【授業】人工知能(AI)特講
澤井進(岐阜女子大学特任教授)
Ⅰ はじめに
本講座では、コンピュータの歴史を振り返り、人工知能(AI)の誕生から現在までの進化を解説します。また、AIが今後どのように教育に活用されるのかについて、展望します。
今日のトランスフォーマー革命は機械翻訳の精度を大幅に向上させ、生成AIを誕生させました。生成AI(ChatGPTやGemini等)はAIが人間のような会話を生成できる技術です。
今後必要となるのはAI倫理です。正確無比のデジタルアーカイブとAIの両者の一体化と、その活用の仕方が未来の課題だということを理解します。
Ⅱ 授業の目的・ねらい
本講座の目的は、AIの過去・現在・未来について幅広く学ぶことです。教育にAIがどのように活用されるのか、AIと共生する未来を生き抜くための教育とは何かについて、考察する機会を提供することをねらっています。
Ⅲ 授業の教育目標
① デジタル社会の「読み書きそろばん」として必須となるAIを理解する。
② AIはコンピュータの発展と密接な関係があることを理解する。
③ AIのデジタルアーカイブとAI文化を理解する。
第1講 AIの過去から未来へのプロローグ ー『コンピュータ歴史博物館』が語るAI文化
1.何を学ぶか
AI時代の教育「人工知能(AI)の過去・現在・未来」の講座を通して、コンピュータの歴史とAI時代を生きる哲学について学んでいきます。
三浦謙一博士の紹介による「米国シリコンバレーのコンピュータ歴史博物館が語るAI文化」からAIの過去・現在・未来を理解します。
2.学修到達目標
① コンピュータ歴史博物館が語るAI文化について説明できる。
② AI誕生からシンギュラリティにいたるAIの過去・現在・未来を説明できる。
③ 何をどのように学び、如何に自分の資質・能力をアップグレードするかについて考えることができる。
3.課題
① 結婚相手を探す時に信用するのはAIが選んだ人ですかそれとも親が選んだ人ですか?について考察し,あなたの考えを800字で説明しなさい。
4.プレゼン資料
AIの過去から未来へのプロローグ ー『コンピュータ歴史博物館』が語るAI文化
5.動画資料
6.テキスト
第2講 知能の迷宮を解き明かす-暗号解読とチューリングテストの謎めく挑戦
1.何を学ぶか
AI時代の教育「人工知能(AI)の過去現在未来」の講座を通して、コンピュータの歴史とAI時代を生きる哲学について学んでいきます。
内容は「知能の迷宮を解き明かすー暗号解読とチューリングテストの謎めく挑戦」です。
アラン・チュリーング(A. M. Turing)が解読不能と言われた「エニグマ」暗号の解読に成功し、汎用コンピュータの誕生やチューリングテストを経て、ダートマス会議で「人工知能(AI)」という言葉が誕生したことを理解します。
2.学修到達目標
① アラン・チュリーングの暗号解読とチューリングテストについて説明できる。
② 汎用コンピュータとAI誕生とについて事例を挙げて説明できる。
③ 日本のコンピュータと日本のAIについて考えることができる。
3.課題
① 貴方はAIの教師と人間の教師どちらから学びますか?について考察し,あなたの考えを800字で説明しなさい。
4.プレゼン資料
知能の迷宮を解き明かす-暗号解読とチューリングテストの謎めく挑戦
5.動画資料
6.テキスト
第3講 知識が翼を得る瞬間-知識表現とエキスパートシステムの知の舞台裏
1.何を学ぶか
第2次AIブーム「知識の時代」の代表的な研究成果である第五世代コンピュータプロジェクト、 知識表現形式、機械翻訳、エキスパートシステムを学び、知識(暗黙知)獲得の問題を理解します。
2.学修到達目標
① 第五世代コンピュータプロジェクトを説明できる。
② 知識表現形式、機械翻訳、エキスパートシステムについて事例を挙げて説明できる。
③ 知識(暗黙知)獲得の問題について考えることができる。
3.課題
① AI搭載の自動運転の車は、信号無視で突然歩行者が飛び出した時、壁に激突してでも歩行者を救うべきか、それとも歩行者を犠牲にしてドライバーの命を救うべきか?について考察し,あなたの考えを800字で説明しなさい。
4.プレゼン資料
知識が翼を得る瞬間-知識表現とエキスパートシステムの知の舞台裏
5.動画資料
6.テキスト
第4講 人間の脳のなどと深層学習の魔法 目を持ったコンピュータが見せる未知の領域
1.何を学ぶか
「コンピュータが目を持つ」という大変ワクワクするような講座です。「人間の脳のなどと深層学習の魔法 目を持ったコンピュータが見せる未知の領域」というテーマです。
今回の狙いは、第3次Alブームでは「深層学習(ディープラーニング)」がAIを大きく変えました。具体的には、コンピュータが目を持つようになる畳み込みニューラルネットワーク(CNN)等の登場について理解します。
2.学修到達目標
① 3つの機械学習(教師あり/教師なし/強化学習)を説明できる。
② 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)について事例を挙げて説明できる。
③ リカレントニユーラルネットワーク (RNN)について事例を挙げて説明できる。
3.課題
① 人間の医師とAI手術ロボット、どちらに命を預ける?について考察し,あなたの考えを800字で説明しなさい。
4.プレゼン資料
人間の脳のなどと深層学習の魔法 目を持ったコンピュータが見せる未知の領域
5.動画資料
6.テキスト
第5講 シンギュラリティの扉を叩け
1.何を学ぶか
AIが人間を超える「シンギュラリティ」という大変ドキドキするような講座です。「シンギュラリティの扉を叩け-AIが覆す人間の世界チャンピオン」というテーマです。
狙いは、データサイエンスとDX、探索と推論、チェスコンピュータの開発、AI時代のバックギャモンと将棋・囲碁の順にお話ししてまいります。最近のDXやデータサイエンスの背景には、バックギャモンやチェス等の中心的な例題があり、多くの探索アルゴリズムや並列計算技術など広く普及している技術が生み出されていることを理解いたします。
2.学修到達目標
① DXやデータサイエンスの背景を説明できる。
② バックギャモンやチェス等の中心的な例題がAI技術をけん引したことを説明できる。
③ 多くの探索アルゴリズムや並列計算技術などが生み出されたことを説明できる。
3.課題
① AIを使って何をすれば生産性を倍増し、国際競争に勝てるか?について考察し,あなたの考えを800字で説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第6講 機械翻訳の新時代-トランスフォーマー革命と「生成AI」の驚異的進化
1.何を学ぶか
トランスフォーマー革命は、生成AI(ChatGPT、Gemini等)を誕生させました。生成AIは人間のような会話を生成できる技術です。その技術が、機械翻訳精度の向上、産業、医療領域や農業等に応用されていることを理解します。
2.学修到達目標
① トランスフォーマー革命が生成AIを誕生させたことを説明できる。
② トランスフォーマー革命により機械翻訳精度が向上したことを説明できる。
③ AIが産業、医療や農業等に応用されていることについて事例を挙げて説明できる。
3.課題
① AIが作った小説、論文、楽曲やプログラム等の著作権はAIにあるか?について考察し,あなたの考えを800字で説明しなさい。
4.プレゼン資料
機械翻訳の新時代-トランスフォーマー革命と「生成AI」の驚異的進化
5.動画資料
6.テキスト
第7講 AIの過去・現在・未来 - 未来への飛翔 –
1.何を学ぶか
日本のAI戦略は教育から始まること、教育に利用される生成AI、重要なAI事例である自動運転自動車や、世界で話題になっている国際的なAIのルール作り及びその根底にあるAI倫理を理解します。
2.学修到達目標
① 日本のAI戦略は教育から始まることを説明できる。
② 教育に利用される生成AIや自動運転について,事例を挙げて説明できる。
③ 国際的なAIのルール作りとAI倫理について考えることができる。
3.課題
① 自動運転車が引き起した事故は、誰が責任を負うべきか?について考察し,あなたの考えを800字で説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第8講 人工知能(AI)とデジタルアーカイブの現状と未来
1.何を学ぶか
「人工知能とデジタルアーカイブの一体化が未来のブレークスルー,デジタル文化遺伝子となる」というアイディアについて、「AIとデジタルアーカイブの関係」、「デジタルアーカイブの利活用」、「生成AIの驚異的進化」、「AIとデジタルアーカイブが創る未来」、「デジタル文化遺伝子を目指して」の5つの内容から学びます。
2.学修到達目標
① 生成AIとデジタルアーカイブのそれぞれの機能からみた関係性について説明することができる。
② デジタルアーカイブを活用した人工知能との一体化によってもたらされる新たな可能性とは何か、説明することができる。
③ デジタル文化遺伝子というアイディアについて説明することができる。
3.課題
① デジタル文化遺伝子の重要な役割とは何か、800字で説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第9講 AIと人間の学び
赤堀侃司(東京工業大学名誉教授)
1.何を学ぶか
第1次AIブームから第2次AIブームへと移り変わり、生成AIを活用する人間の学びに変化が生じています。これからの私たちの学びに必要となる7つの資質能力とAIについて学びます。
2.学修到達目標
① 第1次AIブームから第2次AIブームへと移り変わり、変化した生成AIの学びについて説明することができる。
② 生成AIの発展により、私たちの学びに求められる7つの資質能力について説明することができる。
3.課題
① 生成AIの進化から、これからの私たち人間の学びに求められる資質能力について説明しなさい.
4.プレゼン資料
プレゼン資料(赤堀先生)
5.動画資料
6.テキスト
7.資 料
1.AIと人間の学び 壁の向こうで答えているのはAIか人か? (単行本)発売日 : 2022/3/31
第10講 人とAIの学習研究から考えるこれからの教育
益川弘如(聖心女子大学教授)
1.何を学ぶか
人はどのように学ぶのか、また、どのようなときに深く学ぶのかという認知科学の知見に基づき,人の学びと人工知能やAIがつくり上げていく知能を比較することで、AIとの共生時代である今、人間としての「価値ある学び」やそれらの活用による私たちの学びの変容について学びます。
2.学修到達目標
① AI時代における「価値ある学び」について説明することができる。
② 人工知能や生成AIを活用した際の人間の学びの変容について説明することができる。
③ 生成AIを活用した具体的な授業事例から、学習観や授業観をとおして私たちの学びの本質を説明することができる。
3.課題
① AI時代における「価値ある学び」とデジタル化された情報との関係について説明しなさい.
② 人工知能や生成AIの効果的な活用と私たちの学びの変容について説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト