った。地名も「田谷」といい、通称「田谷宮」と里人等に親しまれた。部落の名も「くらはし」から藏柱と改名されたのである。
承久年間より江馬家の領主の庇護により石浦・田谷(上・下)・沖田・かじや・下垣内の各集落に神社を建立し守護してもらった。
元禄七年大垣藩主戸田采女正の検地の際八畝二十歩の除地がある。後年になるが、年代も不明であるが、石浦宮を除いて田谷宮神明神社に合併合祀されている。棟札等に「天明三年、本宮再建氏子中、二滝より舟橋まで不残」とあり、天保三年の棟札に氏子は六十軒と記されている。
石浦宮の神鏡には明治四年田谷、森合祭とあり、このとき合併合祀されたのであろう。
石仏と奇岩群
大雨見山(おおあまみやま)(標高1336m)の北西麓にあたる蔵柱(くらばしら)川沿いに石仏という地名があり、そこにある高さ約12mの仏像に似た石柱が「石仏」である。その付近には“鏡岩”、“仏器岩”、“獅子頭岩”といった名前のついた奇岩と称する岩が山すそにある。いずれも大雨見山層群の宮川谷層に属する火山岩類のうち、比較的軟らかく風化作用を受けやすい凝灰岩からなる。見る方向によっていろいろな形状に見えることからそれぞれに名称がつけられたものである。
高山市国府町から県道76号で上宝町に向かい,大坂峠(通称十三墓峠)を越え2km程下ったところに濃飛バスの「石仏前(いしぼとけまえ)」バス停がある。
バス停の奥に,カラ松の間から高さ12cm程のまるで仏様のような形をした岩肌が突出している。これが地名の由来の「石仏岩」で,足元には小さな祠(ほこら)が建てられ祀られている。周囲にも点々と岩肌が露出し,屏風岩(びょうぶいわ),駒掛岩(こまかけいわ),鏡岩,箪笥岩(たんすいわ)等と名付けられ,全体が「石仏と奇岩群」として高山市の天然記念物に指定されている。
「石仏と奇岩群」は,どのようにしてつくられたのであろうか?
今から6600万年前~6000万年前の中生代白亜紀最末期から新生代古第三紀にわたり,現在の大雨見山(国府,丹生川,上宝町にまたがる山)を中心に,約100㎢にわたって流紋岩質マグマによる火山活動が起こった。このときできた溶岩や凝灰岩,火砕流堆積物を主体とする地層をまとめて「大雨見山層群」という。「石仏と奇岩群」の岩石の本体は,大雨見山層群の流紋岩溶岩である。この溶岩は,中に青灰色の玉ズイ(石英の微小な結晶の集まり)を含んでいて,「球顆流紋岩(きゅうかりゅうもんがん)」という。溶岩の一部は大坂峠近くにも露出し,風化した部分から数cm~こぶし大程の玉ズイの塊を見つけることができる。
石仏岩は,6000万年という長い年月をかけ,風化や侵食を受けた球顆流紋岩が,偶然にも仏様の容姿になって現れたものである。
引用:飛騨地学研究会 寺門 隆治様
【授業】デジタルアーカイブ概論
第1講 デジタルアーカイブの基礎
1.目 的
デジタルアーカイブは、「デジタル」と「アーカイブ」という言葉からできた和製英語と言われています。デジタルアーカイブとは何か? デジタルアーキビストに必要な能力は何か?ここでは、言葉の意味と発展の歴史から、基本的な考え方を理解し、今後のデジタルアーカイブの方向性を考えます。
2.学習到達目標
① デジタルアーカイブとは何か説明できる。
② デジタルアーカイブがどのように発展してきたかについて具体例をあげ説明できる。
③ デジタルアーキビストに求められている能力について具体的に説明できる。
3.課 題
① デジタルアーカイブとは何か自身の立場で説明しなさい。
② デジタルアーカイブがどのように発展してきたか説明しなさい。
③ デジタルアーキビストに求められている能力は何か自身の立場で説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第2講 デジタルアーカイブ開発と活用プロセス
1.目 的
デジタルアーカイブの利用は、資料の提示や提供から始まり、課題解決、知的創造等の処理へと進みます。またデジタルアーカイブを活用し、新しい「知」の創造を求め、さらに新しい「知」と人々の経験を付加し、新たな知的活動へと発展します。ここでは、デジタルアーカイブの開発と活用プロセスについて考えます。
2.学習到達目標
①デジタルアーカイブの活用について具体例を挙げて説明できる
②資料の選定評価について説明できる。
③デジタルアーカイブのプロセスや記録方法について説明できる。
3.課 題
①デジタルアーカイブの活用について具体例を挙げて説明してください。
②資料の選定評価の課題について説明してください。
③デジタルアーカイブのプロセスや記録方法について説明してください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第3講 デジタルアーカイブの評価とメタデータ
1.目 的
デジタルアーカイブは、対象とする資料(情報資源)の分野も多岐にわたり、プロジェクト規模なども異なるため、それぞれにあわせた評価手法が求められます。そこで、本講では、デジタルアーカイブの自己点検ツールとして考案された「デジタルアーカイブアセスメントツール」の内容を把握し、その評価項目の中でも重視されているメタデータについて、記述のための国際標準、国際指針として制定されている事例から学びます。
2.学習到達目標
① 「デジタルアーカイブアセスメントツール」の内容について説明できる。
② 記述のための国際標準、国際指針などの事例について説明できる。
③ 資料(情報資源)のメタデータ記述ができる。
3.課 題
① 「デジタルアーカイブアセスメントツール」の評価項目の内、あなたが重要だと思う項目について、なぜそう思うかを含めて説明してください。
② 具体的に何か資料(情報資源)を一つ取り上げ、その資料のメタデータ記述項目を設定した上で実際の記述を行ってください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第4講 デジタルアーカイブの利活用
1.目 的
デジタルアーカイブは、1990年代の初期から、過去から現在の資料をデジタル化し、次の世代への伝承と現状での利活用を目指して開発が進められてきた。デジタルアーカイブの基本は、過去~現在の資料の収集・保管、デジタル化、さらに現状での利活用と次の世代への伝承である。
過去~現在の各種資料を収集・保管し、次のように使われる。
①次世代へのデジタルコンテンツの確かな伝承
②国内外のデジタルコンテンツの流通と利活用
ここでは、図書館や博物館等におけるデジタルアーカイブの利活用について考える。
2.学習到達目標
① 図書館におけるデジタルアーカイブの実践例を具体的に説明できる。
② 博物館におけるデジタルアーカイブの実践例を具体的に説明できる。
③ デジタルアーカイブの共通利用について説明できる。
3.課 題
① 図書館におけるデジタルアーカイブの実践例を具体的に説明しなさい。
② 博物館におけるデジタルアーカイブの実践例を具体的に説明しなさい。
③ デジタルアーカイブの共通利用について説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第5講 デジタルアーカイブによる地域活性化
1.目 的
知識基盤社会においてデジタルアーカイブを有効的に活用し,新たな知を創造するという本学独自の「知の増殖型サイクル」の手法により,地域課題に実践的な解決方法を確立するために,地域に開かれた地域資源デジタルアーカイブによる知の拠点形成をする。このことにより,地域課題に主体的に取り組む人材を養成する大学として,伝統文化産業の振興と新たな観光資源の発掘並びにデジタルアーカイブ研究による地方創成イノベーションの創出について具体的に考える。
2.学習到達目標
① デジタルアーカイブと地域課題解決について説明できる。
② 地方創成イノベーションの創出について具体的に説明できる。
3.課 題
① 飛騨高山匠の技デジタルアーカイブにより,地域の文化産業を振興するための方策を3つ挙げて説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
※本映像は本学の学部の授業(情報の管理と流通)の内容の一部を利用して提供しています。
6.資料
第6講 文化はどのように記録するの?
1.目 的
近年,デジタルアーカイブの対象である“文化”の意味が以前に比べて広がっていること,“文化”は時代によって変化するものであることを理解し,様々な文化のデジタル化(記録),デジタル化の際の留意点について学びます。
2.学習到達目標
①デジタルアーカイブの対象である“文化”について説明できる。
②記録に応じて,多様なデジタル化の方法を説明できる。
③記録の際の留意点について説明できる。
3.課 題
① 身近な“文化”をひとつ挙げ,具体的な記録方法を挙げてください。
② ①で挙げた記録方法の特性を説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.資料
③ 沖縄おうらい
第7講 デジタルデータはどのように管理・流通するの?
1.目 的
情報社会においてデジタル化・データの蓄積をする意味について理解し,具体的なデータの管理方法および流通方法について学びます。また,情報社会におけるデジタルアーカイブの管理と流通の重要性についても考えます。
2.学習到達目標
①デジタルアーカイブの資料データの管理に必須であるメタデータの役割について説明できる。
②データの流通について多様な発信方法があることを理解し,説明できる。
③情報社会においてデータの管理と流通が重要である理由を説明できる。
3.課 題
① デジタルアーカイブにおいて,なぜ管理と流通が重要なプロセスであるのか,具体例を挙げて説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.資料
② 情報の発信と伝達
第8講 デジタルアーカイブと知的財産権(1)
1.目 的
デジタルアーキビストとして、アーカイブを計画し、そして資料収集し、そして構築し、そして利用許諾し、また運用していくという、こういったときに必要な権利処理について説明する。
2.学習到達目標
① デジタルアーキビストに著作権処理の能力が必要であることについて具体的に説明ができる。
② 著作者の権利について具体的に説明できる。
③ 著作権の契約書を作成できる。
3.課 題
① デジタルアーキビストに著作権処理の能力が必要であることについて具体的に説明しなさい。
② 著作者の権利について具体的に説明しなさい。
③ 著作権の契約書を作成しなさい。
4.プレゼン資料
第9講 デジタルアーカイブと知的財産権(2)
1.目 的
著作権について、自分の立ち位置とは関係ない形で第三者的に実践の試みの良い部分と課題について理解を深め、基本的な理解を図った後に、実践の中から法律など制度的な課題について考えます
2.学習到達目標
① デジタルアーカイブの実践における著作権に関する課題について説明できる。
② 著作権のデジタルアーカイブの活用に関する課題について具体例を挙げて説明できる。
3.課 題
1.デジタルアーカイブの実践における著作権に関する課題について説明しなさい。
2.著作権のデジタルアーカイブの活用に関する課題について具体例を挙げて説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第10講 ジャパンサーチとデジタルアーカイブ活用基盤
国立情報学研究所名誉教授 高野明彦氏
1.目 的
ジャパンサーチは,書籍等分野,文化財分野,メディア芸術分野など,さまざまな分野のデジタルアーカイブと連携して,我が国が保有する多様なコンテンツのメタデータをまとめて検索・閲覧・活用できるプラットフォームである.このジャパンサーチについて理解を深め,基本的な理解を図った後に,メタデータの連携⽅法について考えます.
2.学習到達目標
① ジャパンサーチの目的について説明できる.
② メタデータの連携方法について具体例を挙げて説明できる.
3.課 題
① ジャパンサーチについての課題について説明しなさい.
② ジャパンサーチAPIの活⽤例について具体例を挙げて説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.映像資料
第11講 世界のデジタルアーカイブの発展とその活用
東京大学大学院情報学環 時実象一氏
1.目 的
デジタルアーカイブの種類っていうふうに考えていったときに,書籍,文書,新聞それからテレビ・放送,映画,音楽・音声,舞台芸術,写真,それから美術品があります.その他にも,それとかあとはウェブページ,ゲーム,ソフトウェア,その他というようなのがあります.ここでは,世界のデジタルアーカイブの発展とその活用について考えます.
2.学習到達目標
① 世界のデジタルアーカイブの動向ついて説明できる.
② 世界のデジタルアーカイブを俯瞰して,その活用の変化について具体例を挙げて説明できる.
3.課 題
① ジャパンサーチについての課題について説明しなさい.
② ジャパンサーチAPIの活⽤例について具体例を挙げて説明しなさい.
3.プレゼン資料
4.映像資料
第12講 デジタルアーカイブと法制度の現在地点
骨董通り法律事務所パートナー弁護士 福井健策氏
1.目 的
著作権について,自分の立ち位置とは関係ない形で第三者的に実践の試みの良い部分と課題について理解を深め,基本的な理解を図った後に,実践の中から法律など制度的な課題について考えます.
2.学習到達目標
① デジタルアーカイブの実践における著作権に関する課題について説明できる.
② 著作権のデジタルアーカイブの活用に関する課題について具体例を挙げて説明できる.
3.課 題
① デジタルアーカイブの実践における著作権に関する課題について説明しなさい.
② 著作権のデジタルアーカイブの活用に関する課題について具体例を挙げて説明しなさい.
③ デジタルアーカイブ憲章について,課題を説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.映像資料
第13講 AIと人間の学び
赤堀侃司(東京工業大学名誉教授)
1.目 的
第1次AIブームから第2次AIブームへと移り変わり、生成AIを活用する人間の学びに変化が生じています。これからの私たちの学びに必要となる7つの資質能力とAIについて学びます。
2.学習到達目標
① 第1次AIブームから第2次AIブームへと移り変わり、変化した生成AIの学びについて説明することができる。
② 生成AIの発展により、私たちの学びに求められる7つの資質能力について説明することができる。
3.課 題
① 生成AIの進化から、これからの私たち人間の学びに求められる資質能力について説明しなさい.
4.プレゼン資料
AIと人間の学び(赤堀先生)
5.映像資料
nbsp;
6.資 料
① AIと人間の学び 壁の向こうで答えているのはAIか人か? (単行本)発売日 : 2022/3/31
② 第11講「AIと人間の学び」デジタルアーカイブin岐阜2023(赤堀先生)
第14講 人とAIの学習研究から考えるこれからの教育
益川弘如(聖心女子大学教授)
1.目 的
人はどのように学ぶのか、また、どのようなときに深く学ぶのかという認知科学の知見に基づき,人の学びと人工知能やAIがつくり上げていく知能を比較することで、AIとの共生時代である今、人間としての「価値ある学び」やそれらの活用による私たちの学びの変容について学びます。
2.学習到達目標
① AI時代における「価値ある学び」について説明することができる。
② 人工知能や生成AIを活用した際の人間の学びの変容について説明することができる。
③ 生成AIを活用した具体的な授業事例から、学習観や授業観をとおして私たちの学びの本質を説明することができる。
3.課 題
① AI時代における「価値ある学び」とデジタル化された情報との関係について説明しなさい.
② 人工知能や生成AIの効果的な活用と私たちの学びの変容について説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.資料
② 第12講「人とAIの学習研究から考えるこれからの教育」
第15講 人工知能(AI)とデジタルアーカイブの現状と未来
澤井進(岐阜女子大学特任教授)
1.目 的
「人工知能とデジタルアーカイブの一体化が未来のブレークスルー,デジタル文化遺伝子となる」というアイディアについて、「AIとデジタルアーカイブの関係」、「デジタルアーカイブの利活用」、「生成AIの驚異的進化」、「AIとデジタルアーカイブが創る未来」、「デジタル文化遺伝子を目指して」の5つの内容から学びます。
2.学習到達目標
① 生成AIとデジタルアーカイブのそれぞれの機能からみた関係性について説明することができる。
② デジタルアーカイブを活用した人工知能との一体化によってもたらされる新たな可能性とは何か、説明することができる。
③ デジタル文化遺伝子というアイディアについて説明することができる。
3.課 題
① デジタル文化遺伝子の重要な役割とは何か、800字で説明しなさい。
4.プレゼン資料
人工知能(AI)とデジタルアーカイブの現状と未来(澤井先生)
5.動画資料
6.資料
2.第13講「人工知能(AI)とデジタルアーカイブの現状と未来」
テキスト
【テキスト】
1.2023版デジタルアーカイブ概論_テキスト(最終)久世_20240401
2.2023版デジタルアーカイブ概論_テキスト(最終)久世_20240401(Word版)
3.2023版デジタルアーカイブ概論_テキスト(最終)久世_20240509
4.2023版デジタルアーカイブ概論_テキスト(最終)久世_20240509(Word版)