【授業】英語学概論
Ⅰ はじめに
本科目で学ぶことで、英語学における基礎的な概念を理解して、今後に応用的な力を付けるための土台とすることである。これにより、語彙、文法、音声などの各分野の土台を知ることで、英語の読み、書き、話し、聞くという4技能の鍛錬につながるようにしたい。
Ⅱ 授業の目的・ねらい
英語学は多岐にわたる分野であり、様々に細かく分類される。概念を知ることは大切であるが、将来方向として、その応用的な力、実践的な力が身につくようにしたい。それにより、大学卒業後に、英語が得意科目として、社会で活躍できることが狙いである。
Ⅲ 授業の教育目標
英語学概論を学ぶことで、将来に英語を教えようとする学生に、英語学教育法と同様に、基礎的な力を与えることである。小中学校レベルの英語が教えられるように、その段階の生徒達から出される質問などに容易に答えられるように英語力を付けたい。
テーマ1 言語の起源と語族
1 何を学ぶか
① 言語起源論のいくつかを考察する。
② 語族の定義を調べる。
③ インド・ヨーロッパ語族の中の英語の位置づけを考える。
2 学習到達目標
① 人間がことばを使えることの意味を説明できる。
② 人類の言語能力の発達の歴史を説明できる。
③ 英語と親族関係にある言語を説明できる。
3 課題
① ゲルマン諸語と英語の関係を調べてまとめる。
② 孤立言語とは何かまとめる。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ2 人間のことばと言語研究
1 何を学ぶか
① ことばの気まま性(arbitrariness)について考察する。
② ことばの二重性、抽象性、規則性について学ぶ。
③ 言語学の各分野、音声学、音韻論、統語論などの概要を理解する。
2 学習到達目標
① 言語学という学問について説明できる。
② 人間のことばの特徴を説明できる。
③ ことばを分析するときの資料の集めかたを説明できる。
3 課題
① ネット上のコーパスを利用して、いくつかの単語の特徴を調べる。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ3 アルファベット
1 何を学ぶか
① ギリシア文字、キリル文字など類似のアルファベットについて考察する。
② 筆記体について理解する。
2 学習到達目標
① アルファベットの起源について説明できる。
② ローマ字(内閣式とヘボン式)の違いについて説明できる。
3 課題
① 自分の名前を筆記体で書けるようになり、サインできるようにする。
② 文字と印刷術の歴史について調べる。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ4 ことばの変化
1 何を学ぶか
① 通時態と共時態の違いを理解する。
② 英語に文法上の性がない事情を理解する。
③ 英語の変化と社会の動きとの関連を理解する。
2 学習到達目標
① 英語の歴史について簡単な説明ができる。
② ことばの変化の理由について説明できる。
③ 発音、語彙、文法の相互関係について説明できる。
3 課題
① 5つほど英単語を選び、その歴史的な変遷を調べる。
② be動詞の歴史的な推移を調べる。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ5 単語とスペリング
1 何を学ぶか
① ローマン・アルファベットと正書法の関係について調べる。
② 大母音推移について理解する。
③ 英語の母音推移、弱母音化について調べる。
2 学習到達目標
① 英語のスペルと発音のずれについて説明できる。
② 英米英語で異なるスペルや発音を説明できる。
3 課題
① 英米英語で書記法の異なる単語をできるだけたくさん集める。
② 黙字がある英単語を集める。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ6 標準英語の成立
1 何を学ぶか
① アメリカにおける標準語の成立について調べる。
② イギリスにおける標準語の成立について調べる。
③ 世界における共通語の意味について調べる。
2 学習到達目標
① 英語の標準語の成立の経緯を説明できる。
② 共通語の意義について説明できる。
③ RPとGAについて説明できる。
3 課題
① 映画My Fair Lady を鑑賞して、英語の方言と社会階層との関係を理解する。
② 英語の中に取り入れられた日本語について調べる。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ7 単語ができる仕組み
1 何を学ぶか
① 形態素から単語へと構成されていく過程を理解する。
② 自由形態素と拘束形態素の違いについて調べる。
③ 転換、逆成などの語彙の誕生について理解する。
2 学習到達目標
① 単語の意味の恣意性について説明できる。
② 形態論と形態素の関係について説明できる。
③ 接頭辞と接尾辞の構造について説明できる。
3 課題
① いくつかの単語の語形成プロセスについて調べる。
② 複合語の主要部について調べる。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ8 言葉と音声
1 何を学ぶか
① 閉鎖音、摩擦音、破擦音、鼻音、側音、半母音について調べる。そして、実際に発音してみる。
② 高母音、中母音、低母音について発声の訓練を行う。。
2 学習到達目標
① 発音器官のそれぞれについて説明できる。
② 有気音、無気音の違いについて説明できる。
③ 調音点について説明できる。。
3 課題
① 口の中に指を入れて、それぞれの発音の時に、舌がどの位置に来るか確認する。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ9 音の組み合わせとアクセント
1 何を学ぶか
① 日本語と英語の実際の発話を聞いて、アクセントの違いを確認する。
② 国際音声記号について簡単な表記を覚える。
2 学習到達目標
① 日本語の高低アクセントと英語の強弱アクセントの違いについて説明できる。
② 母音と子音の違いについて説明できる。
③ 母音を発生するときの口蓋内の様子について説明できる。
3 課題
① 有声歯茎摩擦音、有声軟口蓋閉鎖音などを発話する。そして、それらが使われる単語を複数個見つける。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ10 英語の語彙の多様性
1 何を学ぶか
① 英語に対する、ギリシア語、ラテン語、フランス語の影響を調べる。
② 現代のアメリカ英語に対するスペイン語の影響を考える。。
2 学習到達目標
① 英語に取り入れられた外来語の要素について説明できる。
② フランス語がどの程度、英語に影響を与えたのか説明できる。
③ 語源の研究の意義について説明できる。
3 課題
① 日本語から英語に入った単語を抜き出して、どのようなジャンルの語彙が多いか調べる。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ11 文ができる仕組み
1 何を学ぶか
① 伝統的な文法と変形生成文法が学習者に対する影響を比較してみる。
② 5文型によってどの程度まで文法構造が理解できるか考察する。
③ 句構造標識を考察する。
2 学習到達目標
① 単語から文が作られる過程を説明できる。
② 文法研究の歴史を簡単に説明できる。
③ 変形生成文法の特徴について説明できる。
3 課題
① 任意の英文を取り出して、その句構造標識を示す。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ12 英語の意味
1 何を学ぶか
① 教育の場において、効果的な意味の教え方を考察する。
② 文化的に英語の語彙の持つ二重構造について調べる。。
2 学習到達目標
① 英語の意味と人間の認識の関係を説明できる。
② 指示説、構造意味論、概念論などを説明できる。
③ 意味と文化の関係について説明できる。。
3 課題
① mother, father などの家族を示す英単語は、構造意味論の立場からどのように説明できるか調べる。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ13 英語の意味とコンテキスト
1 何を学ぶか
① 日常会話において、多義性の解消はどのように行われいるか調べる。
② 日本語と英語の意味の構造の違いを考察する。。
2 学習到達目標
① 表面的な意味と深層的な意味の違いについて説明できる。
② 隠喩、換喩などの比喩について説明できる。
3 課題
① My husband is a baby.という文はどのような意味に解釈されるか、それぞれの場合を説明する。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ14 英語と文化
1 何を学ぶか
① 多文化共生社会とはどのような社会であるか調べる。
② サピア=ウオーフの仮説を考察する。
③ 高コンテキスト文化と低コンテキスト文化の違いを考える。
2 学習到達目標
① 伝統的な西洋と東洋との二限対立の分類から、多次元化しつつある現代文化を説明できる。
② 文化と言語の関係について説明できる。
③ 言語相対論について説明できる。
3 課題
① 世界に多発する民族問題と言語の事例を収集する。
② 日本語文化は英語文化からどのような影響を受けているか調べる。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト
テーマ15 言葉と社会、言葉と国家
1 何を学ぶか
① 世界での多文化主義の国の特徴を考察する。
② それらの国で、言語教育はどのように進められているか調べる。
③ カナダの2言語多文化主義について考察する。
2 学習到達目標
① 多文化主義を標榜している国の言語教育の特徴を説明できる。
② 公用語と国語の違いを説明できる。
③ 英米の旧植民地では英語がどのように取り扱われているか説明できる。。
3 課題
① いわゆる英語圏の国々で使われる英語以外の言語の特徴を調べる。
② 日本では英語はどの程度必要とされているか考察する。
4.映像資料
5.プレゼン資料
6.テキスト